ウランバートル市のマンション・アパートの建物の入り口ごとに、張り紙が張ってあります。
「18-50歳の男子は、徴兵登録の更新を1月4日から20日までに済ませること」と。
国民パスポートとか、徴兵手帳などを持参の上、住民登録しているホロー(地元行政の区役所の出張所のようなところ)に出頭のこと、だそうです。

モンゴル国では、18-25歳までの徴兵検査に合格した男子は全て徴兵の対象となっています。
社会主義時代は3年間、社会主義時代末期から1990年はじめは2年間でしたが、1990年代後半からは1年間、に期間はどんどん短縮されています。

また徴兵拒否・逃亡は国家反逆罪対象となり、最大懲役刑や重労働などが課せられますが、金銭で納める、許可を得て自宅からの通勤勤務なども認められています。

国外で生活しているモンゴル人にも徴兵召集はかけられるようで、国際結婚して先進国で定職についている人などは、いかにして徴兵を免れるか、と躍起になっているようです。

モンゴル人の徴兵に対する考え方も市場経済化への移行期以降でずいぶん変わってきています。
以前は、国に心身ともに健康と保障された健康男児であり、国に貢献し、いろいろな技術を覚え、立派になった故郷に錦を飾る、ということで、特に地方出身の徴兵満期終了後の男性は、地元女性にモテモテだったそうです。

また地方、フブスグルの辺境地・タイガに暮らすツァータンたちにとっては、モンゴル語の標準語を覚えたり、三食と着るものの提供があること、自分の生活圏とは違うところでの暮らしで見聞を広めるなど、ものすごく名誉があり、憧れでした。残念ながら、多くのツァータンの青年が持病を抱えていたり、標準体重を満たしていないなど身体検査で不合格になってしまっていました。
でも、市場経済化移行期に徴兵されていた人たちは、主にウランバートル近辺の森林地帯で「食料調達部」というところに配備されて、野生の鹿やガゼルなど食肉用の獲物の狩りが主な任務でそれ以外は、大工仕事など、日常生活でもよくやっていた作業だったので、とっても楽しかったとのこと。

徴兵、軍隊というと、やはり厳しい訓練や上官からのいじめやリンチ、というのが映画やドラマで出てきますが、実際、モンゴルでも日常茶飯事です。

ラブワゴンのドライバーだった「てっちゃん」も2年間の徴兵期間中の2年目の途中で、喧嘩がエスカレートした集団リンチで踏んだりけったりされての腎臓破裂という命の危険にかかわるような目にあい、途中で除隊、外科手術でつぶされた腎臓を取り出し、一命を取り留めた、ということです。

おかげで、ガナー君は、ママの猛烈な「大事な長男を死ぬほどリンチしておいて、まだうちの息子を・・・」と抗議したおかげで、徴兵免除になったそうです。
まぁ、銃をうつのが大好きで喧嘩が大好き、という弟は「狙撃部隊」に配属され、1年間の任期満了後、政府高官の擁護の職についたりしていました。喧嘩っ早いため、長続きしないのですが、まぁ、顔は広いようです。

つい先月、徴兵された若者による痛ましい事件が国境警備隊で起こりました。
常日頃の厳しい訓練や上官のイビリなどに業を煮やしていた新兵数名が、上官を射殺、部隊のドライバーを拉致し人質にしながら、車で逃亡という前代未聞の大事件でした。
上官自体も、本来の対象にすべき上官は、休暇をとっていて、殺害された人は代理をしていて、奥さんにも「訓練にも不熱心で、命令に従わず、非常に集団行動に不向きな不穏分子がいる」ともらしていた、ということです。

犯行グループは「度重なる上官の嫌がらせに耐えかねて」と証言していましたが、周囲の人たちからも、都会出身で、自由気ままで責任感の薄い、ぐうたらで性格的にも乱暴で集団行動を見出しがちだった、と証言が出ていました。

戦争状態からはずいぶん遠ざかっているモンゴルでも、軍隊内部という機密で守られ、なかなか現状把握ができない環境の中では様々なドラマが起こります。

90年代初頭も、「どれだけ食料難になっても相互助け合いで餓死者が出ない」というのが自慢だったモンゴル国でも、栄養失調により腸チフスなどの伝染病が広がり、直接的な死因は餓死だった、という徴兵の新兵たちがいて衝撃を受けたものでした。

そんなこんなな徴兵制ですが、免除されても、45日間の国防・有事における国民の義務などに対する基本的な知識や技術などの予備役研修というものがあるそうです。最近は、大学生は免除だったり、国家公務員や国会議員などの「おえらいさん」の子供は免除、外国に出稼ぎに出ている人は免除、などと様々な免除対象者が出ております。

韓国ではどれほどの大スターでもアイドルでも2年間の徴兵義務を逃れることはしないようですね。
あの「ヨン様」は徴兵、行かなかったみたいだけど、韓流大スターの面々のアクションが迫力があるのもうなずけます。

ガナー君も徴兵手帳は持っているので、来週、登録だそうです。
どっちにしても、最近、とみにガリガリなので、今徴兵検査やっても絶対受からない気がします。

にほんブログ村 海外生活ブログ モンゴル情報へ
にほんブログ村