本日は、午前中はゴロゴロ、グタグタしちゃいました。
洗濯とブランチを作り、ゴミ捨てした以外は、なーんも家事してない。

子供が実母のところで週末を過ごすことになったため、なんかこちらもまた、息抜きというか、とてもだらしなくなっちゃいました。脱力。

まぁ、あんまり最初からいい子ぶって、いい「ままはは」を演じようなんてしても、すぐにボロが出てしまうから、誰もがノビノビ、穏やかに、自分らしさを持てるペースっていうのが確立できるまでは、多少の妥協とか、割り切りとかあってもいいかなぁって。

でも、今日は、「仕事が終わったら、第一に取り組もう!」といっていた、この冬、どうやって購入した家畜を飼おうか、という方針を決めるための大事な下見に行ってきました。

家畜が今、いるのは、バヤンチャンドマニというトゥブアイマグにある村で、ウランバートルから北西65kmほどのところ。
そして、ガナー君のお父さんが、集約的酪農牧場を実践するために選び、ガナー君にとっても、愛着のある故郷は、ウランバートルから南東へ65kmほどのところにあるのです。98年に放牧地の15年間の占有権は獲得しているのですが、21世紀に入ってからは、ガナー君の家族の誰もこの場所を使っていない、という場所。
去年から、西部から移住してきた遊牧民が冬営地を使ってしまっていて、さて、どうするかっていうことになってたのです。

選択肢は

1;今、冬営地を使っている家族と一緒に越冬する。
2;かつて一緒に「ホトアイル(相互協力関係にあるお隣さん。必ずしも家族親戚などの関係でなくても、関係者たちの合意によって、くっついたり離れたりする集落のこと)」を組んでいた、チュカさんというやはり西部のザブハン県からやってきた遊牧民のおじさんと一緒に越冬する。
3;今、羊やヤギをバヤンチャンドマニで面倒みている遊牧民と契約して、引き続き家畜の世話をしてもらう。

といったところが現実的なのです。
1;については、ガナー君は、「別にいいんじゃない」って鷹揚に構えているけれど、ガナー君ママも私も、実は、この家族については、胡散臭くて信用できないんじゃないかなあ、という印象があり、なんとなくやだなーって感じなのです。でも、越冬地自体は、ガナー君パパが「ここぞ!」と選んだ場所で、このあたり一体の中では、一番条件がよさげな場所だから、場所だけは譲りたくない。あの家族、でてってくれねーかなー、というのが、自己中心的な私の願望。

2;のチュカさんのところは、今年、越冬のための冬営地の場所が少し移り、もろに風の通り道っていう場所になっています。でも、彼らが飼っている家畜の数はそれほど多くなくって、他の会社からも預かってたりするから、経済的にもそれほど逼迫していないし、何よりも、何年間も彼らが西部地方から身寄りもなく移住してきた際にガナー君の実家が結構いろいろと協力していた、という恩義もあるし、今は中年夫婦だけで数百頭もの家畜の世話をすることになっているから、私達のような働き盛り、力持ちでやる気はあるけど経験がない、っていう新米さんとのホトアイルだと、いろいろ相互扶助的な関係としては理想的でもあるのです。

3;については、お金の問題だけなんだけど、ママが嫌がっているから、まぁ、もめるのも厭だし、放牧地も荒れていて、これからしっかり家畜を固太りさせないといけない時期においておくのは心配。せっかく買ったって言っても、越冬してみたら、半分に減ってた、なんて事態は勘弁してほしいもの。

なぁんて、考えながら、まずはガナー君たちの昔の冬営地に行きました。うーん、やっぱりいいところ。
何がってわけではないのですが、とにかく落ち着くっていうか、これからここでがんばるのねー、ってイメージが強く湧いてくる。
なんとなく、の勘でしかないのだけれど、多分、去年、ここにいた家族、今年ここで越冬するのはあきらめるんじゃないかしら、というか、あんまり彼らの気配が感じられないぞ、、、。
どうしても、ここを手に入れたい。ここで暮らしたい、と風に吹かれながら思いました。

30分ほど散策し、もしも、ここで暮らすことになったら、畑はここに作ろう、とか井戸を掘ろうとか、弟のショベルカーとかを使えば、水泳用のプール兼貯水池とか作れちゃうな、とかバスケットコートかテニスコートも作れちゃうね、とか好き勝手なことをガナー君と話し合うのでした。
今、見えている谷間全部をゲットできれば、あとはお金と自分たちの労働でなんとか夢をかなえることができるのです。

