モンゴルの民謡として世界に誇る2大唱法である「オルティンドー」と「ホーミー」。
オルティンドーはモンゴル国と中国(内モンゴル自治区のモンゴル族対象で)の2国が共同で登録。
馬頭琴も同様に二国共同申請で登録認定されています。


そして、ホーミー。
こちらも2009年に登録申請が承認された!と思ってたら・・・
蓋を開けてみたら、なんと、中国が「抜け駆け」して単独申請、なんと承認されちゃってた!!!

あわてたモンゴル国の文部科学省のユネスコ担当。

さっそく、ユネスコ本部に直談判。

本来、ホーミーというのは、アルタイ山脈山麓部に暮らす騎馬民族あたりが発祥といわれていて、倍音唱法ともいわれてて、アルタイ共和国、トゥバ共和国などロシア連邦の一部地域、中国の内モンゴル(でも、今主力なのは、モンゴル国のホーミーを継承しているものが主力だとか)にもあったりで、大小の国をあわせると約15カ国にもまたがっているとても国際色豊かな、マイナー民謡唱法であります。

ゆえに、ユネスコ本部も困ってしまい、、、

「中国とモンゴルの研究者等を含む専門家、担当管轄機関などの関係者同士でよく協議した上で、最終的な決定を下すこと」という指導勧告で、とりあえず本部は下駄を預けた形。

中国が「正式」と発表したものでも、ユネスコが認定した後でも、覆すことができる!というさすが、元祖「グイグイ共和国」のモンゴル国です。あきらめずに主張することの大事さっつーのを如実にあらわしております。

というわけで、ホーミーそのものは世界遺産になる価値のある伝統的な民族文化として認定されました。あとは、「じゃ、どこの国?」って話ですが、中国も、モンゴル国内のウラン鉱脈や金、石炭等の経済鉱区を狙ってバンバン無償援助でインフラ建設プロジェクトなどもやってますし、なんといっても国境を接している隣国。チベットやウイグルできな臭くなっている今日この頃、北京からも近いモンゴル民族を敵にするのは得策ではない、と考えるのが常套でしょう。

なので、ソフトランディングで「オルティンドー」等と同様の扱いになる可能性が出てきました。

今回の騒動は、モンゴル国民の「世界遺産」登録への期待度を高めるとともに、「世界遺産」そのものの意義のひとつである、「世界的に稀有な自然景観や伝統文化等を永続的に継承し、保全していく」ということに対する見直しをするきっかけにもなりました。

特にホーミーについては、トゥバ共和国に世界に先駆けて設立された「国際ホーメイ協会」もありますしね。
ただ、「うちが元祖だ。ホンモノだ」と主張して、「ホーミー歌手」を名乗るためには、モンゴル国ホーミー協会に入会して外国人会費として、結構な金額を支払わなければいけない、とか、ほんの数秒、使うか使わないかわからない音源の録音のために何百ドルものギャラをふっかけるなど、「貴重な外貨収入源」だ、とその威厳を振り回して、他国から顰蹙を買う、というのは、もうやめたほうがよいと思います。

伝統文化の継承と維持、世界への普及などは、もっともっと柔軟に、そして、本当にその国民の宝物であり先祖から受け継ぎ、そして次世代へ繋いでいく義務と責任が課されたものである、という意識を国民が持つようになった、という、今の流れをもっともっと定着、普及させていく必要がありますね。

以前、この記事(⇒http://ameblo.jp/mongol/entry-10363898148.htmlをクリック)で紹介させていただいた日本人の若手映像作家がモンゴル国で取材撮影をして製作した映画:「チャンドマニ ~モンゴルホーミーの源流へ~」がロードショー中です。
私がユニクロのカシミア製品CMのモンゴル撮影をコーディネートしたときに、ウランバートルにいた「ホーミー歌手」として登録されていて連絡がとれた人全員を対象にしたオーディションで選ばれたダワー君も出演しています。

ダワー君、トゥメンエヘ歌舞団ではホーミー歌手としてよりも、むしろリンベという横笛奏者として活躍中。でも、馬頭琴もできるし、打楽器もバッチリ。容姿端麗で性格も控えめでとってもキュートな青年です。

ホーミーの名手でありながら、性格も穏やかで、とても協力的という、取材者にとっては、実に頼りになる逸材。

彼がドキュメンタリー映画でも大きく取り上げられているみたいで、私も嬉しいです。

こんな風に、外国人でも、その国の伝統文化を後世に残したいって熱意をもって惹きつけられている。ホーミーには、そういう強い魅力があるんですね。まさに「世界遺産」にふさわしい素材です。

世界遺産として、世界人類共通で大切にしたいって思えるように、中国・モンゴルの関係者の皆さんが、誰もが納得し、未来の継承者にもきちんとバトンタッチできる形で決着をつけてくれることを期待します。

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