
私はつけた派!
モンゴルだるま@モンゴル在住10周年です。モンゴル国の都会のアパート暮らしですと、暖房はセントラルヒーティングがデフォルトなので、暑かろうが寒かろうが、わりと機械的に9月15日に暖房が入り、5月15日にカットされます。
21世紀以降に建てられたアパートは温度調節ができるツマミがついていたりするんだそうですが、社会主義時代の末期に作られたわがボロアパートはそんなものはついておりません。
このセントラルヒーティングシステムはなかなかよくできていて、火力発電所でボイラー冷却水をお湯としてぐるぐると中央から張り巡らした配管で各家庭・各建物施設に暖房供給しています。
以前、「社会科見学」じゃなかった、日本政府がモンゴル最大の火力発電所である、ウランバートルの第四火力発電所のリハビリテーションプロジェクトをすることになったとき、事前調査で視察に行き、その後も、何フェーズもの改善テコ入れを続けて、無償・有償援助によって整備支援をしております。
今現在も、日本のベテランエンジニアのOBの方々がシニアボランティアとしてマネジメント指導・支援などをしていらっしゃる。
お湯・暖房の供給は発電所からさらに、「暖房・温水配給会社」の管轄にバトンタッチされて、ぐるぐる回る温水がだんだん温度が下がってくるのを、再び温めなおすための熱交換器を通すとか、暖房配管を夏のあいだにチェックするなどの管轄は、「配給会社」の責任となります。
発電所も暖房・温水配給会社も国有会社。
でも、今年は石炭供給の問題とかあったり、意外と「長い秋」で冷え込まなかったので、本格的な暖房は10月1日からってことになんとなくなっていたみたいです。
10月下旬ともなると、「長い秋」も流石に元気がなくなって、冬にセンターの座を譲り渡した感じ。
今日は12時過ぎても、ツルッツルに路面が凍ってるアイスバーンの箇所がありました。
暖房効率を上げて省エネしましょう、というのが最近のモンゴル政府の政策でして、そのための建築基準法、特に暖房・断熱基準の改変が検討されております。
主には発泡スチロールを使った断熱材の導入とかなんだけどね。
正直、高級マンションの作りは立派だし、断熱材を使ってるおかげで外壁も薄くなって空間利用が有効にできるようになってるようなんですけど・・・でも社会主義時代の「無駄に重厚」といわれていたレンガ造りの我が家やオフィスに比べると大したことないかなぁ、、、なんて。
これも結局、土建屋さんとか建築資材の輸入業者・製造業者が儲かるためのテコ入れなんだろうなぁって。
木枠の二重窓は暖房効率が悪いっていわれて、最近は「バキュームツォンホ」っていう韓国とかトルコとかからくる二重ガラスの中を真空にして断熱効果を高めるタイプの窓が主流です。
でも、この窓ね、窓がしっかりしてても真空がしっかりしてないとか、窓枠の設置がいい加減だと、そっから入ってくる冷気が半端ではないのです。
だから、結局、目張りすることになる。
昔のほうがよかった、ってこともありますよね。なんでも最新技術にすりゃあいいってもんじゃなくて。
20年前なんか、扇風機ですら珍しかったのに最近はエアコンで冷暖房・空気清浄もできるようになってることをデフォルトとしてカフェとかレストランのような外食産業施設の許可基準にしてたりするんだけど・・・。
昔の重厚な建物は、夏は涼しく、冬は暖かく、快適に過ごせるようにできてたんですよね。
ブツブツ。
ちなみに草原での暖房は、通年。夏でも夜冷え込むと、プラスでも一桁台まで下がりますからね。
ただ冬は牛糞だけでは暖房としては火持ちが悪いから薪がメインになり、よっぽど寒いときは石炭も導入することになります。石炭を使うことはめったにないと思うんだけど、私、寒がりな上に、薪ストーブつけるのがちょっぴり苦手なので。
今年は近所のナライハの炭鉱の石炭がとても入手困難になっています。
落盤事故が相次ぎ、次々に閉山や操業停止に追い込まれているため。
6時間待ちとか8時間待ちとかザラらしいです。鉱山から自分たちがトラックで買い付けに行った場合、1トンあたりが80,000tgだそうです。
ウランバートルのほうでも、石炭の値段が上がっているというのに、今年の冬はかなり厳しくなる、ということで、国のほうから貧困世帯に対する支援策として、国内の石炭市場価格を安定させるために、バガノール炭鉱(国有会社)から国のほうで300,000トンを買い上げ、ゲル地区の低収入世帯層に割り当て販売するということが決まりました。
冬が本格化する11月半ばから5月まで、40kgずつに25回にわけて供給。1トンあたりは80,000tgとなるそうです。
ちなみに、今、ウランバートルではポーターといわれる韓国製の1トントラック1杯分で250,000tgなのですが、これが、100,000tgで買えるようになる、ということで、ゲル地区住民にとっては、かなりの燃料費負担の軽減策となります。ほぼ卸売の原価で買えちゃうんですものね。
今現在は、1世帯あたりの1昼夜あたりの石炭消費量は、14kgとのこと。
当然、全部をこの行政支援だけでまかなうことはできませんが、でも今、政府が「大気汚染対策プロジェクト」として低炭素ストーブの支援販売もあわせて勧めています。
この低炭素ストーブにすると、従来のストーブよりも燃焼効率があがっていて、約30%分の消費で済むそうです。製造販売がなかなか追いついていないそうですが、この低炭素ストーブ配給対象地域の場合は、459,250tg相当のストーブがモンゴル政府「クリーンエア基金」からの助成金が企業に支払われるので、消費者はわずか24,300tgで購入可能というすごい優遇措置です。
去年からこのストーブ交換プロジェクトは始まっていて、うちのドライバーのガナーくんの実家も去年導入。石炭の消費量がほんとに激減しているそうです。
一年のうち最高気温が-10°C以下の日々が半年余りというモンゴル国にとって、暖房は死活問題。
いかに効率よく燃料を使い、いかに常時一定の温度に保つかが重要です。
草原の我が家も来週中に冬営地にお引越し。
ガナー君が、低炭素ストーブの購入を検討していて、もし、これがゲットできれば、草原の我が家と委託遊牧民のゲルとで低炭素ストーブと従来の薪ストーブの比較利用実験もできます。
遊牧民は「ストーブの火を見て心を和ませる」というので、彼らがこの低炭素ストーブの導入を熱望するかどうかは微妙なところですが、薪を冬の燃料に使う遊牧民世帯も相当数いるので、やはり効率のよいストーブの導入は今後の検討課題ではないか、と考えています。

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