土曜日はポカポカ陽気だったのに、日曜日の東京はめっちゃ寒い!
氷点下じゃないのに暖房をつけるのは嫌だと思ったんだけど、
両親も還暦すぎてめっきり老人ぶるようになったので、
初の暖房デーとなりました。
北海道の室内はいつもとってもポッカポカ。
窓の外がたとえ積雪60cmだとしても室内では半袖でいられます。
この辺、ウランバートルに似ています。
前のオフィスなんか真冬で外が-26℃というのに
室温は+26℃というすさまじい温度差がありました。
室内で男性スタッフは、下着のシャツに短パンでオフィスワークをしていて、
来客が来た途端にすばやくスーツで武装。
女性スタッフにいたっては、タンクトップのセクシースタイルのままで
汗だくだくでした。
という冬の暮らしは都会だけ。
私が研究調査で通っていたのは、モンゴルの最北端。
国境近くのフブスグル県の針葉樹林帯・タイガに暮らす
半狩猟・半遊牧を営む人たちでした。
冬は毛皮動物の狩猟シーズンのため、男達は冬のほとんどを
野宿で過ごすのです。獲物が取れないと、平気で1週間から10日間くらい
帰って来ない。
普通は狩猟は男の領域ということで女性を連れて行くことはタブーなのですが、
何度か私、外国人はタブーの範囲外ということで連れて行ってもらいました。
彼らがどのように狩りをしているのか、彼らの精神文化の核を作っている
狩猟文化というのがどういうものなのか実体験したかったのです。
極寒期はさすがに足手まといになるからついていく、なんてわがままは言わなかったけれど、膝上くらいの積雪の時に連れて行ってもらいました。
トナカイに乗って森の中を獲物を探して歩き回るわけですが、
そのくらい雪が積もっていれば、落ちても怪我しないだろう、という長老のありがたーいご判断で、若い衆のチームに入れてもらいました。
近場狙いってことで。
獲物が取れないと困るなぁ、と思いつつ、それまでも日帰りの狩猟で
ヘラジカやらなにやら大物に恵まれていた私のチームだったので、
高をくくっておりました。
昼頃、ご飯を食べてから出発。
一応、貴重な小麦粉で作ったパンとか簡単な食料はそろっている。
午後3時くらいに早くもキャンプ設営。
キャンプといっても、薪を集めて、トナカイの餌であるコケがあるところを
見つけるだけ。
水場を確保しつつ、猟場を偵察・・・。
テントをはったりはしないのです。
新しい足跡などを発見したら、第一ゲームスタート。
皆、持ち場につくわけです。犬と一緒に足跡を追うチームと、
追い込んだ獲物をしとめるスナイパーチームに分かれます。
私は、足が遅いので、スナイパーチームにくっついて行くわけです。
といっても夕暮れ時は偵察をかねているので、よっぽどのことがなければ
銃が火を噴くことはありません。
食料もあるから、腕鳴らし程度。
日没後1時間くらいで、キャンプ地に皆集合。
一番下っ端(たいていは年少者かじゃんけんで負けた奴)が
水汲みに行き、下から2番目が薪集め。
下から3番目が調理係、、、てな具合に
速やかなる役割分担。
男の世界はシンプルかつ明朗です。
雪が降った直後とかだと、意外に大変なのが薪集め。
うまく火がつかず、煙にいぶされるような薪を集めてきちゃうと、
お兄さん達に総すかんをくらいます。
ポイントは、地面に落ちている薪ではなく、
まだ樹木にくっついて立ち枯れている枝を捜すことです。
モンゴルのタイガはほとんどがカラマツ。
カラマツは針葉樹林のくせに黄葉し、落葉します。
場合によっては、古い枝も枯死させてエネルギーの消耗をさけています。
植物は生きているので、熱を発します。
だから、カラマツの枝が幹にくっついている間は、
たとえ枯死していても、雪がついても湿気ることはないのです。
ただし、生きている枝はしなってしまい、うまく落とせません。
枯死していればパキパキと小気味のいい音をさせて落ちてきます。
12-13歳の少年でもちゃーんとハンターとしての役割を持ちつつ、
焚き火のおこし方などを会得していくのです。
パキパキとした乾いた枝(直径は5-8cmくらいがいい。)を集め、
さらに倒木や枝がほとんどついていない立ち枯れた木を斧でバキバキと
ぶったぎって確保しておきます。
細い枝は火付きがいいんだけど、カラマツは油分が多いので、
すぐ燃え尽きてしまうので、どうしてもある程度の太い薪を
作っておかないと、夜通し焚き火を作るのに足りません。
背中は凍り、おなかはあっちっち。
狩人の男達の冗談です。
眠るときは、防水布や鞍じきの毛皮を敷いて、
デールという裏地がムートンの民族衣装に包まって寝ます。
背中と背中をくっつけあって、お互いの体温で温めあうのです。
雪の上に寝るので、あんまり快適とはいえないけれど、
常緑針葉樹のシベリアクロマツがあればしめたもの。
