海外で働く。
海外就職。
まだ日本で働いていた頃、海外で働くという事は、無条件で良い事・あこがれるべき事だと思っていたし、事実、あこがれていた。
日本での仕事内容も、常に海外(北米)の事務所とやり取りが業務の中心だった。時折、現地で仕事をしている日本人が帰国し、我々のオフィスに立ち寄った時などは、彼等から海外就職人のオーラを感じ取ったりしていたものだ。
「いつかは俺も」
そう思っていたし、そうなれると自信はあった。
ところが、いつの間にか私は違う路線のレールに乗ってしまい(これが悪いというわけではない)、気がついた時には欧米ではなくアジアの、それも東南アジアの、タイのバンコクで海外就職人となった。
海外で働くと一口に言っても、
欧米、アジア、しかも香港・シンガポールではなくバンコク。 駐在員、それとも現地採用。
色々あって、色々大違い。
一般的な認識に従って言うと、海外就職人のヒエラルキーにおいて頂点に来るのは欧米の駐在員。 これは間違いない。 そして、限りなく底辺に近い(もしくは底辺そのもの)のが、タイの現地採用。
自虐ではない。 一般的な認識を従って言うと、だ。
大したスキルがなくとも、英語・現地語が殆ど出来なくとも、海外在留邦人としての一般常識に疎くとも、この国では何がしの仕事に就ける。
ハードルが低い。
だから、ヒエラルキーでは限りなく下。
間違いない。
無責任なメディア、無責任な人材紹介会社は言う、
「タイに生産オペレーションをシフトする日本企業が多く、コスト高の駐在員を削減する動きの中、現地採用の重要性が増してきている」 と。
表面的でいい加減な正論は言うが、タイ現地採用の実態については大して語らない。
実態はリアルである。
たかだか5万、6万バーツの給料しかもらっていない人も多いし、それ以下の人もいる。
5万、6万バーツがタイでは大金?
yesでありNo。 そして出鱈目。
今時のタイ人、ちょっと探せば5万や6万もらっているタイ人は腐るほどいる。 確かに一般のタイ人にとっては大金かもしれないが、それだけで外国人の日本人が生活するのは簡単ではない。
タイ人と同じような飯を食い続け、同じような住居に住み続け、同じような余暇を過ごし続け、同じような将来設計を立てる続ける。 短期間だけのお試しではなく、この先ずっと。
それが出来る人であれば、5万6万バーツの価値も変わってくるだろうが、普通の人であれば無理な話。
長くいるとタイ飯も飽きてくれば、安アパートでの生活も寂しくなる、(日本人として)人並みの旅行もしたければ、時には日本に帰国したい。
普通ならこう思う。 思うようになる。
こうなってしまうと、5万6万の給料では何もかもがキツクなる。
最低10万は欲しいと思うようになる。が、現地採用で10万取るには、それなりのスキルや経験が無いと厳しい事に気づく。
そういう物事の本質に気づくと同時に、当然時間はその分だけ経過しており、もう世間では若いと呼ばれる年齢ではなくなる。
さあ、どうする?
無責任なメディア、無責任な人材紹介会社は、この点についてどう思う?