今日、ウランバートルから北北西60km弱行ったところにあるトゥブアイマグ・バヤンチャンドマニソムで羊とヤギの群を購入するための着手金を払っちゃいました。

払っちゃいました、というのは、ほんとは8月12日がモンゴルの暦だと家畜の売買には縁起の良い日、といわれていたのにもかかわらず、共同出資をするはずだったガナー君と大喧嘩になってしまい、うやむやになっちゃってたからです。

この大喧嘩の原因というのは、わりと我々の生活の根幹をなすところの問題で、双方ともに譲れないって感じで、私もこれまでもきちんと腹をわって話し合おうではないか、と解決への道を模索していたのに、のらりくらりとガナー君がしていた挙句、爆発したのでした。

それはガナー君の愛娘のしつけについてなのでした。
幼い頃に両親が激しい闘争と裁判により離婚が成立したため、今は母親と父親の実家を行ったり来たりの生活。どちらも決して裕福ではなく、かつ仕事が忙しいため、正直、子供は自分の手元に置きたいけれど、しつけも教育もほったらかし、に近い状態であるように見えます。

つまりは子供のご機嫌取りで飴やらチョコやらジャンクフードやらを娘の要求のままに与え、娘がご機嫌を損ねれば、機嫌を直すまでかまい続け、すっかり我儘で高慢ちきなガキンチョにしちまったのです。

顕著な例が、あいさつができないこと。
これは、剣道ガールとして3歳からびしばししつけられてきた私には、どうにも我慢ならん。
大人の人に対しての敬意というか、丁寧に挨拶をしたり、子供として分相応の振る舞いっつーのがあるということがまるでわかっとらん。これで9月からは小学校に入学なのですから、あきれたもんです。

字もあまり読めず、というのは、まぁ、いい。うちの弟も小学校1年生の2学期後半まで、自分の名前に入っているにもかかわらず、「し」の字を鏡文字で書いていたけれど、今じゃあ、大企業のエンジニアで一軒家を持つ一家の大黒柱なんですから。学校の成績なんざ、あんまり関係ない。

お父さんに甘えるのもまぁ、許す。っつーか、まだまだ甘えたい年頃なのねー、とちょっとうらやましい。
私は、あまり父親に甘えたっていう経験がないので。せいぜい2歳ちょっとまで。弟が生まれてからは、ねちゃねちゃと甘えるとか我儘をいったりオネダリをするなどの行為は制御されてきたのです。
でも、それはそれで、別によかったんだけどね。

幼稚園に入って、剣道を始め、「1に健康、2に社会性、3に勉強」と稽古前のお説教で毎度毎度聞かされ続けてきたわけで、社会性っていうものについては、まずは「あいさつ」と「けじめ」をつけることから始めるべしって、叩き込まれてきました。

あいさつができるかどうかってやはり大事なことだもんねー。

んでもって、ガナー君の娘はまるであいさつができない。
こんにちは、もなければ、ありがとう、もない。ごめんなさい、もない。
むかーし、むかしのモンゴルでは、親しい間柄ではありがとうもごめんなさいも、水臭いから、「言わなくてもわかってるっしょ」ってな感じで省略していた習慣がありますが、この餓鬼娘は、そういう心もなければ、ただの我儘で傲慢なだけなのです。

相手に奉仕されるだけでいいっつー人間関係は3歳までだっつーの。

ということで、あったまにきちゃったのでした。
娘にへこへこしてて、がっつり叱れないガナー君にも幻滅して、炎天下の中、ずんずんと車を降りて、馬鹿親子をおいて、なんと20kmも歩いて家まで帰っちゃいました。しかもパンプスで・・・
足の豆も家に帰るまで気づかなかったほど、かっかしてました。あわてて血圧を下げる薬を飲んじゃった。

んでもって、、、思ったことは、やっぱり仕事が忙しいのはいたしかたないとしても、あまりにも親としての責任をまっとうしていない両親では気の毒だが、だからといって、このような小娘に私の生活を振り回されるのは嫌だってこと。
いつもいつも、こまっしゃくれた餓鬼なわけではないのですが、母親の元で2-3日過ごした後、ガナー君宅に戻ってきた直後は特に最悪なのです。
なんだ、こいつ・・・って感じです。