この常緑樹の根本はかなり暖かい(といっても凍ってるけど)のです。
眠るといっても、大体、暗黙の了解で皆交代交代で
焚き火が消えないように火の番をします。
尋常じゃない寒さなので、どうしてもおしっこに起きちゃうんです。
おしっこに起きて、近場でちゃーっと用を足すだけでも
身体はガチガチに冷え切るので、焚き火に当たって体を温めておかないと
仲間達に寝床に入れてもらえません。
寒さが半端じゃないから、若い男性と抱き合っていても
お互い、誰一人として性欲に目覚めることもありません。
歯の根がガチガチいっちゃって、それどころじゃない、という
若者がいも状態でゴロゴロしながら私の周りを埋めてくれているのですから。
焚き火も夜中はキャンプファイヤーほど盛大にすることもなく、
細々としたおき火状態。
遠赤外線効果があるから、炎が出てなくてもそれなりに温まれるのです。
焚き火を抱くくらい近づいてれば。
なんつったって焚き火から20cm離れたところで息が凍って
目の前でダイヤモンドダストになって落ちるのが見えるのです。
狩猟に出たときは、とにかく焚き火のおきを守ること。
これが翌朝の焚き火当番の使命です。
早朝、夜明け前はどうしても全てのものが凍りつき、
さすがの枯死した枝さえも霜がついちゃうから、
防水布に集めておいたストックの薪では火付きが悪いのです。
マッチなども最小限しか持たずに出ているので(さらに彼らはヘビースモーカー)、
おきがなくなってしまうと死活問題です。
凍った薪はマッチなどでは火をつけるのが困難ですが、
おき火をおこせば、炎で表面が乾くので火が燃え移りやすいのです。
日本ではあんまり役に立たないかもしれないけれど、
モンゴルの遊牧民やシベリアの狩猟民が火を大切に守り、
火の神様を信仰する気持ちが身にしみこんださむーい夜の話。
ちなみに膝下くらいの雪だと、水は湧き水や川の水を使うことを好むけれど、
腰ぐらいの雪になると、むしろ狩人たちは喜びます。
だって、水汲みに行かなくてもそこらじゅうに水の元があるんだもの。
その分、薪拾いのシゴトは増えるけど。
火をおこすだけでも一苦労、眠るだけでも命がけだった
タイガの生活ですが、不思議なことに、都会の生活よりも
私にとっては快適で幸せだったのでした。
という話をかいていたら、今の寒さなんかどってことないって
気持ちになってきちゃったぞ。
氷点下じゃないのに暖房をつけるのは嫌だと思ったんだけど、
両親も還暦すぎてめっきり老人ぶるようになったので、
初の暖房デーとなりました。
北海道の室内はいつもとってもポッカポカ。
窓の外がたとえ積雪60cmだとしても室内では半袖でいられます。
この辺、ウランバートルに似ています。
前のオフィスなんか真冬で外が-26℃というのに
室温は+26℃というすさまじい温度差がありました。
室内で男性スタッフは、下着のシャツに短パンでオフィスワークをしていて、
来客が来た途端にすばやくスーツで武装。
女性スタッフにいたっては、タンクトップのセクシースタイルのままで
汗だくだくでした。
という冬の暮らしは都会だけ。
私が研究調査で通っていたのは、モンゴルの最北端。
国境近くのフブスグル県の針葉樹林帯・タイガに暮らす
半狩猟・半遊牧を営む人たちでした。
冬は毛皮動物の狩猟シーズンのため、男達は冬のほとんどを
野宿で過ごすのです。獲物が取れないと、平気で1週間から10日間くらい
帰って来ない。
普通は狩猟は男の領域ということで女性を連れて行くことはタブーなのですが、
何度か私、外国人はタブーの範囲外ということで連れて行ってもらいました。
彼らがどのように狩りをしているのか、彼らの精神文化の核を作っている
狩猟文化というのがどういうものなのか実体験したかったのです。
極寒期はさすがに足手まといになるからついていく、なんてわがままは言わなかったけれど、膝上くらいの積雪の時に連れて行ってもらいました。
トナカイに乗って森の中を獲物を探して歩き回るわけですが、
そのくらい雪が積もっていれば、落ちても怪我しないだろう、という長老のありがたーいご判断で、若い衆のチームに入れてもらいました。
近場狙いってことで。
獲物が取れないと困るなぁ、と思いつつ、それまでも日帰りの狩猟で
ヘラジカやらなにやら大物に恵まれていた私のチームだったので、
高をくくっておりました。
昼頃、ご飯を食べてから出発。
一応、貴重な小麦粉で作ったパンとか簡単な食料はそろっている。
午後3時くらいに早くもキャンプ設営。
キャンプといっても、薪を集めて、トナカイの餌であるコケがあるところを
見つけるだけ。
水場を確保しつつ、猟場を偵察・・・。
テントをはったりはしないのです。
