モンゴルだるま@モンゴル語通訳・コーディネーター・エコツアー仕掛け人兼業遊牧民です。
私は個人的に「兼業遊牧」という形で、「庶民的遊牧民が経済的に自立して遊牧経営を行う」ためにはどんな生活スタイルがありうるか?というテーマで試行錯誤しています。
研究というほど、学術的に厳密ではないし、経営というほど、利益追求型ではない。
「このくらいの家畜がいれば、5年後には自立経済が営めるのではないか?」と1996年ぐらいにモンゴル全国の遊牧民世帯を対象に行ったヒアリングを元に、シミュレーションを組んだことがあるので、12年ほど経て、社会人・モンゴル長期滞在者としての生活基盤が出来てきたところで、実際に家畜とゲルを購入して実験することにしました。
未経験の素人ではあるけれど、一応は、モンゴルの遊牧生活を10年ほど観察してきたわけですから、まったく知識がないわけではない。モンゴルの遊牧経営や遊牧技術などについての文献なども20年前から集めているので、まぁ、なんとなく、マニュアル的に始められる基盤はできている・・・
と思ったわけです。
試行錯誤は時に経済的打撃だったり、精神的打撃だったり、肉体的ダメージ(凍傷とか筋肉痛とかハウスダストのアレルギーとか)を伴いますが、それでも、自分の財産を使っているってことで、とてもリアルに痛みや喜びを経験できています。
こういう個人的なものとは全く質は異なっているけれども、参考になるなぁ、というか、日本の学術調査がゴビ地方の地方行政や地域住民とコラボレーションして行っているフィールドワーク・研究・砂漠化防止と遊牧経営の持続的発展への試みの動画があったのでご紹介させていただきます。
ドンドゴビアイマグのサインツァガーンソムが舞台です。
地元のソム役場と地元コミュニティの協力を得て、3つのパターンで、放牧地のポテンシャルを維持・改善するための試みを行っています。
1つ目は、冬営地で使う放牧地を囲い、他の家畜が他の季節に侵入できないようにしながら、近くで飼料用作物の農耕栽培を行う。
2つ目は、遊牧パターンは通常通りで冬季に使う放牧地にフェンスを張り巡らせて保護する。
3つ目は、遊牧の規模を小さくしながら、遊牧生活での伝統工芸・フェルト細工などを観光客に販売することで副収入を得る。
3年間のフィールドワークを続けているとのことですが、今後もこの研究調査プロジェクトは続くようです。
こういう研究調査って継続しながら、経過を追う事で傾向を見極めたり、いろいろなパターンの条件を与えながら、比較調査をしたりすることで、成果が上がるものだと思うので、今後も結果をシェアさせていただけたら嬉しいなぁと思うのです。
私が暮らしている草原は、ウランバートルから近く、一応、地下水源が全くないわけではないところで、深刻な砂漠化とか草地荒廃ということでもありません。草資源が豊かなわけではないので、冬は干草や補助飼料などの外部補給が不可欠ではありますが、それもまた、ひとつの調整方法だと思います。
研究活動の場合、第三者的立場で客観的に観察するってことが大切。
数値とか統計とかのデータが重要です。
一方、私の場合は、当事者であり、いかに、自分の家畜を守るか、増やすかと、自分の家畜をどのように活用するか(食べる・毛皮や乳製品・肉・毛を売る・生きたまま売るなど)、減らすかなどは単純に自然と家畜の関係だけでなく、経済活動として行うことが重要なのです。
生き物が対象ですから、いかに彼女ら(私の家畜の大半は雌なので)が快適に、気持ちよく健やかに育ち、家畜としての使命を全うできるかに、より大きな注意を払っています。
研究結果を待って、自分の遊牧経営の方法を変えて行こう、というほど悠長ではないので、とにかく、本に書いてあるとか、フォーラムとかセミナーで聞きかじったテクを使ってみるとか、委託遊牧民の経験や希望などを元に実践してみるという「がむしゃら」な実験遊牧なのです。
3回目の越冬はとりあえず無事、終わったような感じではあるけれど、まだ、全然、手ごたえとか、自分ひとりでなんとかマネジメントできるっていう指針はつかみきれていません。