一軒家建てちゃおうか、とか、サウナつきのおっきなお風呂があるといいよねー、とか、夢はどんどん膨らんできます。

すると、遠くの方に薪を抱えた人を二人乗りで乗せているバイクが見えました。
こちらを見てるようなんだけど、近づく気配もなく、かといって、ただ通り過ぎるわけでもない。

私は、はっと、「ここに去年越冬した家族の誰かに違いない」と思いました。
ガナー君も双眼鏡で様子を伺っているけれど、近寄ろうとはしません。
この辺でも静かな情報戦が行われているのかなぁ、と思いました。

その後、ソートンを車から降ろして併走させていると、進行方向の向こうからでっかいモンゴル犬が2頭、わんわんほえながら走ってきます。あわてて、息がぜいぜいとあがっているソートンを車の中に収容。

犬の後ろから、軽トラがやってきました。
真ん中に赤ちゃんを抱いた女の人がいます。
車から降りてきた男は、ガナー君に挨拶。
1;で問題となっている家族の主人でした。

男「君がまた遊牧するって噂だけど、もう決定したの?」


ガナー君「まぁね。去年から戻ろうって話は母ともしてたんだけど、ようやく状況が整ってきたからね、そろそろかなって思ってるよ。それにしても、うちの冬営地、去年と比べて随分荒れ果てたな。お前のところの家畜、多いのかい?」

男「いやー、たいしたことないよ。羊とヤギ、あわせて600頭ってところさ。それに牛がちょっと。よかったら一緒に越冬しようぜ。」

ガナー君 「そうだな。まぁ、よく考えないとね。うちは今のところは、羊とヤギで数もそれほどでもないんだけれど、じきに牛や馬も手に入れて、集約的な農場経営をしたいって思ってるんだよ。あんまり家畜が多すぎても、せっかくいい条件の冬営地が荒れちゃうからね。携帯電話の番号を教えてくれよ。そのうち、また連絡するよ。」


男 「いやー、いろいろ慌しくって、まだ冬営地の修繕もままならない状態なのさ。来週ぐらいから家畜小屋の修理に出向くつもりだったんだよ。うちはいつでも大歓迎さ」

世間話をして、親兄弟や共通の知り合いの近況などを話し合いながら、表向きは和やかに、ものの10分くらいで話は終わって、別れました。

でもね、私は彼らがかなり慌ててるんだろうなと思ったし、この家族と一緒に越冬っていうのはありえないな、とも思いました。何が、っていうわけではないのですが、いろいろと胡散臭いオーラが匂ってくるからでした。

まず、牛がちょっと、というのが嘘なのです。すでに、私達は、彼らが牛30頭、馬80頭近くを持っているという確かな情報をゲットしているのです。

その後、すぐにチュカさんところに行きました。前回は奥さんしか会えなかったのですが、今回はチュカさんも出迎えてくれました。人目で素朴な生涯遊牧民って感じの人。西部地方のなまりがかすかにあります。
質素でも、誠実そうな居心地のよいゲルです。犬も可愛いしw

チュカさんの話によると、前回、ガナー君ママと会ってから間もなく、チュカさんが、あの冬営地を使っている家族に「ガナーたちが帰ってくるらしいよ。お前らどうする?」みたいな話を向けていてくれたのだそうです。そして、彼らは、彼らのお母さんがいる場所へ冬営地を移す、ということも検討している、という話でした。

まぁ、今回はかるいジャブの応酬でした。
いずれにせよ、まずは、羊とヤギはチュカさんにお任せすることにしました。
給料を払う、という話も特に出ることはなかったけれど、労働力と多少のお礼はするつもり。

今年の冬は、私も多分、日本に出稼ぎに行くんじゃないかっていう気もしているし、娘も小学校に入学したり、住む場所が変わったりといろいろ環境が変わっているところなので、あんまり急激な変化をするよりは、徐々に基盤作りをしていったほうがいい、と思いました。

越冬地がどこになるかはわからないけれど、ともかくも来週中に購入した羊とヤギを実際に自分たちの管理下におき、いよいよ牧民生活のスタートラインが見えてきました。