モンゴルだるま@モンゴル語通訳・よろずコーディネーター兼業遊牧民です。
越冬準備はまだまだぐずついております。
昨日はぽかぽか陽気だったので、一気に引っ越し荷物の移動をしてしまうつもりで「草原の我が家」にいった私たちですが、なんと・・・越冬予定地変更を委託遊牧民のバチカさんに切り出され、茫然。
しかも、井戸水には近いけれど、まともに草の生えている放牧地もなければ、風よけ地形にもなっていない冬営地。
バチカさんの作業は楽になるかも知れないけれど、家畜たちには、全然「好ましい」とは言えない環境です。
さらに、その話し合いをしている途中で、乗用車がやってきました。
アポなし訪問ですが、バチカさんの知り合いだ、ということで、私たちとの話し合いの途中で、彼は乗用車の客人の相手をしに行ってしまいました。
客人の話としては、「一緒に越冬しないか」ということなのですが、老夫婦2人が100頭余りの羊と10頭くらいの牛と一緒に越冬するが、100,000tg/月を支払い、冬営地使用料はいらないから、とのオファー。
水も近くに湧水があり、冬も凍らないとのこと。
でも、ガナー君が、「他人の家畜と一緒だと、またオラーナの時みたいに取り違えやら、こちらが用意した餌の転用や転売される危険がある、と首を縦に振りません。
もともと予定していた越冬地は、冬営地の施設(家畜小屋と干し草置き場)と冬営地周辺の草地利用権として100,000tg/月を権利を持っている友人に払うことになっていたのですが、問題は水。
カザフ人の遊牧民(ナライハという近くの炭鉱町在住)が近くにモーターポンプつきの井戸小屋を持っているのですが、牛1頭あたり1000tg/回が規定料金だ、という話で、彼が常に冬営地にいるわけではなく、彼がいなければ、井戸は使えないし、しかもうちは牛20頭がいるから、1回あたり20,000tgで2日に1回水を与えるとしても、1か月で20,000tgx15回=300,000tg。これは、私のウランバートルでのアパートの水道光熱費・共益費・住宅管理組合費・電話代。インターネット代・ケーブルテレビ代・食費などの生活費1か月分よりも多い額。
こんなバカげた提案をしてくるってことは「お前らには井戸は使わせない」と言っているのと同じだと思うのです。
国で定められたモーターポンプ付きの井戸水の給水所での料金は1リットルが2tg。
牛が1回あたりに飲む量は、約10-15リットル。
20頭といっても子牛も含めているから、ざっと300リットル弱です。国の料金で計算しても20頭全部まとめても、1回あたり、600tg。
20倍以上をふっかけているわけです。自由競争時代だから、と言われたところで、1回1000tgなら、まだわかるけどさ・・・とふつふつと怒りすらわいてくる。
いつから、モンゴル人(というか遊牧民)が自然や大地からの恵みを自分の私物のように扱って、隣人を金づるのように考えるようになったのか?私が外国人だから、という差別なのか?
ガナー君は交渉すれば大丈夫、と言っていたけれど、この料金設定と共に、冬営地から30㎞以上離れたところに住んでいる井戸の持ち主を、いちいち牛が水を飲むたびに呼び出す、というのも現実的ではありません。確かに井戸使用時間約15分、300リットルのために、往復60㎞を移動してくる、ということも含めたら、その人の要求も、まぁ、そうかもしれないな、と思うけれど、やっぱり馬鹿げています。
自分たちで井戸を掘る、といっても、まだうちの所有・占有権のある冬営地がないので、いざ、井戸を掘って冬営地を完成させたら、地元ソムから「召し上げられる」という可能性もあるわけです。
というわけで、結局、第4の選択、ということで、バチカさんが前の冬に越冬した場所の知り合いのところに交渉しに行くことになりました。
ナライハ生まれのカザフ人の家庭ですが、モンゴル語でお話します。
交渉は基本合意。
どこに自分たちのゲルをはるか、家畜小屋等の利用条件などもまぁ、話し合いが終わり、日曜日に大きなゲルなどを冬営地に運びましょう・・・という話になっていました。
ところが・・・昨日の夜中になって、ガナー君がごねだしました。
この第4の冬営地のほぼ同じ場所に、バチカさんの前の雇い主がいて、彼らとの間で、ガナー君はちょっとしたイザコザというか、彼らに因縁をふっかけられていたのです。
「俺は行かない。引っ越すなら勝手に引っ越せよ」と携帯メッセージ。電話に出てくれません。
お天気がいいのに、全然作業ができない・・・
ガナー君の気まぐれやごねるというのは、よくあることなので、あまり深刻に騒ぎ立てる必要はないのですが、ほんと、冬営地を決めるって大変です。
今の世の中、というか草や水、森や風や雪などの条件が毎年、激しく変わって、どこが「理想的な冬営地」なのかがわからないので、「どこか」に決定的に拠点をすえることに躊躇がある私ですが、今回という今回は、ほんとに「流浪の民」な気分です。
自由にあちこちどこでも選んで仮の地に住むというのも楽しいというか、遊牧民っぽい気がするけれど、実際、この引っ越しの労働量と精神的な負担を考えると、ほんとに辛いです。
そして、馬は別のところにオトルに出すことになりました。
はぁ・・・
そして、第4の冬営地は、人がいっぱい住んでいるそうなので、私やガナー君のゲルは建てないということになり・・・
つまりは、冬のツアープログラムは組めないこと決定。
なんだか、えぐい展開になってきました。
ベストな解決策!と思って進めてきた話が、ことごとく崩壊している中で、手探りで「ベストじゃないけど、まぁまぁ、な想定・・・」とにかく、なんとか越冬しつつ、次の展開を考えないといけません。

