「折り返し点―1997~2008」 宮崎 駿
ネットの一部のブログでは、”映画「崖の上のポニョ」は宮崎駿が息子・宮崎吾朗にあてた遺言状”との仮説が持てはやされていました。 「の」のまのしわざ
そして、この本「折り返し点―1997~2008」の刊行で、またまたブログでは、”(続)「崖の上のポニョ」は宮崎駿が息子・宮崎吾朗にあてた遺言状:答え合わせの時間 ”として仮説を定説にしようとの批評職人が、腕を鳴らしておられました。 「の」のまのしわざ
sky の想うところでは、映画「崖の上のポニョ」は息子・宮崎吾朗への遺言にはならないでしょう。
それはNHKにて放送された『プロフェッショナル 仕事の流儀 スペシャル 宮崎駿のすべて ~「ポニョ」密着300日~』を視聴した感想でもあるのですが、宮崎駿は純粋に自分の体験と自分の中の無意識を詰め込んで、アニメーションを制作していると思います。もちろんスタジオ・ジブリを傾かせないように興業収益にも目配りしつつ、まるで曲芸のようなマネージメントを遂行しています。
おそらく宮崎駿は、まだまだ引退はしないでしょうし、プロデューサーの鈴木敏夫、心の老師でもある5歳年上の高畑勲、彩色の保田道代などが、引退させないでしょう。引退したらスタジオ・ジブリが無くなってしまうからです。
ただ、息子・宮崎吾朗へスタジオ・ジブリを引き継ぐつもりは、今のところないのと裏腹に、新刊「折り返し点―1997~2008」にも、なぜ息子・宮崎吾朗を初代の三鷹の森ジブリ美術館の館長にしたのか、愛・地球博のサツキとメイの家 | EXPO 2005 AICHI,JAPAN の、責任者にしたのかについて語っていませんでした。
サツキとメイの家 | EXPO 2005 AICHI,JAPAN
この本は「出発点1979~1996」(徳間書店)の続編になります。
[要旨]
『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』から最新作『崖の上のポニョ』まで―企画書、エッセイ、インタビュー、対談、講演、直筆の手紙など60本余を一挙収録。宮崎駿12年間にわたる思想の軌跡。
[目次]
宮崎駿書き下ろしジブリ年賀状 1997-2008
もののけ姫
・企画書 95.4.15
・イメージ詩(9編)
・シネ・フロント 97.7 インタビュー
・清流 97.8 インタビュー
・キネマ旬報増刊 97.9.2
宮崎駿と「もののけ姫」とスタジオジブリ
佐藤忠男対談
・潮 97.9 網野善彦対談
・読売新聞 97.8.8夕刊インタビュー
・こどものとも 97.10インタビュー
・北海道新聞 98.3.6夕刊
・ロマンアルバム 宮崎駿と庵野秀明
98.6.10 インタビュー
・木野評論臨時増刊 文学はなぜマンガに
負けたか!? 京都精華大学情報館
98.10.25
梅原猛・網野善彦・高坂制立・宮崎駿 座談会
・しんぶん赤旗日曜版 98.4.5,4.12,4.19,4.26
インタビュー
・ロマンアルバム 宮崎駿と庵野秀明
98.6.10 アニメーション演出講座 東小金井村塾2開校
インタビュー
・明日へのJCCA 社団法人建設コンサルタンツ協会
98.10 中村良夫対談
・抒情文芸 98夏号インタビュー
・季刊 人間と教育 10号 96.6 インタビュー
・サン=テグジュペリ「人間の大地」新潮文庫 解説 98.10.15
・波 98.11インタビュー
・ロマンアルバム ジブリ 00.5.20 インタビュー
・徳間書店初代社長・徳間康快氏への弔辞 00.10.16
千と千尋と神隠し
・企画書 99.11.8
・イメージ詩(7編)00.7.10
・完成報告記者会見 01.7.10
ユリイカ八月臨時増刊号 01.8.25
・ロマンアルバム 千と千尋と神隠し インタビュー 01.9.10
・北海道新聞 01.4.27夕刊 加藤登紀子さんについて
・週刊金曜日 02.1.10 筑紫哲也対談
・Voice 02.1 山折哲雄対談
