モンゴルだるま@モンゴル語通訳・エコツーリズム普及仕掛け人兼業遊牧民です。
先程の記事で、引っ越しだん、と書きましたが、まだ大事な作業が残っているのを忘れていました。

それは、ゴミの後片付けです。
モンゴルではゲルを引っ越した後は、床の部分が丸く白くあとになりますが、それも春から夏の移動だと数週間で、夏から秋・冬への移動の場合は、次の草が生えそろうころには、見事に跡形もなく草原に戻ることが原則です。
新モンゴルまるかじり☆旅と暮らしの生情報☆-建てたとき
使用前(5月5日)

新モンゴルまるかじり☆旅と暮らしの生情報☆-夏のゲル跡
使用後(9月30日)



人が生活しているとどうしてもいろんな廃棄物が出ます。
排泄物については、基本的に埋戻し。トイレはおがくずとか、羊たちの糞尿を掃除したものなどで穴を埋めます。生理用品とかトイレットペーパー、ティッシュ、ウェットティッシュの類は、乾燥させたあとで、全部集めて廃棄物用のドラム缶にいれて焼却処分。
焼却灰も土に返します。
土に戻らないガラス瓶や、土に戻るのに時間がかかるアルミ缶や鉄缶は、リサイクル品として回収業者に買い取ってもらえるので分別します。

街から買ってきた食料品などはお客様や私たちウランバートルベースのスタッフが出すゴミはすべてウランバートルに持ち帰ってゴミ捨て場で捨てるから燃やすことができないゴミってあんまり草原の生活では出ないのですが、意外にも自然と共存しているはずの遊牧民って都会的なゴミの廃棄についてはかなり無頓着なのです。ペットボトルとかビニール袋、レジ袋の類はもちろん、なんだかよくわからない靴底とか鼻緒が切れたゴムぞうりとか、注射針(危ないからこんなの地べたにポイ捨てしちゃダメだよね)とか、クスリの包装とか、プラスチック製品の欠片とか、ほんとためらいもなくポイポイ捨てています。

こういう生活ゴミや吸い殻なども徹底的に拾いまくって草原を掃除しなくてはいけません。

ガナー君いわく、「人がいた気配すら消すくらい」の気持ちで、とにかく人が出したものは人の手で回収する、というのが「モンゴルだるま牧場」の基本方針。

今週、私が不在なのでどこまで徹底できるのかわからないのですが、今の仕事が終わったらすぐ、草原の後片付けにかけつける予定です。

ちなみに「トイレ」は踏み板や便座、囲いの部分を綺麗にしてから回収し、次のベースキャンプでも使います。

トイレの穴などを埋め立てるのは、夏中出た羊・山羊の糞尿を乾かしたものをサクサクさせたものです。(ボーツといいます)

牛糞も適当な量なら「肥料」になるのでしょうが、あまりにもたくさん、地面にへばりついていると植物の成長の妨げにもなるし、phが偏ってしまうので、やはり人間様が、メンテナンスして回収(生糞をひっくり返して、なるべくスカスカになる前にしっかり乾燥させておくと、黒光りした密度が高くて固い、乾燥燃料になります)することが大事なんですね。

牛糞の乾いたものをアルガルと呼びますが、これは遊牧民にとってはかなり重要な燃料です。
特に秋のベースキャンプは近くに燃料として使ってよい枯れ木や倒木のある森がないので、越冬地のように長くいるところだと燃料小屋を作りますが、秋のところはあくまで数週間の「繋ぎ」みたいなところなので、大がかりな設備はほとんど作らず、自給自足でまかなえるアルガルを使うのが基本なのです。

ほったらかしにしてしまうと、草原の生態系を壊したり、妨げたりするゴミになりますが、上手に活用することで、人間様の生活も豊かに、草原も豊かに、文字通りの共存共栄ができるってわけですね。


いわゆるバイオマス燃料といえるんじゃないかなぁ?
自然の中で循環している燃料で、しかも、金銭的なコストはタダ。
うちで飼っている牛がベースキャンプ周辺内で出している1日分の糞だけでも、十分に2-3軒のゲルの生活用の煮炊きのための火力や暖房用燃料として1-2日分としては十分な量になります。

冬になると日照時間もへるし、風があまり吹きさらしにならないところをベースにしてしまうし、しかも気温がさがりすぎて、牛糞もそんな簡単に乾燥させることはできませんから、夏・秋もうちにしっかり牛糞も蓄えておく必要があります。

そんなわけで、越冬準備と最後の清掃がかねられているんですね。

というと、なかなかLOHASなエコライフっていえますでしょ?ゲルライフ


にほんブログ村