この世はつくづく不公平なものである。
幸運にも、金持ちの家に生まれるだけで、その先何十年の人生がどう転ぶかの50%以上は決定されたも同然。
このロジックは世界中どこでも基本同じなのだが、タイの場合は結構あからさま。
金持ちに生まれるか、スラムに生まれるか、そんなものは自分で選べるわけもなく、考えれば考えるだけ理不尽。つまり、誰もこの不条理について納得出来る答えを出せないから、カルマ等という都合が良いシステムが信じられているのかもしれない。
わが社のスタッフの中に、大金持ちのご令嬢がいる。
なんでも、ある製薬会社オーナー社長の娘らしい。
とにかく、着てる服がいつも違う。しかも高そうな服。
さすが根っからの金持ちは違うな、と思うのは、そんな高級な服を、その子、見事に着こなしているからだ。
私のような一般市民にありがちな、「服に着られてしまう」というような地雷は絶対に踏まない。 どこぞの成金オヤジのようなまがまがしさは一切なく、生まれながらにハイソな環境に育った人間は、センスまで見事に磨かれているらしい。
センスというのは憎たらしい物で、彼女の場合、会社で皆一斉に作ったおそろのポロシャツを着ても、なぜかキマってしまう。反面、全く素材のポロシャツを着ていても、センスのない人間は、あえてダサく着こなしてしまう。 その差の大きいこと。 もう苦笑するしかない。
彼女が乗っている車は、意外な事にニッサンのティーダ。
が、これはあくまでも通勤・気分転換用らしく、別途自分用のBMWを持っているっていうから妙に納得。
加えて、彼女、性格もすこぶる良い。 金持ちにありがちな(と一般市民が信じて疑わない)自己中で人を見下した態度等も全く無い。
天はニ物を、というが、ニ物でも三物でも持ってる奴は持ってるのだ。
そんなハイソな彼女だが、
給料、たったの18,000バーツ。
年は30手前くらいなので、極めて平均的、というか少ない方かもしれない。
彼女にとっての18,000バーツなど、もはや鼻紙に等しい額だろう。 毎月の洋服代だけで、その何倍もの額を楽勝で使っていておかしくないのだから。 もし彼女が犬を飼っていたら、その犬の餌代だけで、月に30,000バーツは使っていることだろう。
どうせ、彼女にとってここでの仕事というのは、ほぼ趣味、というか暇つぶしのようなものなのだろう。
と、生まれつきのネガティブ野朗である私は、最初そんな風に思っていたのだが、
非常に熱心に仕事をするし、アイデアもいい。 彼女は、広報関係の仕事をしており、この仕事は地方への出張も多いし、週末に絡む事も多いのだが、そんな苦労をいとわずアチコチ行く。
金持ちだから、、と変な色眼鏡で見ていた私は結果的に猛烈に反省したのだが、これほどまでに輝いている人間を身近で見たのは初めてだった。
もう、何から何までハイクラス。
金持ちに生まれるか貧乏に生まれるか、そんな事は自分でコントロールできるモノではないのだが、この子の場合、もし経済的に恵まれない生まれであったとしても、同じように性格が良く、仕事が出来て、センスが良い人間になったような気がしないでもない。
でも、同時に、結局は金持ちとしての絶対的な余裕があるから成せる業なのかな、、
と、またしてもそんな風に思ってしまうネガティブ野朗がいたりして、
もし金持ちに生まれていたなら、やっぱりこんなネガティブ思考もなかったのだろうな、という結論に至った自分。
最終的には、やはりどうしようもないネガティブ野朗である事を再認識した次第である。