モンゴルだるま@モンゴルでエコツアー専門の旅行と取材や調査のコーディネート会社を起業して10周年の兼業遊牧民です。

今日はモンゴル旅行業協会の総会がありました・・・
モンゴル国内で最大の旅行業関係者が集う協会です。

今の執行部になってから(2008-2012年)の活動報告・成果についての評価・コメント・意見交換があって、会則の改正についての話し合いなどがあって・・・のはずがですね、活動報告のあとぐらいから、なんか軌道が外れていって・・・

結局、会則の改正は、執行部役員の選出のあとで、新執行部が指名したワークグループが取り組むっていう方針で、今日の総会は「なかったこと」にして、後日、仕切り直しってことになったようなのです。

いや、話し合ってる言葉は全部わかるんだけど、どうして、こんなごちゃごちゃになったのか、ちんまり末席にいる零細会社には全然わからず???

ざっくり考えてみるに、共産主義時代からあった老舗のモンゴル旅行会社「ジョールチン」出身の90年代の大手マスツアー系旅行会社が今の執行役員なんですが、それに対して21世紀に外国人の資金協力者がいたり、外国で観光学・観光マネージメント学などを学んで学位をとってきたアラサー・アラフォー世代の次世代新興勢力との勢力争いが勃発したってことなのかなぁと。

でもね、いずれにせよ、気になったことがありました。

「インターネットの普及とともに、モンゴルにくる外国人旅行者はグループ旅行ではなく、個人旅行やバックパッカーが増えてきた。これによって、我々ツアーオペレーターやツーリストキャンプなどのビジネスは生き残りが厳しい状況になってきている。国の政策としてバックパッカーに対して、なんらかの制限を加えるべきだ」という主張は新旧いずれも共通してたってこと。

私も起業したばかりのころは、日本の大手旅行代理店のパックツアーなどのお仕事も受けてみたことがあります。フラワーガイド(植物観察ガイドとか植物撮影ツアーのインタプリター兼通訳ガイド)として大手旅行会社主催の旅行の現地通訳ガイドとして参加したこともあります。

確かにパックツアーは旅行者さんにとっては格安で「あれもこれも」と毎日ハイライトがあるお楽しみてんこ盛りの「幕の内弁当」的にモンゴルを楽しめるし、現地ツアーオペレーターとしては、まとめてツーリストキャンプやホテルなどを予約できるから割引率やキックバック率も高くなり、利益率が高い。ある意味、15-20人グループで1-2本の7泊8日ツアーを受注できれば、ツアーオペレーターとしてはすごく嬉しい。資金繰りに頭を悩まされないですむから。
でも日本での説明会に自腹で駆けつけなければいけない、とか、ホテルとかツーリストキャンプのサービスを「特別扱い」でしなきゃいけないとか、病院の確保(ができなかったので、私はお医者様を同行手配してたけど)とか、タイムスケジュールがすごくたいとで大変だなぁ、、、お客様全員とえこひいきなく接触して、説明して、といっても、とってもマニュアル的というか画一的になりかねないなぁという自分のなかでの矛盾も感じました。

ガイド的には、ツアープログラムをきちんと同じサービスとクオリティでスムーズに進行するという任務を遂行するためには、同じツアープログラムに何度も同行することで経験をつみ、自分なりのマニュアル化をすれば、ソツなくこなせるようになる。会社的にも安心して同行ガイドとして派遣できる。

一見Win-Winです。

でも・・・なんで、私は、儲かるし、ちょっと大変だけど、慣れればそれほどストレスが溜まることもないし、ガイドの人たちにも経験を積んでもらえるっていういいことだらけのパックツアーに「ひっかかってるんだろう?」