一応の方針としては、ラクダ以外の家畜(羊・山羊・馬・牛/牛は今年購入予定)を飼うことと、エコツーリズムの実践ということで観光業を組み合わせることでの、自立経済の確立を目指す、ということにしています。
今のところ、取り決めた委託遊牧料が足りないのか、お金の使い方が悪いのか、なんか、委託遊牧民の若夫婦は、年に何度も追加資金援助をリクエストしてきます。
彼のお父さんに任せていたときは、そういう金銭的な無心はほとんどなくて、あったとしても20,000tgとか小額のもので、それはチップ的な感覚で渡すことも抵抗がない感じでした。
若いから物欲も多いせいか、まだ新婚世帯で生活基盤がそろっていないせいか、などももうちょっと検討しなければいけません。
経験がある遊牧民だけが生き残るってことではなく、伝統の継承も重要視しながら、未熟な遊牧民も伝統的な知恵や最新の技術や科学的知識を吸収することで遊牧を成立させることができるようになるならば、若者の地方離れによる過疎化とか、移動の回数が減ったりすることでの放牧地の荒廃、都会のスラム化や失業者の増加といった問題も解決できると期待しています。
携帯電話やインターネット(3G環境)の普及によって、田舎にいるから情報が得られない、という問題は大分解決してきました。
50局余りの国内外のテレビ局の放送をキャッチできる携帯型衛星パラボラアンテナとテレビのセットなども登場しています。
都会に出なくても、必要なだけの現金収入を確保できる、ということになれば、大抵の遊牧民出身の若者は、草原での暮らしを選ぶんじゃないかなぁ、、、
いずれにせよ、研究調査は日本だけでなく、実に様々な国が共同調査を行っています。
これらの研究調査の成果や経過情報を一般的なモンゴル人ともシェアしてもらえると、いろんな意味で参考になるし、自然と人間の共存共栄の世界的モデルとして、遊牧文化を人類の遺産として残すことが可能になる、、、っていうのは夢想のしすぎでしょうか?

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私は個人的に「兼業遊牧」という形で、「庶民的遊牧民が経済的に自立して遊牧経営を行う」ためにはどんな生活スタイルがありうるか?というテーマで試行錯誤しています。
研究というほど、学術的に厳密ではないし、経営というほど、利益追求型ではない。
「このくらいの家畜がいれば、5年後には自立経済が営めるのではないか?」と1996年ぐらいにモンゴル全国の遊牧民世帯を対象に行ったヒアリングを元に、シミュレーションを組んだことがあるので、12年ほど経て、社会人・モンゴル長期滞在者としての生活基盤が出来てきたところで、実際に家畜とゲルを購入して実験することにしました。
未経験の素人ではあるけれど、一応は、モンゴルの遊牧生活を10年ほど観察してきたわけですから、まったく知識がないわけではない。モンゴルの遊牧経営や遊牧技術などについての文献なども20年前から集めているので、まぁ、なんとなく、マニュアル的に始められる基盤はできている・・・
と思ったわけです。
試行錯誤は時に経済的打撃だったり、精神的打撃だったり、肉体的ダメージ(凍傷とか筋肉痛とかハウスダストのアレルギーとか)を伴いますが、それでも、自分の財産を使っているってことで、とてもリアルに痛みや喜びを経験できています。
こういう個人的なものとは全く質は異なっているけれども、参考になるなぁ、というか、日本の学術調査がゴビ地方の地方行政や地域住民とコラボレーションして行っているフィールドワーク・研究・砂漠化防止と遊牧経営の持続的発展への試みの動画があったのでご紹介させていただきます。
ドンドゴビアイマグのサインツァガーンソムが舞台です。
地元のソム役場と地元コミュニティの協力を得て、3つのパターンで、放牧地のポテンシャルを維持・改善するための試みを行っています。
1つ目は、冬営地で使う放牧地を囲い、他の家畜が他の季節に侵入できないようにしながら、近くで飼料用作物の農耕栽培を行う。
2つ目は、遊牧パターンは通常通りで冬季に使う放牧地にフェンスを張り巡らせて保護する。