わたしゃ、あんたの父親の雇い主なんだよ!
あんたの態度いかんで、父親、職なしになり、さらには私、借金取りの鬼となって取りたてるよ!!
という高圧的な気持ちにすらなってしまうのです。

こんな餓鬼の生活費のために、わたしゃ給料なんざ払いたくもない。
ほかのドライバーを雇っちゃいたい!!というくらいにむかついてしまうのです。

正直、自分の実娘一人まともに育てられないような奴に、数百頭もの家畜が管理できるわけはない、と思ってしまいます。

家畜と人間は違う、といっても、血のつながった小娘に頭があがらず、きっぱりとした人間としての躾ができないというのは、やはり管理能力、指導能力、群のリーダーとしての能力の欠如を意味しています。

幼児期は、言って聞かせるってのが難しくって、飴を使うこともあるでしょうが、でもね、乳歯が全部虫歯で溶けてなくなるほどに飴漬けにするってやっぱり親としておかしいでしょ?

どっちかの親が歯医者に連れて行ってやれよ!と。
結局、私が連れてったんですよ。そして、うぃーーーーというあの神経を逆なでする機具での治療を抑えつけてやった挙句、悪者ですよ、私。うぅ。。。なんで、他人の娘に恨まれながら、歯医者に連れてく羽目になったのか、自分でもわからない。。。
乳歯だから、虫歯になってもいいってもんじゃあないって思うんですよね。
私、奥歯に2本虫歯があるだけ(というかC1段階で削ってかぶせてある)なので、あんまり歯医者さんの虫歯治療とは縁がないからわからないんだけど、いくら神経の根っこまで生えてないっていっても、あとから生えてくる永久歯に悪影響を与えるでしょ?そういうことって、なんか我慢できなかったんだなぁ。。。
将来のこと考えたら、っていうか、歯がないってことは、まともに噛めないわけですもんね。
そして、私もソートンを他人に預けているうちに、石齧りのやりすぎで歯がかけたり、擦り減ったりで、まだ6歳なのに前歯と牙がボロボロになっちゃった、という負い目もあったりするんです。すまぬ、ソートンって。

一本も健康な歯がない5歳児ってあんまりじゃない?
しかも、なまじ顔が可愛い、きっとあと10年もしたらきれいなお嬢さんになるでしょうね、って顔立ちなだけに、歯がボロボロなのがイタマシイのです。

これほどまでに、躾がなされていない餓鬼は世界広しといえど、そうそういないと断言できる。
田舎の子供たちといえば、5歳すぎれば立派に家事の担い手の一人です。
羊の群を追い、燃料となる薪や牛の糞を拾い集め、水汲みをしたりするのです。
手伝いではなく、立派に彼ら子供の役割として担っているのです。
彼女よりもよっぽど貧しい、両親も小学校を4年生までしか修了していないって家庭もあるけれど、もう少し、聞き分けがよいのです。

なまじ、親しい人の子供なだけに、その傍若無人ぶりが許せない。

今、こんなに我儘で奔放だと、きっとあと10年後には、どっかのバカ息子と避妊もまともにせずにHして、子供を孕んで、平気で堕胎費用を親にせびるようなバカ女になることは間違いなしなのです。

ここで父親らしく、奮起せねばいけないというのに、おろおろし、「君はきつすぎる」と私に逆ギレするのは本末転倒です。

親は仕事が忙しくとも、その背中で、子供を養っている責任の重さをしらしめ、そのまなざしでビシッとしつけるのが役目だと思うのです。

子供を産んだことないからわからない、なんていわせない。
私だって親になりたかったことだってあったけど、縁がなく、やむをえなかったのだから、仕方ない。
親にはなったことはないけれど、親に育てられた経験だってあるし、ベビーシッターだって家庭教師だって、サイクリング教室のジュニアリーダーだって、小学校の地区班長だってやってたんだい!

教育心理学の授業だって「優」をとってたし、交換留学でくる高校生のオリエンテーションだってやってたわい!!

そもそも、剣道をやっていた時のことを考えると、親子であろうが、他人であろうが、人生の先輩から学ぶことは謙虚に学び、感謝をし、自分の考えは理路整然とロジカルに表明できるまでは、無駄な口答えをしないで相手に敬意を表す、というのが、正しいガキンチョの在り方なのです。

他人に口出しされたくなければ、親としてキッパリしつけをしてるんだから、口出し無用、というぐらい言ってみろ!!!

