2月4日は、相撲界は目まぐるしく動いていたことと思います。
そして、ここ数日の朝青龍の心の揺れ動きも、報道されている以上に激しかったことと思います。

でも、引き際を自分で決めた、ということで、日本での評価はなされ、泥沼じゃなくなったことは、今後の彼の人生にとっても、とてもよかった、と思います。

本人は、「おぼえていない」ということで「殴ったかどうか」もさだかでないし、「示談書で、「そういう事実はなかった」という形におとし、身代わりになったアメブロでも朝青龍マネージャーとして、横綱の動向を更新し続けていた男性自身が、「勝手にやった」ことして責任をとって辞任をし、、、と言う形で、周囲の多くの人たちが横綱・朝青龍を守るために犠牲になったり、莫大なお金などのやりとりもあっただろうし、なんとか、相撲界でがんばりたい、と思ってたのかもしれません。

示談が成立し、というか、もともと「殴打事件自体がなかった」こととなってしまえば、なんとかなるんじゃないか、だって、「なかったんだもーん」としらを切りとおす、という手段で、今回もまた乗り切れる、「相撲界への貢献はすごいし、俺がいなくなったら、協会も大損だぜ」という気持ちになったこともあったかもしれない。

でも、最終的には、引退勧告を文書で受け取る前に、親方との話し合いによって、「引退を決意」するにいたった。

将来的なことを考えて、壮大な損得勘定があったと思います。

モンゴル人力士の先駆者で、関脇どまりで、金鉱山詐欺疑惑などがあったにも関わらず、引退、帰国後、国会議員にまでなった旭鷲山・バトバヤル氏のことを考えれば、横綱という大相撲の頂点に君臨し、モンゴルの国民的ヒーローになったからには、「大統領を目指す」ぐらいの野望は抱いていることと思います。

もはや日本での報道でたたかれる、ということよりも、祖国・モンゴルでの受け止められ方が、同情的なベクトルにいくようにするためには、どのような対応がベストか、と考えたら、今回の形、話の内容がもっともよかった、ということでしょう。

今日のモンゴルの大手日刊紙のほとんどが、かなりのページを朝青龍の進退問題に割いていました。

周りのモンゴル人の反応としては、「一般人を殴ったり、正体を失うまで酔っぱらったり、ということで騒動になっているのだから、当然だ」という人と、「あと、4-5年は横綱として相撲界に君臨できた実力があったのに、記録達成を阻止しようとしたんじゃないか」とか、そもそも「暴力事件自体が、示談和解で、「被害者本人」が「事実ではない」と文書で出してきたのだから、なかったことにしてもいいんじゃないか」と事実自体が「日本人によりでっちあげ」で「横綱バッシングなんだ」とする人もいました。

面白いなぁ、と思うのは、昨日か一昨日あたりは、朝青龍が横綱でいることでの大相撲協会のメリットは年間24億円近くにもなるのだから、「金づるをやめさせるわけがない」と思っていた、という意見もあること。

いずれにせよ、モンゴル人にとって「横綱・朝青龍」の位置づけ、象徴的意味合いは、日本とは大きく違うってことです。

「罪悪感」とか「自己嫌悪」とか「自己反省」というのは、日本人に比べると、かなり意識的レベルとしても低いというか、たくましい「自己肯定」と「自己愛」に満ち溢れる国民性。

何がよくて、何が悪いのか、品格って何か?武道としての相撲道における「道」が目指すべき方向性はどっちにむかっているのか、ということは結局、横綱という最高点に到達しても、本質はつかみきれないままの引退、というのが残念でもありました。

さて、この朝青龍の引退劇について、モンゴルでどのように報道されるのか?
明日の新聞記事に注目です。

モンゴルマスコミの動向もさることながら、在留邦人のみなさんは、モンゴル人の反応は様々であり、以前の「サッカー事件」での逆日本人バッシングがないとも限りません。
ただでさえ、犯罪件数が増える傾向のある「旧正月前」のあわただしいシーズンですから、ささいなことでの「とばっちり」や「逆恨み」や「意図的な反日感情あらわにした嫌がらせや暴行」などがない、とは思えません。

一人歩きは十分気を付け、慎重に、そして、わいわいと道を歩く時に日本語でベラベラ大声でしゃべったり、「朝青龍」のことを一般大衆が集まるような場所(飲食店やカラオケバー、パブ、サウナなどや人通りの多いところや物陰が多い道など)で話題にするのは避けた方が、身のためではなかろうか、と考えます。

ついついホットな話題だから、しゃべりたくなっちゃうけれど、いっくら「悪童」だといわれても、いざ、引退、となると、身びいきにもなるものですから、どんなに親しいモンゴル人とでも、横綱の悪口を日本人の私たちが口にすることは我慢したほうがよいと思います。私も口がむずむずしますが、悪口は言わないようにしなきゃ、とこの意外な展開での「引退劇」に自重するようになりました。

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横綱・朝青龍の引退は残念だけど、引退記者会見は、よい幕引きだったと思います。
もっともっと頑張ってほしかったけど・・・「もう2度と引き返せない。終わったこと」という横綱の言葉、本当にその通りですね。そのことを身にしみて感じ、自分で決めたことが、今後の彼の将来によい影響を与えますように。
そして、このことで日本とモンゴルの関係に影響が出る、とかそういうことがないように、皆が冷静に受け止めてほしいです。残ったモンゴル人力士の皆さんも、今後とも相撲道をまい進していただきたいと思います。