モンゴルだるま@モンゴル語通訳・エコツーリズム普及仕掛け人兼業遊牧民です。
昨日の夜はウランバートル市内では、雨が降ってたので、わーいわーい♪と喜んでいたのですが、残念ながら、草原の我が家のほうは、ただ砂埃が舞う強風だけで雨雲は上空通過してくれなかったそうです。

残念!

引っ越ししようと思うと風に阻まれる、というのがもう既に1か月弱続いているのですが、まぁ、とにかく、昨日は新品ゲルのカスタマイズは終わらせることができたので、よし、とすることに。

モンゴルでは、車も家も新品で購入したものがすぐ使えるわけではありません。
自分たちの使い勝手がよいようにカスタマイズする必要があります。

ゲルの場合は、パーツを組み合わせる際に、のこぎりが活躍します。

ゲルは円形の素敵な空間ですが、最初からきれいな円形になるわけではありません。
なんとなく円形、というのを、ちゃんと屋根が張れる円形にするためには、多少の小細工が必要です。

目分量もいいところなのですが、それでもちゃんとなるっていうのが経験ですね。
ゲルパーツも都会のゲル市場で売ってるものは工場生産なのですが、工場生産ゆえの脆弱さというか、木目とかいろんなことを無視して作ってるから、ちゃんと組み上がらない。

今回の新品ゲルは、ガナー君が購入した自前ゲルなのですが、去年、あっちやらこっちやらから自分でパーツごとに買い集めたものなので、結構、いろんなところがちぐはぐ。

出来合いのものは嫌だ、といいつつも、まぁ、全部が全部満足できるものを購入するのは難しいってことであります。

昔は、というか、今でも、市場やお店から遠いところに住んでいる遊牧民の人たちの中には、自分たちで、全部のゲルパーツを自給自足、自作している人もいます。

モンゴル国のモンゴル人遊牧民が一番好きなのが、ボルガスという柳の仲間で作ったゲルです。
木目などをしっかり吟味すれば、一生ものなんだとか。
さらにゲルは釘を一本も使わず、組木細工のように凸凹ではめ込んだり、ラクダの生皮をハナなどのジョイント部分に入れ込んで、結び目を作ったものを釘替わりに使うんですね。
ラクダの生皮、というのはゴビアルタイ出身の委託遊牧民であるローヤおじさん一家のお話ですが、他には牛の生皮だったり鹿の生皮だったりを使います。
いずれにせよ、生皮のきれっぱしを突っ込んでおくと、あとできっちり乾かせば、しなやかながら、千切れたりしないとっても丈夫で釘よりもよっぽどシナヤカで年に4-10回ぐらい組み立て直すゲルnにとっては優れものの材質なんだそうです。

今の世の中、やれ川沿いのボルガスは切っちゃだめだ、とか、材木ひとつ切り出すのにソムから許可手続きを取ったり、お役人様の立会費用などもかかったりとめんどくさいので、うちみたいに街の市場から100㎞圏内だったりすると、できあいパーツを買った方がお手頃なんですね。
また、昔みたいにのんびり、自給自足・・・って感じだったら、ゆっくりひとつひとつ手作りできるけれど、夏が旅行者受け入れシーズンで、遊牧作業以外も忙しい私たちにとっては、まだまだ、全部手作りゲルを建てるというのは先の夢です。

$新モンゴルまるかじり☆旅と暮らしの生情報☆-ゲルカスタマイズ中


写真は、2代目委託遊牧民のローヤおじさん。

ほんと、委託遊牧契約は息子に譲ったというのに、何かと面倒を見てくれるありがたい師匠です。