Appleがアプリ内から外部ウェブサイトへのリンクを許可、全世界で規約変更へ
Appleが日本の公正取引委員会による調査が終わったことを発表し、雑誌や書籍、新聞、音楽や映像などの購読済みコンテンツを閲覧できる「リーダーアプリケーション」に対して、アプリ内に外部ウェブサイトへのリンクを含めることを許可するよう規約を変更することを明らかにしました。規約変更により、リーダーアプリケーションの開発者は、ユーザーにApp Storeを経由しない形の決済を提供することができるようになります。
日本の公正取引委員会によるApp Storeの調査が終結 - Apple (日本)
https://www.apple.com/jp/newsroom/2021/09/japan-fair-trade-commission-closes-app-store-investigation/
Appleのアプリストア・App Storeは外部サービスを用いた決済が認められておらず、手数料として30%のマージンを取られることは「Apple税」と表現されてきました。これに対して、開発者が集団訴訟を提起。2021年8月26日に和解しましたが、その内容は「Appleの実質的勝利」と報じられています。
Appleが「アプリ開発者との集団訴訟に和解」も実質ノーダメージという指摘 - GIGAZINE
Appleが譲歩したにもかかわらず「ノーダメージ」と報じられる理由は、これまで禁止されてきた「開発者がメールなどアプリ外の方法で『App Storeを介さない支払い方法』に関する情報をユーザーに通知できるようにする」のを認めたことで、「App Storeを介さない支払い方法を通知できるようになったのだから、App Storeで配信されるアプリにはApp Storeを介さない支払い方法を禁止しても独占禁止法違反ではない」という理屈が成り立つようになったため。
しかし2021年9月1日、Appleは公正取引委員会の調査終結を受けて、これまで認めなかった「アプリ内の外部サイトへのリンク」を解禁するよう規約を改定することを明らかにしました。
公正取引委員会との合意内容は「リーダーアプリケーションの開発者が自社ウェブサイトへのリンクを1つ設置できるようにする」というものですが、変更は全世界のすべてのリーダーアプリケーションに適用されるとのこと。
なお、App Storeをめぐっては、和解した集団訴訟とは別に「フォートナイト」開発元・Epic Gamesが独占禁止法違反であると訴えた裁判が進行中です。
Apple対Epic Games訴訟の対審がスタート、ティム・スウィーニーCEOも発言 - GIGAZINE
アップル、リーダーアプリの規約変更で日本の公取と合意--Appleが描く開発者との成長戦略とは
2021/09/02
Appleは日本時間9月2日、日本の公正取引委員会との合意で、デジタルコンテンツを消費するいわゆるリーダーアプリの規約を2022年に変更し、アプリ内にコンテンツ購入などの自社サイトへ誘導するリンク設置を可能にすることを発表した。
リーダーアプリで「開発者に選択肢を与える変更」
今回の合意で言及しているのは、App Store Reviewガイドライン 3.1.3(a)リーダーアプリについて、これまで禁止されてきたデジタルコンテンツの購入やサブスクリプションを促すリンクの設置を許可することで、開発者はアプリ内課金以外の方法での課金、つまりAppleによる15〜30%の手数料を回避する手段をとれるようなる。
それでもアプリ上でアプリ内課金を活用せずにデジタルコンテンツの販売は行えないため、たとえばiOS用Kindleアプリの中から電子書籍を購入できるようにはならず、Amazonウェブサイトでの購入手続きが必要となる。ただしアプリ内ブラウザを使えば、アプリを離れることなくコンテンツを購入できる。
日本の公正取引委員会は2016年から、Appleが手数料回避をしにくくする施策に対して反競争的な行為かどうか調査を進めており、今回の規約変更と同時に調査終了も発表された。なおこの変更は日本市場だけでなく、全世界で適用される。
Appleの担当者は、開発者に選択肢を与える変更としており、ビジネスの規模や方針に応じて、アプリ内課金を選ぶか、自社の課金システムを構築する(手数料を免れる)かを選べる点を強調した。公取委の調査終了も、選択性の確保が条件だったと考えられる。
変更するも、アップルが「アプリ内決裁が優位」とする理由
ただしAppleの担当者は、この変更をした上でも開発者にとってアプリ内決裁が優位である、との考えを改めて強調した。プライバシー、セキュリティ、多様化した価格設定、定期購読、購入履歴管理などの利便性を活用でき、ユーザー体験も損なわないとの自信もある。顧客・開発者の双方にとって、App Storeの機能を活用することがベストだとの考えは変わっていない。
今回の変更で、何か大きな変化が起きるか?と問われると、「ない」と答えておくべきだ。Appleは引き続き、現在のApp Storeビジネスを維持するため、必要最低限の譲歩や、象徴的な係争に対する収束に取り組んでいるが、基本的な姿勢は「Appleが構築したApp Storeのビジネスモデルの正当性」に対して、理解してもらおうということだ。
開発者との関係作りで明確になったこと
カリフォルニア州の裁判所で係争中のEpic Gamesは、リーダーアプリ以外でも外部決済のためのボタンやリンクを設置できるよう求めているが、今回のAppleの譲歩は、デジタルコンテンツを消費するリーダーアプリに限られ、ゲーム企業が求めるアプリ内課金回避にはつながらない。
