モンゴルだるま@モンゴル語通訳・エコツーリズム普及仕掛人兼業遊牧民です。
ちょうど弊社の創立記念日が週末と重なっていたので、久々に「草原の我が家@春営地パート2」で過ごしました。

ほんとは景気よく羊でも屠って、羊鍋パーティーを!と思ったのですが・・・
いかんせん、青草が生えてきたばかりで、うちの子達、もう青息吐息というか、すっかり痩せ衰えているので、「食べられる羊も山羊もおりませぬ」という状態。

なので、普通通りの食事でした。
そして、作業的にはいつもよりずっと多かったのでした。

まず2013年4月から1年契約だったバチカさんの契約の終了。
給料の清算とバチカさん夫妻の過失による委託した家畜の損害清算についての合意には達し、弁済の一部は5月の間の放牧で相殺ということに。

そしてバチカさんは離婚を決意。

で、昨日、おとといは自分たちで放牧をやりまして。

これがまた大失敗。
土曜日は見るに見かねたご近所さんたちが馬に乗って、放牧家畜の回収(帰宅)を手伝ってくれたのですが、日曜日は、反省点多数。
久々に朝から晩まで独力での作業となり、いろいろ細かい手順を忘れていたことや、チェックしてくれる人がいなかったことが要因。

やる気だけじゃダメなんだ、とあらためて、チェック機能とかマネジメント機能って大事だなぁと思った次第。

創立記念日だし、ルーキーズに新しいベースキャンプに来てもらっていろいろ話し合おうとか思ったのですが・・・まず、ルーキーズ、ウランバートルからの出発が遅くなり、もうスケジュールガタガタになり、いよよ、人手が必要!という時にガナー君が彼らを迎えに行くために抜けるはめになり、ここからがグダグダになりました。

時間を守るというのは、自分の社会人としての責任であると共に他人との関わりにおいても重要な人間としての素養であると実感。
会社の規則に子供じみたこと入れるのは嫌なのですが旅行業では時間厳守・時間管理は結構重要な責務のひとつであることを、もう一度、ルーキーズに理解し、実践してもらえるように訓練しなければいけないと課題を見つけました。

朝の作業は順調でした。
朝5時くらいのストーブの火つけは冷え性で丑三つ時から夜明け前に悪夢にうなされるガナー君がいつも通り、目が覚めてしまい、火をつけてくれました。
石炭の使い方がいまいち苦手な私にとっては、ラッキー。
ほんとはごそごそしてる物音で起きはしたけれど、そのまま寝袋の中でぬくぬく寝たふり&二度寝。

そして、いつも通り6時半に目覚めて、火をおこし直してお茶づくり。

それから、牛の乳搾り。
日曜日までは3頭を搾っておりました。
ヤンママのシャルガも結構乳の出がよくなってきましたよ。
甘えんぼのゴヨーも大分乳量が増えてきました。

まぁ、乳搾り分は、お茶用と乳の出が悪い母畜の子羊や子ヤギの授乳用なので、そんなにきりきりがんばって搾らなくてもよいのです。
子牛にしっかり飲んでもらって元気に大きくなってもらうのが最優先。

そのあとで、ガナー君やガナー君娘やその従弟が起きてきて、朝食。

子羊・子ヤギを母畜から引き離して、大人な羊・山羊だけ放牧に出す。

子羊・子ヤギは柵の中でお留守番。

そして、ここで失敗。子畜用の干し草を上げるのを度忘れ。

そのまま、羊・山羊を放牧に出します。
子供たちと一緒に草原で、結構楽しく放牧。
小学4年・5年になったガナー君の娘とガナー君の甥っ子たちとお気に入りの「トトロのマーチ」を歌いながらの放牧は相当に楽しい。

でも、ここからまた失敗の連鎖が始まるとは、私は想像もできず。
やっぱり、日々の作業は日々継続することで学び、身に着けるものなのです。
久々すぎて、もういろんなこと忘れちゃってて。

まぁ、ガナー君が留守番部隊のわれらに出していった指示がまた曖昧で、そもそも指示の内容が間違えていたのだから、仕方ない。仕方ないけれど、仕方ないからといって、失敗すると、即「死」に直結してしまうのですから、シビアに修得していかなければいけない作業なんですね、春の放牧って。

羊やヤギは母子は鳴き声でコミュニケーションをとっています。
私には全部がわかるわけではないのですが、特に、お母さんが子供を呼ぶ声ってびっくりするくらい遠くまで聞こえるものなのです。
子供がママを呼ぶ声もまた同様。

