5月になり、1年ぶりにバリバリモードで仕事に取り組めそうなスケジュールです。イェイ!
ゴビ砂漠の植物が3年間、芽を出さなくても、雨さえ降れば一気に大地を突き破り、一夜にして緑の草原となるのと一緒で、私もまた1年間の沈黙を破り、より一層パワフルにモンゴルの大地を駆け回るぜぃ!みたいな勢いが心身に満ち溢れています。

第一弾は、モンゴル日本人材開発センターで一緒に「日本語通訳ガイド養成講座」の講師をやってくれたタンちゃん(日本語べらべらの美人でぴっちぴち若いホテル経営者!)の大事なお客様ご一行のゴールデンウィークを利用してのツアー。
雇われガイドといえども、全力を尽くすのじゃ。

てな感じで、心意気も高く挑んだツアーは大満足。
素敵な出会いがいっぱい。

日本はやっぱり素敵な人がいっぱいよのぉ!

さて、、、テーマが「犬と歩けば」であるように、楽しい旅の一方、ウランバートル居残り組となってしまった、愛犬ソートン(シェパード5歳)の話です。

ソートンの心の友、私にとっても頼りになるお兄さんである「にくさん」も週末、テレルジ乗馬ツアーでいないため、預け先がなくなってしまい・・・中村獅童似のバヤラーの実家にお願いすることに。
今回は、なんとお母さんの強い主張で、有料・・・ま、しょうがないんですよ。
夏用のゲル地区にある住居に老夫妻で乗りこんで犬の世話、となるわけで、やれ石炭や薪の購入だのなんだのといわれ、、、ま、いいや。仕方ないものねーと。
それにしてもガイド報酬の40%がソートンのために使われることになりました。
でも、ま、仕方ない。シェパードは誘拐事件もよくあるし、運動量も多いので、まじめに世話をしようとすると大変かもしれないしね。。。おばさんは引退したとはいえ獣医さんだったし、2月にはトムの看病もしてくださったことだし、、、ととりあえずは納得。
ソートンさえ、元気で楽しくお留守番できればそれでよし、と納得して預けて行ったのですが・・・

ツアーを終えた翌日。ソートンを迎えに行こうとして、ゲル地区で迷子に。
区画整備ができているわけではなく、無計画に拡張されたゲル地区で、もちろん、地図などに載ってません。一応、通りの名前や番地はところどころに書いてあるんだけど、肝心な預け先の住所をひかえていない。。。

久々にゲル地区のラビリンスに迷い込みました。
さまようこと30分。

集中して、ソートンを感じる、という作戦に出る。
すると、まさか、この道であるわけない!というほど、見たことのない道に足が向かう。

でも、曲がり角をひとつ曲がって、発見!ありました。

そう、わずか5泊6日でツアーをしている間に、新たな家が建ち、新たな柵ができていたので、まるっきり景観が変わってしまっていたのです。こんな風にどんどんゲル地区もウランバートルも急速に変わっているのだなぁ。

扉をトントンたたくと、懐かしいソートンの声!
他にも2匹のグレートデンと1頭の狼との混血犬=オオカミ犬も吠えているんだけど、やっぱりわかるんですよ。ソートンの声は。

扉を開けてもらうと、狂喜乱舞で駆け寄ってくるソートン。
でも、なんか、変。

何が変なんだろう・・・?

ソートンとはモンゴル語で、とんがったでっかい耳、地獄耳といった意味があるのですが、その自慢の三角にピンとたった耳が片方、へんてこりんに垂れているんです。
かわいらしいピンク色の耳の内側が黒ずんでるし。。。

と思ったら、預かってくれていた人の話だと、どうやら、預けた翌日に、オオカミ犬と格闘して負傷したんだそうな。。。

同じ敷地内にいるグレートデンの親子とはすぐに仲良しこよしになって、一緒に遊ぶようになったのですが、もともとグレートデンのおっきい方といつもケンカしているオオカミ犬は鎖につながれていたんだそうです。
皆が楽しく遊んでるのに、僕だけ鎖につながれ一人ぼっち・・・とオオカミ犬が思ったかどうかはわからないけれど、たまたま横をとりすぎたソートンを襲ったんだそうです。耳にガブリと。。。

すると、ソートンがすかさず、オオカミ犬ののど元に食らいつき、普段からいじめられてオオカミ犬に恨みを持っていたグレートデンが「助っ人しますぜ!」とばかりに太ももにかじりつき、大型犬が三つ巴となる大乱闘に。

老夫婦ではとても間に入って、引き離すこともできず。。。
乱闘時間は、5分足らずだったようなのですが、オオカミ犬はぐったり。グレートデンも鼻づらが流血騒ぎに。
そして、ソートンは耳を負傷。。。

となったとのこと。

ソートンは耳を血まみれにしながらも、オオカミ犬の喉元に食らいついたままで相当なファイトだったとか。

うーむ、、、トムも戦闘的でちびっこのくせに、成犬シェパードに遊び場をとられたときに挑みかかって、しかもやっつけていたけれど、トムとの連合軍のおかげでゴロツキ犬だったソートンの本能が目覚めていたのかなぁ。。。

