モンゴルより会社の共同経営者からメールが来た。
 主に財務報告・・・実は私、会社の経営バロメーターである財務諸表が作れない、読めない。借金が嫌いなため、活動すべてが自己資本でやっているから、赤字にはなってないののだけれど、儲かっているのかどうか、どうすれば儲かるのかわかんない、のである。
 こいつは困った。オマケにモンゴルの事業税などの税制度、帳簿のつけ方その他、「日本人の常識」は通用しない。
 うっそでしょう!っていうような科目に分類されている。
 さらに、うちのスタッフは皆さん、モンゴル人にしては、珍しく実直マジメ、誠実ではあるけれど、いかんせん損得勘定がない?ないのか、あるいは、「自分の懐から出ているお金じゃないから、経費の削減ってピンとこないのか?
 自分が留守にしている間が一番危険。大真面目に頓珍漢なことをやらかしてくれる。
 だから、一応、お小遣い帳程度でいいから、出納長は日々、報告してくれい、とお願いしている。もちろん、アバウト国民だから、毎日はこないけどね。トホホ。
 でまぁ、とにかくここ10日間の出納帳が送られてきたわけです。
 そして、最後に、一言。
 「ソートンが夜泣きをして困っています。寝付いていないわけではないようですが、夜中に突然、何かを探し回って、ぼくのアパートの中をうろうろするので、子供が怖がって困ります。多分、あなたを探しているのだと思います。日中はオフィスに連れて行っていますが、うんざりしたような顔で寝そべっています。」
 おお、ソートン。なんということだ!
 犬のクセに、仰向けで眠り、しかも枕がないと私の枕を横取りし、私よりも早く寝付いて、高いびきをかいていた君が、夜泣きとは!!!
 ソートンは、本来この、共同経営者が警察犬訓練校から購入してきた犬。
 いわば、実家に帰っているわけなのに、どうしたことか?
 
朝晩1時間ずつのお散歩がないため、運動不足に陥っていることであろう。
 人も犬も孤独になれば、ストレスがたまるのだ。運動不足になれば、体力がありあまってヤンチャざかりのソートンのことだ、おそらく、実家のモンゴル人「ご主人」に、何かと叱られたり、命令されたりしているのであろう。
 ソートンは耳が誰よりもでかい分、地獄耳。とはいえ、エレベーターのとまった9階まであがる根性のあるホームレスはいないはずだから、夜はぐっすり眠れるはず。
 そういう意味では、我が家より、彼にとっては安住の地なのである。

 それでも、やっぱり朝晩の散歩を時間通りに行うために、主人にボディプレスをかけたり、1.5kgもの鉄の鎖をズルズルとくわえて人の後ろを付回したりする彼にとって、ガチンコの遊び相手がいない、というのはかなりコタエテイルらしい。

 すでに日中でもー15度以下の真冬になり、路面も凍結。散歩に出るのも容易じゃない気候である。

 夜泣きといっても、遠吠えではなく、「くしゅん、くしゅん」というか、「キューンキューン」といった、子犬の時に戻ったようだという。
 
 犬も人を恋しがって夢を見たりするのだろうか?

 私も日々、日本でスリリングな人々と会い、ワクワクする話をしていても、夜中にやっぱりソートンを思わないことはない。

 夢で逢えたら・・・。あぁ、でもこんなこと言っていると、せっかく日本にいるのに、デートのひとつもできやしないわん。