ひっかかってしまったため、結局、なんとツアー会社として起業しておきながら3年目でパックツアーは「やーめた」と放り出しちゃったのです。ツアーオペレーターなのに。


その代わり、ホームページ(今は諸事情で閉鎖)やブログでモンゴル情報を提供して、引き寄せられてくる人たちとのご縁を大事に「あなたのためだけのたったひとつのツアープログラム」をお客様と一緒に「作っていく」というとっても効率の悪い旅行会社になりました。

最初は一人でも多くのお客様に「ディープモンゴルを体験していただこう」と張り切って、お問い合わせいただいた方は、みんな「弊社のお客様になっていただきたい」「逃げられたくない」っていう思いで、かなり無理もしていました。
「格安」「格安」と言われて、無理してコストを削り、リスクヘッジのための「予備費」を削りすぎて、自腹をきるハメになったり、「格安」のために「日本語は上手だけれどホスピタリティが全然ダメな学生ガイド」を同行させたりと大失敗で、結局、お客様にも「モヤモヤ」が残り、私も「イライラ」とか「モヤモヤ」とか「わじわじ」なストレスが溜まって落ち込むという「負のスパイラル」にひっかかってしまったこともありました。

いろいろ試行錯誤をした結果、私が好きな旅、ピンときてツアーデザインがしやすいのはどんな人か?といえば、「旅のイメージがはっきり」してたり「旅の感性に共感」できる人たちだということがわかりました。

若い人は6歳の人から、お年を召された方は83歳まで。男性も女性も幅広く。
旅の感性に共鳴出来る人って、年齢とか性別じゃないんだなぁ。

そして、バックパッカー的な旅をしている人が必ずしも「貧乏旅」にこだわり、ツアー経費を値切りまくるわけではない、ということもわかりました。

自分が満足できる旅をするために、「自分が我慢できる部分は我慢してコストダウンをする」という方は貧乏旅行のバックパッカーとはまたちょっと違う。
我慢できる部分というのは、例えば「到着日に寝るだけのウランバートルでのホテル泊」とか「短時間だけどフライトスケジュールが不安定でとっても高い飛行機」での国内移動をあきらめて、「陸路でオフロードをタイムスケジュール未定・野宿覚悟」で移動する、とか。

これって私は旅行会社なんだけど、いろんな意味で、「我慢」をすることで得られる「モンゴルならではの醍醐味」を感じていただくっていう意味では、バックパッカー的個人旅行のほうが「おすすめです」とおもうんです。

ホテルや国内便で飛行機を使っていただいた方が、ツアーオペレーターとしての「格付け」評価がちょっと上がるとかキックバックや割引率が上がるとか、手配料が入るとか、そういう「儲け」の部分が「おいしい」んだけど、でも、「そうじゃない旅もあり」っていう。
お客様と一緒にコストダウンを考えられるところは一生懸命に経費削減を提案する。
でも、そのときに一緒に「コストダウンしたことによって生じるストレスとかリスク(時間が何倍もかかるとか、凸凹道で腰痛になるかもしれないとか。テント泊になるとか。)はきちんと説明します。というか、リスクだったりストレスだったりすることも、「旅の醍醐味」であり楽しもうと思えば楽しめるのではないでしょうか?と提案させていただいたりします。

メールだけでどこまで「耐えられる」人なのか?がわかるのか・・・わかることが多いと思います。

それに私、ホテルに泊まることで実際のアクティビティにかけられる予算が削られるよりは、ゲストハウスをご紹介して「たっぷりアクティビティに経費をかけていただく」ほうがモンゴルらしく、というか弊社を選んでいただいた甲斐があった!って思えるのです。

だから、私にとっては、バックパッカーだって「お客様になる可能性がある」ターゲット市場なのです。なんでツアーオペレーターがゲストハウスやバックパッカーを目の敵にするのか?
大手の人たちは会社維持のコストもやっぱりいっぱいかかるからかなぁ?

