星新一のショートショートは当初、SFに分類されていました。
今では、星新一によって確立された「ショートショート」というカテゴリーになっているんだと思いますが、初期の頃は、SFのカテゴリーに入るために、いくつか、宇宙ものやロボットものを入れていたような・・・

小学生の頃は、とにかく、「ショートショート」を読みまくるばかり。
大人の話である、エッセイや長編などを読むようになったのは、ほんとモンゴルに拠点を移してから。

そして、「きまぐれ」シリーズなどのエッセイや、星新一の父親、祖父についてのノンフィクションを読むにつれ、その奥深い人間像、人生哲学、そして深い造詣に興味が出てきました。

星新一が翻訳ものを出していた、というのを知ったのは、最相葉月の評伝を読んでから。

そして本日の星新一作品は、私が読んだ初めての翻訳もの。
「アシモフの雑学コレクション」です。

アシモフとはもちろん、SFの大御所、アイザック・アシモフのこと。
多岐にわたった分野の、トリビアな雑学がコンパクトに、星新一節で面々とつづられています。

次から次へと、どこか人生のアイロニーとユーモアをにじませながら、あっちへ飛び、こっちへ飛ぶ、マメ知識の数々。

たとえば、「天文学者たち」、という項目。

1400年代の初期、世界で最もすぐれた天文学者は、モンゴルの王子だった。テムジン(ジンギスカン)の孫のベグ。サマルカンドに天文台を作り、性格な星図と惑星運行表を作成した。
 ヨーロッパには知られなかった。1665年、その著書が訳された時は、望遠鏡の発明後で、価値あるものではなくなっていた。」
(昭和61年初版 平成15年9月20日 19刷版p.29より引用)

1665年といえば、もうモンゴル帝国が崩壊していた頃のこと。
モンゴル帝国最盛期をどこ?というのは難しいというか、やっぱ領土が最大になってどことも戦争していなかったころ、と考えると13世紀半ばなんだろうけれど、13世紀のモンゴル帝国ではすでに、2000年くらい先までの日食・月食を予測するための天文図と表が作られていたんだそうで、それは現在、一般には公開されていない北京の紫禁城のとある部分にあるんだそうな。

皆既日食といえば、来年の8月1日、アルタイ山脈のあるモンゴル西部では、かなり長い皆既日食が見られる、ということで、モンゴル観光業界各社が天文ショーツアーを企画して、積極的に宣伝しています。

それ以前の皆既日食といえば、ヘールボップ彗星が地球に接近していた頃、皆既日食とヘールボップ彗星が同時に観測できる!ということでNHKが当時珍しかったハイビジョンの撮影機材約1トンを空輸、ダルハン市での撮影を試みたりと、大騒ぎでありました。

ミーハーだった、、、というよりもたまたま仕事でモンゴルにいた私は、交通規制が厳しいダルハン市を避けての観測を楽しんでいましたが、「皆既日食特別サングラス(紙製)」を購入し、当時の大統領P.オチルバトのサイン入りの「皆既日食・ヘールボップ彗星接近時にモンゴルで奇跡の天文ショーに居合わせた証明書」なるものをもらい、帰りの飛行機の中で「皆既日食記念シャンパン」をいただいたのでありました。

とまぁ、モンゴルの王子様が天文オタク・・・じゃなかった天文学者であったという知識から、どんどこ発展できちゃうわけです。

そんな風に、なんぼでも話題をふくらませることができるネタ満載の一冊。



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