だから、相当に距離が離れていても、母子はお互いの存在を確かめると一目散に駆け寄ります。
そのスピードはすんごい速い。
とても徒歩の人間に追い付けたり、群をコントロールするなんて不可能なレベル。

羊の鳴き声「ママーどこー」「ベイビー、こっちよー」

まぁ、結構、順調に羊・山羊を放牧してたのですが、いかんせん、日曜日は風が強かった。
そして、青草が広がる草原に散らばる羊・山羊。
その散らばり方も、馬に乗って放牧している時だったら、なんの問題もなかったのです。
でも、こちらは徒歩。

出遅れるもの、先走るもの、方向バラバラにわが道をゆくもの・・・
きれいに散開した群はリラックスして食欲満々のよい兆候だったりもするのですが、全然まとまらないのです。

うちの羊・山羊はそもそもが反芻タイムで寝そべることがあんまりない、というか私の放牧の仕方が下手なせいか、全然ごろごろしてくれないのです。
それなりにのんびりしているから「落ち着いている」と言ってよい状態かなぁ・・・と。

爽やかなお天気に、朝っぱらからの重労働で、うっかり草原大の字で自分だけ寝そべってしまったのが失敗の元でした。
寝そべったまま、思わず、うたたね。

馬の蹄の激しいビートとオートバイのエンジン音が近づいてきたところではっと気がついた。

目覚めた瞬間、視界に入ってきたのは、うちの羊のしっぽがゆっさゆっさ揺れながら一目散に我が家へと疾走している情景でした。
羊ってこんなに速く走れるんだー・・・

寝ぼけた頭でそんなことを考えている場合ではなかった。

あわてて、お留守番して子羊・子ヤギの放牧に言っているはずの子供たちに携帯で連絡。。。

でも、大人が見てない草原に放牧された人間の子供なんて、リバティそのもの。
サッカー遊びに夢中になって携帯電話なんか取ってくれません。

そして、万事休す。
感動的な親子の再会場面によって、群れはごっちゃごちゃに。。。

仕方がないから、母子セットになった群は家の近くで放牧し、大人組だけ私が放牧することに・・・

でも、お昼時になってたので、ようやく寝そべってくれた!ってところでランチの準備におうちに帰り、子供ひとりに任せておいたら・・・

ここでまた失敗。
都会っこが一人で草原に放牧されたら・・・

あぁ、、、スマホのオフラインでもできるゲームに夢中になって・・・

もう最悪事態に。
しかもここで・・・「ほう・れん・そう」がないモンゴル人により、群がまたもや一緒くたになり風に流れてどこかに行ってしまった、なんてことは知る由もありませんでした。

結果的に・・・

お昼寝してしまった子羊・子ヤギが草原で取り残され・・・
あーーーー


もう仕事の中味や注意事項を把握していない人間の作業ってすごい損害につながるんだなぁってのを身を持って体験しました。

結果的には、今朝、ご近所のラクチャーおじさんが馬に乗って放牧に出てくれて、途中で鳥に襲われている赤ちゃん羊などを発見し、保護してくれたそうです。
やっぱり、今は違う仕事をしているとはいえ、長年の経験がある人ってすごい。
勘だけでどこにいるか、を目途つけて、とっとこ回収していく技術、すごいなー。

足りなくなってたことは実はその当時は気づいておらず。

でも呼びつけたはずのルーキーズは子供たちとの遊びに夢中で昼ごはんを一緒に作りました、ぐらいで全然、今後の話合いとか先週だした宿題というか課題もまったく準備しておらず・・・

3人もいる必要があるのか?とガナー君に厳しくつっこまれ、私も「それもそうなんだよね・・・」という気になってしまう、というなんともいえず、会社組織を作るとか他人も含めての活動マネジメントするって難しいんだなぁってことを考えさせられる創立記念日の週末となりました。

でも、気を取り直して、がんばろう!

多少の失敗はあるにせよ、世の中「見るに見かねて」助けてくれる人も結構いるものなんだなって感じたりもするので。

そして、指示が中途半端だと、中途半端な知識や技術しかもってない人間に働いてもらうことはできない、ということもよく理解したので、そういう意味では有意義な週末でした。

来月からいよいよ本格的始動ですが、大丈夫なのかなぁ?

失敗から多くのことを学べる。
失敗というかよい気づきのチャンスでありました。
ただぼーっとしているだけでも気持ちよいですが、いろいろ失敗して、慌てたり、ムカついたり、ガッカリしたり、ひょえーーーーってなったりすることがよい刺激になるという意味で、放牧って人生修行によい作業です。

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