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越冬準備はまだまだぐずついております。
昨日はぽかぽか陽気だったので、一気に引っ越し荷物の移動をしてしまうつもりで「草原の我が家」にいった私たちですが、なんと・・・越冬予定地変更を委託遊牧民のバチカさんに切り出され、茫然。
しかも、井戸水には近いけれど、まともに草の生えている放牧地もなければ、風よけ地形にもなっていない冬営地。
バチカさんの作業は楽になるかも知れないけれど、家畜たちには、全然「好ましい」とは言えない環境です。
さらに、その話し合いをしている途中で、乗用車がやってきました。
アポなし訪問ですが、バチカさんの知り合いだ、ということで、私たちとの話し合いの途中で、彼は乗用車の客人の相手をしに行ってしまいました。
客人の話としては、「一緒に越冬しないか」ということなのですが、老夫婦2人が100頭余りの羊と10頭くらいの牛と一緒に越冬するが、100,000tg/月を支払い、冬営地使用料はいらないから、とのオファー。
水も近くに湧水があり、冬も凍らないとのこと。
でも、ガナー君が、「他人の家畜と一緒だと、またオラーナの時みたいに取り違えやら、こちらが用意した餌の転用や転売される危険がある、と首を縦に振りません。
もともと予定していた越冬地は、冬営地の施設(家畜小屋と干し草置き場)と冬営地周辺の草地利用権として100,000tg/月を権利を持っている友人に払うことになっていたのですが、問題は水。
カザフ人の遊牧民(ナライハという近くの炭鉱町在住)が近くにモーターポンプつきの井戸小屋を持っているのですが、牛1頭あたり1000tg/回が規定料金だ、という話で、彼が常に冬営地にいるわけではなく、彼がいなければ、井戸は使えないし、しかもうちは牛20頭がいるから、1回あたり20,000tgで2日に1回水を与えるとしても、1か月で20,000tgx15回=300,000tg。これは、私のウランバートルでのアパートの水道光熱費・共益費・住宅管理組合費・電話代。インターネット代・ケーブルテレビ代・食費などの生活費1か月分よりも多い額。
こんなバカげた提案をしてくるってことは「お前らには井戸は使わせない」と言っているのと同じだと思うのです。
国で定められたモーターポンプ付きの井戸水の給水所での料金は1リットルが2tg。
牛が1回あたりに飲む量は、約10-15リットル。
20頭といっても子牛も含めているから、ざっと300リットル弱です。国の料金で計算しても20頭全部まとめても、1回あたり、600tg。
20倍以上をふっかけているわけです。自由競争時代だから、と言われたところで、1回1000tgなら、まだわかるけどさ・・・とふつふつと怒りすらわいてくる。
いつから、モンゴル人(というか遊牧民)が自然や大地からの恵みを自分の私物のように扱って、隣人を金づるのように考えるようになったのか?私が外国人だから、という差別なのか?
ガナー君は交渉すれば大丈夫、と言っていたけれど、この料金設定と共に、冬営地から30㎞以上離れたところに住んでいる井戸の持ち主を、いちいち牛が水を飲むたびに呼び出す、というのも現実的ではありません。確かに井戸使用時間約15分、300リットルのために、往復60㎞を移動してくる、ということも含めたら、その人の要求も、まぁ、そうかもしれないな、と思うけれど、やっぱり馬鹿げています。
自分たちで井戸を掘る、といっても、まだうちの所有・占有権のある冬営地がないので、いざ、井戸を掘って冬営地を完成させたら、地元ソムから「召し上げられる」という可能性もあるわけです。
というわけで、結局、第4の選択、ということで、バチカさんが前の冬に越冬した場所の知り合いのところに交渉しに行くことになりました。
ナライハ生まれのカザフ人の家庭ですが、モンゴル語でお話します。
交渉は基本合意。
どこに自分たちのゲルをはるか、家畜小屋等の利用条件などもまぁ、話し合いが終わり、日曜日に大きなゲルなどを冬営地に運びましょう・・・という話になっていました。
ところが・・・昨日の夜中になって、ガナー君がごねだしました。
この第4の冬営地のほぼ同じ場所に、バチカさんの前の雇い主がいて、彼らとの間で、ガナー君はちょっとしたイザコザというか、彼らに因縁をふっかけられていたのです。
「俺は行かない。引っ越すなら勝手に引っ越せよ」と携帯メッセージ。電話に出てくれません。
お天気がいいのに、全然作業ができない・・・
ガナー君の気まぐれやごねるというのは、よくあることなので、あまり深刻に騒ぎ立てる必要はないのですが、ほんと、冬営地を決めるって大変です。
今の世の中、というか草や水、森や風や雪などの条件が毎年、激しく変わって、どこが「理想的な冬営地」なのかがわからないので、「どこか」に決定的に拠点をすえることに躊躇がある私ですが、今回という今回は、ほんとに「流浪の民」な気分です。
自由にあちこちどこでも選んで仮の地に住むというのも楽しいというか、遊牧民っぽい気がするけれど、実際、この引っ越しの労働量と精神的な負担を考えると、ほんとに辛いです。
そして、馬は別のところにオトルに出すことになりました。
はぁ・・・
そして、第4の冬営地は、人がいっぱい住んでいるそうなので、私やガナー君のゲルは建てないということになり・・・
つまりは、冬のツアープログラムは組めないこと決定。
なんだか、えぐい展開になってきました。
ベストな解決策!と思って進めてきた話が、ことごとく崩壊している中で、手探りで「ベストじゃないけど、まぁまぁ、な想定・・・」とにかく、なんとか越冬しつつ、次の展開を考えないといけません。

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