ともあれ、ソートンの怪我よりも、オオカミ犬が3日間、傷がもとで発熱しただの、ペニシリンだのなんだのを点滴していただのという話を聞かされ、、、世話代以外に、オオカミ犬への賠償まで請求されるんじゃないかと、ちょっとびびりました。

幸いなことに、というか単なる武勇伝披露、ということで請求はされませんでしたが、、、

それにして、オオカミ犬との格闘もできるようになったのか、というちょっと嬉しい気持ちと、ちょっと離れている間に、なんちゅうことをしてくれたんじゃ、という気持ちとが半々。

でも、ここでも笑いを振りまいたようで。。。

乱闘で血まみれになったあと、ソートンもちょっとショックで下痢気味になったらしいのですが、その時、預かってくれている人たちがソートンに、
「お前はくさいぞ!汚いぞ。お風呂にも入らないから、お尻が臭いぞ!」なんてからかったら、ソートンは、なさけなーい顔をしながら、お尻をなめなめしたんだそうで。

「ソートンはモンゴル語がわかるのねぇ。人間の言葉がわかるなんて、面白い犬だわねぇ」なんてすっかり人気者でした。

ソートンは日本語はあまり理解できないのですが、モンゴル語については、結構、細かいことまで理解しているんですね。



当のソートンは、傷に触れなければ元気一杯。
帰り道約7kmを歩いて帰りましたが、その後、アパートの前で待ち構えていたのらこ・サーラルとも小一時間遊んでました。

傷はまだ完全にはいえていないので、ちょっとくさいけど、お風呂に入れることもできず。。。

次の仕事が予定よりも1週間ほど早く始まることになってしまったので、またしばらく離れ離れ。

仕事が充実するのは嬉しいのですが、その分、ソートンとの時間がなくなるのがちょっとだけ申し訳ない気持ちです。

これが自分が生んだ子供だったらこんな風には働けないな、とか、私が家庭を持っているということだったら、やっぱり、こんな風に働けないな、とか思ってしまった。。。

犬は可愛がってくれる人と、自由な環境を確保できれば、ちょっとつらいなぁと思っても、狭いケージに詰め込んで宿泊先に閉じ込めておくよりも、広々と駆けまわれる環境があればなんとか安心できるけど、自分の子供だったら、やっぱり子供の成長過程での心理的な影響とか健康管理とか心配ごとだらけだろうし、家庭を持ってたとして、人生の伴侶を一人で置いておくのもかわいそうだから、誰かに預けるってわけにもいかないもんね。

自分がわがままだなぁと思いつつも、新しい生活が始まっても、私のために、ソートンのためにサポートしてくれる人も何人か見つかり、自分一人でやらなければいけない、と気張らなくても、安心して相談できる人の存在にも気付けるようになってよかったなぁ。。。

ダギーちゃんがトムのワクチン代を自分の新年パーティーのために使いこんでしまったこと、そして、トムがジステンバーに感染し、七転八倒でのたうちまわった挙句、私の判断であきらめなければいけなかったこと。

会社の共同経営者に裏切られたこと。財産のほとんどを奪われ、仕事もままならなくなったこと。

モンゴルでいろんな失望をしたけれど、ソートンと一緒にいるおかげで、いろんな出会いがあり、独りでは生きられないけれど、救いを求めれば、誰かが助けてくれるものだということ、感謝できることがあり、私にもできる仕事があること、そんなことを考えるとモンゴルもそう悪くはないよな、と思うのです。

ソートンなしだったら、きっと、あの裏切り行為でひどい目に逢った時、私はモンゴルからの撤退を考えたと思います。だって、その方が絶対楽だったもの。

でも、ソートンを手放すことができなかったから、こうして、モンゴルに残っているのです。
そのおかげで、友達の存在を思い出し、一緒に協力する喜びや、相手を許容する心を持てるようになりました。
新しい仕事の可能性も広がり、わくわくする、自分が望んだ活動がどんどん舞い込んできているのです。

ソートンを預かってもらうというのは本当に、彼自身にとっても申し訳ないことだし、預かってくださる人たちにとっても、楽しいことだけではなく、生き物故に面倒をかけてしまうこともある。

でも、ソートンと一緒にいることで、いろんな幸せを共有できる。

働くお母さんはいろんなジレンマを抱えながら、一生懸命働いているのだろうなぁ、と子供も産まず、結婚もせず「負け犬人生」まっしぐらな私ですが、ちょっとだけそんな大変さを体験できることにもソートンとモンゴルに感謝です。

あ、ちなみにオオカミ犬は、まだ赤ちゃんオオカミの間に捕まえてきたオオカミを飼育した若いオスを、シェパードや猟犬などのメスと掛け合わせるそうです。
寒さに強く、猟犬、番犬として有能だけど、あんまり頭はよくないから、シェパードほどいろんなコマンドは覚えないんだとか・・・。