3つ目は、遊牧の規模を小さくしながら、遊牧生活での伝統工芸・フェルト細工などを観光客に販売することで副収入を得る。
3年間のフィールドワークを続けているとのことですが、今後もこの研究調査プロジェクトは続くようです。
こういう研究調査って継続しながら、経過を追う事で傾向を見極めたり、いろいろなパターンの条件を与えながら、比較調査をしたりすることで、成果が上がるものだと思うので、今後も結果をシェアさせていただけたら嬉しいなぁと思うのです。
私が暮らしている草原は、ウランバートルから近く、一応、地下水源が全くないわけではないところで、深刻な砂漠化とか草地荒廃ということでもありません。草資源が豊かなわけではないので、冬は干草や補助飼料などの外部補給が不可欠ではありますが、それもまた、ひとつの調整方法だと思います。
研究活動の場合、第三者的立場で客観的に観察するってことが大切。
数値とか統計とかのデータが重要です。
一方、私の場合は、当事者であり、いかに、自分の家畜を守るか、増やすかと、自分の家畜をどのように活用するか(食べる・毛皮や乳製品・肉・毛を売る・生きたまま売るなど)、減らすかなどは単純に自然と家畜の関係だけでなく、経済活動として行うことが重要なのです。
生き物が対象ですから、いかに彼女ら(私の家畜の大半は雌なので)が快適に、気持ちよく健やかに育ち、家畜としての使命を全うできるかに、より大きな注意を払っています。
研究結果を待って、自分の遊牧経営の方法を変えて行こう、というほど悠長ではないので、とにかく、本に書いてあるとか、フォーラムとかセミナーで聞きかじったテクを使ってみるとか、委託遊牧民の経験や希望などを元に実践してみるという「がむしゃら」な実験遊牧なのです。
3回目の越冬はとりあえず無事、終わったような感じではあるけれど、まだ、全然、手ごたえとか、自分ひとりでなんとかマネジメントできるっていう指針はつかみきれていません。
一応の方針としては、ラクダ以外の家畜(羊・山羊・馬・牛/牛は今年購入予定)を飼うことと、エコツーリズムの実践ということで観光業を組み合わせることでの、自立経済の確立を目指す、ということにしています。
今のところ、取り決めた委託遊牧料が足りないのか、お金の使い方が悪いのか、なんか、委託遊牧民の若夫婦は、年に何度も追加資金援助をリクエストしてきます。
彼のお父さんに任せていたときは、そういう金銭的な無心はほとんどなくて、あったとしても20,000tgとか小額のもので、それはチップ的な感覚で渡すことも抵抗がない感じでした。
若いから物欲も多いせいか、まだ新婚世帯で生活基盤がそろっていないせいか、などももうちょっと検討しなければいけません。
経験がある遊牧民だけが生き残るってことではなく、伝統の継承も重要視しながら、未熟な遊牧民も伝統的な知恵や最新の技術や科学的知識を吸収することで遊牧を成立させることができるようになるならば、若者の地方離れによる過疎化とか、移動の回数が減ったりすることでの放牧地の荒廃、都会のスラム化や失業者の増加といった問題も解決できると期待しています。
携帯電話やインターネット(3G環境)の普及によって、田舎にいるから情報が得られない、という問題は大分解決してきました。
50局余りの国内外のテレビ局の放送をキャッチできる携帯型衛星パラボラアンテナとテレビのセットなども登場しています。
都会に出なくても、必要なだけの現金収入を確保できる、ということになれば、大抵の遊牧民出身の若者は、草原での暮らしを選ぶんじゃないかなぁ、、、
いずれにせよ、研究調査は日本だけでなく、実に様々な国が共同調査を行っています。
これらの研究調査の成果や経過情報を一般的なモンゴル人ともシェアしてもらえると、いろんな意味で参考になるし、自然と人間の共存共栄の世界的モデルとして、遊牧文化を人類の遺産として残すことが可能になる、、、っていうのは夢想のしすぎでしょうか?

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