市場の住み分けを考えたら、別にモンゴルにくる人全部が「大手ツアーオペレーターのターゲット」になる必要はないと思うし。

お客様ひとりひとりのご要望に従って、ご予算にあうような形でのツアーをご提案させていただくというのは簡単なことではありません。
何度もメールや電話でやりとりして、あれやらこれやら提案してみて・・・

結局、日本の会社でモンゴルに支店がある旅行会社のパックツアーや定番ツアー商品のほうが「安い」からって、「乗り換えられ」たことも何度もあります。

日本ーモンゴル間の国際便の飛行機代は、以前に比べてやすくなったとはいえ、やっぱり夏のハイシーズンは大人往復8-9万円ぐらいが相場。
一人20万円以下でおさえようと思うと、プログラムによっては、「予算的に無理」なこともあります。

でもバックパッカーが増えてきたとはいえ、モンゴルの地方の現状からすると、まだまだ「完全な自由旅行」は難しいです。ただ「通過」するだけならできるかもしれないけれど、「モンゴルの秘められた魅力」とか「なるほどー!」と目からウロコな習慣や文化などは、言葉が通じる人と一緒に行かないと「つかめない」「知らないまま」通り過ぎることになってしまいます。
それに、「一般的に誰でも行ける場所」に行くのは逆にバックパッカーとして行くほうが「高くつく」こともあるんです。効率が悪いこともあるし。


ゲストハウスの「お決まりの格安あいのりツアー」も参加者のブログや紀行文などを読ませていただいても、「あー、あれも見てないの?」とか「あー、ここスルー?」とか、やっぱり全然自由じゃなくて、「主催者主導型」なのに「行き当たりばったり」で時間の管理とかも全然出来ていないだけじゃん、って感じのものも多い。

だから、私たちのようにプロのツアーオペレーターがお手伝いできたらそのほうが、個人旅行者・バックパッカーの人たちにとっても、嬉しいことだってあるはず。
バックパッカーだから「旅行にお金をかけたがらない」って決めつけるのはもったいないと思うなぁ。

といいつつ、こんな意見をほざくのは、モンゴルにツアーオペレーターが600社あまりもあるといっても、私ぐらいかも?超マイナー意見だ・・・。
ということは自分でもわかっているから、あえて業者の会議などで主張したりはしませんでした。
どうせわかってもらえないもん。ツアオペの人たちは皆さん、ちゃんと観光学を「お勉強」して、パックツアーで外国行って、パックツアー的なガイド方法やマネージメント方法を学んでいるわけだから、バックパック背負って、「次、どうしようかな?」って心の赴くままに「これ、やってみちゃえ」っていう予定表のない旅に「価値」を見いだせないみたいだから。
そして、旅行業協会はツアーオペレーターたちが中心の業者の団体ですから、ビジネスの生き残りのために「良いこと」を考え、意見を交換し、協力し合うことが大切だからね。

まぁ、いいや。わたしはバックパッカー的旅の独自性を愛する旅人を大事にするモンゴル一のツアーオペレーターってことで小さく小さく細々とひっそりマイペースで旅行手配をやればいいことだから。

小さくてもあったかい、モンゴル人の暮らしを肌身で感じたり、モンゴル人と心のふれあいを感じてもらえる、人間としての生きる力を実感できる旅。

モンゴルだからこそ、弊社だからこそ、提供できる。
それは胸張って言える気がする。

なーんてことを、不毛な主義主張のぶつけあいになった会議のなかで意識を浮遊させながら考えていました。

春から旅の手配も承ります。
こんな私ですが・・・ご縁ができたら嬉しいです。

パックツアーを否定するわけではないし、たとえば10人以上のグループで「モンゴルに行きたいんですけど」というご相談を受けないっていうわけでもありません。大事なことは、私と「繋がってる」人と一緒に旅ができたら嬉しいなってことなのかも?

ピンと来たら、気が向いたときにご連絡ください。
連絡先は
mongolhorizon☆gmail.com(☆マークを@にかえてくださいませ)

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