なぁんて、マシンガンのようにまくしたてたら、、、なんと、ガナー君、泣き出してしまいまして。。。

男泣きって久々に見ましたよ。

「君の言っていることはいちいちごもっともなんだけど、自分だってうまくできないこと一杯あるんだぁ・・・」みたいに泣き言。

本人も、自分が子供と接する時間がなく、たっぷり接する時間があった時は仕事がなくてお金もなく、しかも奥さんに捨てられた、、、っていう未練がたっぷりで子供にまで気が回らず落ち込んでて、、、ようやく元気が出てきたら、シーズン突入で、休む暇もなく働きづくめでお金の心配はしなくてよくなり、自分も働く意欲や、将来への希望とか夢や欲が出てきたのはいいけれど、、、やっぱり娘とまともに接して、躾をするっていう時間がなく、ただただ甘やかし、可愛がり放題になり、ちょっと外出している間に元奥さんが娘をもっていっちゃって、しばらくすると元の目阿見の我儘な娘に後戻り・・・という状況のやばさは実感しつつ、でも解決策も見当たらず、、、成り行きにまかせるしかないか、、、ってな心境のところでの、私の爆発に思わず、涙してしまったのでした。

こういうシングルファーザー、世の中にはごまんといるのだろうか?

奥さんに財産をむしり取られて、子供の養育押しつけられ、未練と恨みたらたらで、お酒に逃げちゃったり、やけくそになったこともあって、、、娘という異性に戸惑うばかりで、、、こまっしゃくれたことを言われても、ただ、ただ可愛いばかりで叱ることもまともにできず。。。

それもまた辛いよね。

だって、
「お父さん、いつも一緒にいるわけじゃないのに、たまに帰ってきたときだけ、偉そうなこと言わないでよ」なんて言われたら、傷つくもんね。
まだそこまで、理路整然ときっぱりとした舌鋒鋭い攻撃ができる年頃じゃないけどね。
でも、このままだったら、絶対、あと数年でそういうこと、言われます。

普通以上に丹精込めて子育てされ、しつけられてたはずの私ですら14歳の第二次反抗期での父親への攻撃と根拠のない反抗は強烈だったのだから。

小学校にあがるまでの期間、つまりは今の時期が、ガナー君親子にとって一番大事な時期だと私は思うのです。

なので、8月下旬のガナー君の仕事は一切キャンセルして、別のところから車を調達することにしているのです。この配慮、偉いと思うんだけどなぁ、私。誰も評価してくれないけどさ。

まぁ、そんなこんなで崖っぷちの正念場を迎えている男・ガナー君ですが、羊とヤギの子供連れの母親家畜を、羊80組、ヤギ50組、あわせて、130組x2頭=260頭をおんぼろデリカをあわせて630万トゥグルグ(42万円相当)で6月から交渉し、ようやく手うちとなったのがつい先日のこと。

そして、私はデリカを供出し、彼が差額分を現金で出して折半するってことで折り合いをつけていたのですが、どこまでも運の悪い男・ガナー君は、サイドビジネスがうまくいかず、テナントに逃げられ、挙句の果てに売却処分するはずの財産も、売り先の資金繰りがうまくいかず棚上げ。

じゃ、家畜購入の話はなかったことにしよう、というのには、あまりにも惜しい話で、、、
というのもこの羊が、改良品種の純血種で普通のモンゴル羊よりも脊椎1個分多いという品種のもので、ヤギも高級カシミアとして珍重される「赤ヤギ」品種と上等のミルクがとれる「白ヤギ」品種なのです。
1990年代、国有財産であった家畜が私有分配され、せっかく品種改良したり優良品種として輸入されたものだけを集めて飼育していた「トルゴン・スレグ(絹の群)」や「ツゥミンスレグ(核の群)」がバラバラになり、ただのモンゴル国産種との混血でその純血性が失われつつある現状の中で、賢い遊牧民によって守られてきた数少ない純血種だっていうのです。ちゃんと血統書なんかもあるわけで、ナンバリングもされているというところが、なかなかおもしろく、1996年から社会主義経済時代の集約的牧畜の離散後を追い続けている私にとっては、興味深いことでもあるのです。