新しい足跡などを発見したら、第一ゲームスタート。
皆、持ち場につくわけです。犬と一緒に足跡を追うチームと、
追い込んだ獲物をしとめるスナイパーチームに分かれます。
私は、足が遅いので、スナイパーチームにくっついて行くわけです。
といっても夕暮れ時は偵察をかねているので、よっぽどのことがなければ
銃が火を噴くことはありません。
食料もあるから、腕鳴らし程度。
日没後1時間くらいで、キャンプ地に皆集合。
一番下っ端(たいていは年少者かじゃんけんで負けた奴)が
水汲みに行き、下から2番目が薪集め。
下から3番目が調理係、、、てな具合に
速やかなる役割分担。
男の世界はシンプルかつ明朗です。
雪が降った直後とかだと、意外に大変なのが薪集め。
うまく火がつかず、煙にいぶされるような薪を集めてきちゃうと、
お兄さん達に総すかんをくらいます。
ポイントは、地面に落ちている薪ではなく、
まだ樹木にくっついて立ち枯れている枝を捜すことです。
モンゴルのタイガはほとんどがカラマツ。
カラマツは針葉樹林のくせに黄葉し、落葉します。
場合によっては、古い枝も枯死させてエネルギーの消耗をさけています。
植物は生きているので、熱を発します。
だから、カラマツの枝が幹にくっついている間は、
たとえ枯死していても、雪がついても湿気ることはないのです。
ただし、生きている枝はしなってしまい、うまく落とせません。
枯死していればパキパキと小気味のいい音をさせて落ちてきます。
12-13歳の少年でもちゃーんとハンターとしての役割を持ちつつ、
焚き火のおこし方などを会得していくのです。
パキパキとした乾いた枝(直径は5-8cmくらいがいい。)を集め、
さらに倒木や枝がほとんどついていない立ち枯れた木を斧でバキバキと
ぶったぎって確保しておきます。
細い枝は火付きがいいんだけど、カラマツは油分が多いので、
すぐ燃え尽きてしまうので、どうしてもある程度の太い薪を
作っておかないと、夜通し焚き火を作るのに足りません。
背中は凍り、おなかはあっちっち。
狩人の男達の冗談です。
眠るときは、防水布や鞍じきの毛皮を敷いて、
デールという裏地がムートンの民族衣装に包まって寝ます。
背中と背中をくっつけあって、お互いの体温で温めあうのです。
雪の上に寝るので、あんまり快適とはいえないけれど、
常緑針葉樹のシベリアクロマツがあればしめたもの。
この常緑樹の根本はかなり暖かい(といっても凍ってるけど)のです。
眠るといっても、大体、暗黙の了解で皆交代交代で
焚き火が消えないように火の番をします。
尋常じゃない寒さなので、どうしてもおしっこに起きちゃうんです。
おしっこに起きて、近場でちゃーっと用を足すだけでも
身体はガチガチに冷え切るので、焚き火に当たって体を温めておかないと
仲間達に寝床に入れてもらえません。
寒さが半端じゃないから、若い男性と抱き合っていても
お互い、誰一人として性欲に目覚めることもありません。
歯の根がガチガチいっちゃって、それどころじゃない、という
若者がいも状態でゴロゴロしながら私の周りを埋めてくれているのですから。
焚き火も夜中はキャンプファイヤーほど盛大にすることもなく、
細々としたおき火状態。
遠赤外線効果があるから、炎が出てなくてもそれなりに温まれるのです。
焚き火を抱くくらい近づいてれば。
なんつったって焚き火から20cm離れたところで息が凍って
目の前でダイヤモンドダストになって落ちるのが見えるのです。
狩猟に出たときは、とにかく焚き火のおきを守ること。
これが翌朝の焚き火当番の使命です。
早朝、夜明け前はどうしても全てのものが凍りつき、
さすがの枯死した枝さえも霜がついちゃうから、
防水布に集めておいたストックの薪では火付きが悪いのです。
マッチなども最小限しか持たずに出ているので(さらに彼らはヘビースモーカー)、
おきがなくなってしまうと死活問題です。
凍った薪はマッチなどでは火をつけるのが困難ですが、
おき火をおこせば、炎で表面が乾くので火が燃え移りやすいのです。
日本ではあんまり役に立たないかもしれないけれど、
モンゴルの遊牧民やシベリアの狩猟民が火を大切に守り、
火の神様を信仰する気持ちが身にしみこんださむーい夜の話。
ちなみに膝下くらいの雪だと、水は湧き水や川の水を使うことを好むけれど、
腰ぐらいの雪になると、むしろ狩人たちは喜びます。
だって、水汲みに行かなくてもそこらじゅうに水の元があるんだもの。
その分、薪拾いのシゴトは増えるけど。
火をおこすだけでも一苦労、眠るだけでも命がけだった
タイガの生活ですが、不思議なことに、都会の生活よりも
私にとっては快適で幸せだったのでした。
という話をかいていたら、今の寒さなんかどってことないって
気持ちになってきちゃったぞ。