AppleはWWDC前後から、App Storeに対するさまざまな変更に取り組んでいる。直近、8月27日には、米国の開発者による集団訴訟で和解しており、以下のような合意を交わしている。
- Small Business Programの継続
- 検索の平等性担保
- 顧客との連絡の許可
- 価格設定の柔軟性向上
- 審査への反論や情報提供
- 透明性レポート
- 小規模開発者ファンド
Epic Gamesとの訴訟や、Spotifyをはじめとする大手デベロッパーに対するApp Storeへの不満の高まりが、今回の動きを作り出したことは間違いない。しかしAppleの回答は、必ずしも問題提起しユーザーを味方につける大規模開発者に応えるものではない点を指摘しておかなければならない。
すなわち、戦略として、小規模デベロッパーの支援と成長が、将来のAppleにとって重要との立場だ。
Appleの担当者は先日、米国の開発者の99%は売上100万ドル以下の小規模開発者だが、将来の大規模開発者はこの中から生まれる――との見方を示した。これには2つの意味がある。
大規模開発者からの収益構造の変更は、App Storeビジネスの売上に直結するインパクトを与えるため、Appleとして許容できない。その一方で、小規模開発者の優遇は、彼らが成長することによって将来的なAppleの手数料収入を膨らませることになる。開発者のライフタイムバリューを見据えた施策なのだ。
過去の経緯を見れば、小規模開発者が世界トップのアプリへと成長したことは明らかで、特に5GやAR、AIなどの領域でまだキラーアプリが生まれていないとするならば、未来のInstagram、TikTok、Uberといったアプリの誕生を支援した方がAppleに利すると考えられる。
富の集中に対して再び批判的な流れが起きようとしており、巨大テック企業への風当たりは世界中で強まる中、小規模開発者の支援は「Appleの世の中に対する先手」だ。
長期的な目線でAppleのApp Storeビジネスの成長を維持するための施策として考えると、もう少し純粋な視点で、Appleとしては本気で99%の小規模アプリの中から将来の大規模アプリが生まれると信じており、彼らと仲良くしておきたいという本音もまた透けて見える。
「譲歩」したアップル、利用者には手間の壁も 決済の選択肢は拡大
2021/09/02
時価総額が2兆5200億ドル(約277兆円)に上り、世界最大の企業である米アップルが1日、日本の公正取引委員会の指摘を受けて、外部の課金サイトへの誘導を、一部のアプリで認めると発表した。消費者にはどんなメリットがあるのか。
今回の決定は、日本のiPhone利用者にどのような影響があるのか。「アップルのガイドラインが更新されておらず、今後の対応も含めて回答は差し控える」(LINE広報)など、配信サービス側は対応を明らかにしていないが、決済の選択肢は広がることになる。
決定に伴う具体的な変化としては、アプリ内ではアップルのシステム上の決済方法しか表示されなかった仕組みが改められ、アプリ内に外部の決済サイトへ誘導するボタンが置けるようになる。
しかし、外部サイトへの流出がどの程度広がるかについては、懐疑的な見方もある。アップルのシステムと外部サイトのそれぞれの料金は一目では比較できない。わざわざ別のサイトに移動する手間暇をかける人が、どれほどいるかは見通せない。利用者が多いゲームは今回の改善策の対象に入っていない。
国内でのアップルの存在感は大きい。MM総研によると、2020年度の国内のスマートフォン出荷台数で9年連続の1位。他社を引き離している。京都大学の依田高典教授(応用経済学)は「公取委がGAFAの一角に対して一つの譲歩を引き出したことは成果として評価できる」としたうえで、「日本の消費者にとってアップルは特別なブランド。アップルの中で課金できる利便性も非常に高い。ユーザーが外に流れていくかは疑わしい」とみる。
ITジャーナリストの西田宗千佳さんも、アップルのシステムでの決済は便利さの面で有利であると指摘。「外部決済を使ってもらうためには、日本の開発者がより使いやすいサービスを磨かないといけない」と指摘する。
アップルの「App Store」、公正取引委員会による調査が終結
「リーダー」アプリ内へのWebリンク設置を許可へ
2021/09/02
アップル(Apple)は9月1日、公正取引委員会との合意に基づき、将来的にApp Storeへ導入するアップデートを発表した。
2022年初めから、世界中の「リーダー」アプリの開発者は、自社Webサイトへのリンクをアプリ内に設置できるようになる。
「リーダー」アプリとは、デジタル版の雑誌や新聞、書籍や音楽などのコンテンツ(サブスクリプション含む)を提供するアプリのこと。
App Storeのガイドラインでは、「リーダー」アプリの開発者に対して、デジタルサービスやサブスクリプションの販売に際し、アップルのアプリ内決済システムの利用を義務付けていた。
今回は、開発者がアプリ内に自社Webサイトへのリンクを含めることができるようになり、条件が緩和されたかたちとなる。
日本の公正取引委員会による調査が終了し、合意が得られたことによって、今回のアップデートにつながった。アップデートの内容は、App Storeで公開されている世界中のすべての「リーダー」アプリに適用される。
なお、アップデートの内容が適用される前に、アップルではガイドラインと審査プロセスを更新する予定。同社は、「『リーダー』アプリの開発者がユーザーを外部Webサイトへ誘導する場合も、ユーザーを保護する」としている。