仲間割れする原因として、「ガナー娘」はくすぶり続けることでしょうが、そこはそこ、ビジネスはビジネスってことで、共同経営の契約を結び、財産の損失がないように予防線をはりつつ、40歳代の実験課題ってことで牧畜に手をつける、というのも面白かろう、と割り切ることにしたのが今日のことなのです。

「シンデレラ」の継母みたいな意地悪ばばぁ役にならずにすむように、できる限り、プライベートへの介入はしたくない、っつーか、ガナー娘よ、ひっこんでろ!!と思うのですが、あまり態度を硬化させることなく、大人の女としての寛大さと慈愛は惜しまぬようにしようとも思っています。

考えてみれば気の毒な娘です。計画的な出産ではなく、いわゆる「年の差10歳。まだまだ遊びたい盛り、娘ざかりの18歳」での妊娠がきっかけとなった「できちゃった結婚」で駆け落ちし、さらには、お金に目がくらんで、韓国人のおっさんと結婚するために、駆け落ちまでした旦那であるガナー君と結婚わずか3年足らずで全財産をひっぱがした挙句捨て、さらには、その韓国人おっさんとも結婚した途端、1年足らずで計画離婚で慰謝料がっぽりもらい、さらにまた別の韓国人と・・・と結婚と離婚を繰り返し、男から金を巻き上げ、今では春を売る娘のあっせんをするマネージャーにおさまっている女性が母親なのだから。ある意味、この元奥さんの人生も波乱万丈です。
母親の家に連れて行かれたところで、可愛がられて一緒にいてもらえるのはわずか1日ちょっとで、またすぐにホッタラカシにされること数日間。
そして、父親のところに帰るとぐずれば、様々な玩具やお菓子が買い与えられ、父親宅に戻ってきても、また同様。父親も仕事で忙しく、たまに郊外に遊びに行けるときは、デブチンでみょうちきりんなおばちゃんがくっついている時だけ。。。父親に対してすねたり、こびたり、怒ったりしたところで、あんまり大したものはもらえないし、、、。物を与えてもらったところで、「これじゃなくて、あれがほしい」、「バナナ2本じゃなくて、ヨーグルト3個って言ったのに」という我儘ぶりでありがとうの一言も言えない。
物を受け取る時も、両手でうやうやしく頂いて、おでこにちょこんとつけて、にっこり笑う、という子供ならではのモンゴル人らしい仕種もできず、にらみ顔でひったくり、野生動物のように部屋の片隅で独り占め。

こりゃ、ほんと大変です。ガナー君、けっぱれ。
遊んであげるだけが父親じゃないぞ。しかも、その遊ぶお金すら私が払ってたりするんだけどね。
感謝してほしいってわけでもないんだと思うんだけどね、私も。

なんでしょうね。。。

家畜を飼うってことになると、当然、草原で暮らすことになるわけで、また娘と離れ離れになっちゃうんだよ、お父さん、大丈夫??

そんな疑問があって、私は家畜購入に懸念を表明していたわけですが、、、

ま、いっか。駄目なら駄目で、売り払えばよいのだから。
そうなったら、冬は私も日本に出稼ぎに帰ることにしようっと。

生き物を飼う、育てるって、そんな簡単なことじゃないっていう問題山積みな今日この頃ですが、なんとかなっちゃうのがモンゴルだったりするんだろうなぁ。。。

最近、日本で「世の中そんなに甘くない」っていうことがモンゴルでは通用しないこともありそうだ、という気がしています。その辺、相互扶助がまだ残ってるのでしょうね。

でも、やっぱり、ガナー君はツメが甘いので、また大失敗するのかもね。
失敗してみないとわからないことって色々あるし、失敗は成功の母ですからね。
ともかく、命がけで試練に立ち向かうっていう覚悟が彼にできているのかどうか、、、そこはもうちょっと詰めないといかんな。

ほんと、市場経済移行期にガキんちょだった人たちって、甘いよなぁ。。。

日本にはびこっているというモンスターペアレント、たぶん、モンゴルにも似たような人たち大勢いると思います。

遊牧民への道は遠く険しい。。。

のんきそうなモンゴル人にも悩みのひとつや二つあるってもんです。

それでも地球はまわり、季節は巡る。
立ち止まってる場合ではないのです。

勢いだけで話を進めちゃだめなんだよ。
何事もある程度の計画性と問題の洗い出し、解決策、対応策への準備が大切なんだからね。。。

あー、、、また私、大失敗するのかなぁ?