・キネマ旬報 02.2.下旬号
2001年度キネ旬ベストテン 読者選出日本映画監督賞受賞インタビュー
・三鷹の森ジブリ美術館パンフレット 開館にむけて
02.2.15
・月刊ファイ 02.1 インタビュー
・グラフみたか 第14号 02.3
・緑の募金だより 02春号
・朝日新聞 02.4.19夕刊
・映画「ダーク・ブルー」パンフレット 鈴木プロデューサーと対談
02.10.26
・第45回アカデミー賞長編アニメーション映画部門受賞コメント
・藤内遺跡出土品重要文化材指定記念展「甦る高原の縄文王国」講演
02.8.4 富士見町立南中学校体育館にて
・堀田善衛 三作品の復刻によせて 書籍の帯文 04.2.29
・尾形英夫「あの旗を撃て!」 寄稿文 04.11.25
ハウルの動く城
・ジブリのみなさんへ 手紙 05.2
・第62回ベネチア国際映画祭 記者懇談会にてインタビュー 05.9.8
・第18回東京国際映画祭 ニック・パーク(アードマン)監督公開対談
05.10.23
・2005年度国際交流基金賞 受賞のことば 05.10.4
・2005年度国際交流基金賞 受賞のスピーチ原稿(未発表)
・ロバート・ウェストール「ブラッカムの爆撃機」岩波書店刊 企画書 05
・「ウェストールコレクション」徳間書店刊 ケース掲載の推薦文 06
・熱風 06.10 ウェストールについてインタビュー
・水グモもんもん(ジブリ美術館オリジナル短編アニメ) 企画書 04.8.24
・水グモもんもん ごあいさつ パンフレット 06.1.1
・星をかった日(ジブリ美術館オリジナル短編アニメ) 企画書 04.8.30
・星をかった日 ごあいさつ パンフレット 06.1.1
・やどさがし(ジブリ美術館オリジナル短編アニメ) 企画書 04.8.31
・やどさがし ごあいさつ パンフレット 06.1.1
・水グモもんもん、星をかった日、やどさがしの上映について
・ジブリ美術館スタッフへのあいさつ 05.12.26
・熱風 06.4 養老孟司 対談
・日本経済新聞 06.5.1夕刊 インタビュー
・熱風 06.6 吉野源三郎「君たちはどう生きるか」をめぐってインタビュー
・アニメージュ初代編集長・尾形英夫氏への弔辞 07.1.28
・スタジオジブリ社内保育園「三匹の熊の家」設立に際して 07.2.13
・サン=テグジュペリ デッサン集成 前書 07.4.25
・熱風 07.11 映画「雪の女王」についてインタビュー
崖の上のポニョ
・企画書 06.6.5
・久石譲への音楽メモ 07.9.5
年譜
あとがきにかえて 08.5.20
[出版社商品紹介]
「もののけ姫」から「崖の上のポニョ」まで12年にわたる、宮崎駿監督の思想の全軌跡。カラー口絵8頁。
[紹介コメント]
1997年『もののけ姫』から2008年『崖の上のポニョ』まで12年にわたる、宮崎駿監督の思想の軌跡。企画書、エッセイ、インタビュー、対談、講演など、単行本未収録のものを一挙収録。この12年間の記録は時代をうつす鏡そのもの──宮崎アニメのファンならずとも必見です。カラー口絵8ページ、監督直筆の手紙・イラストも収録。
注目したいのは、宮崎駿と新世紀エヴァンゲリオンの庵野秀明とのインタビューなどで、あの頃の子供たちは「ウルトラマン」で現実よりもテレビが魅力的だと思ってしまったのではないかと、語り。「宇宙戦艦ヤマト」、「機動戦士ガンダム」などで、ますます大切なものを無くしてしまったと、考えていて。
この病が今日の子どもにまでつながっている。と憂いています。
気になった箇所を書き出しますと、139頁「マンガという形で世界を切り取る時に、非常に普遍性を失ってしまう。つまり時間と空間を際限なくデフォルメできるものですから、どんどん現実世界を見なくなる。一部の感覚や心理を肥大化させて描くという傾向に入ってきているので、むしろそういうマンガに慣れてしまった目をもう一回、限定された時間や空間の中に戻す作業をやらないといけない」
さらには、83頁「それは、日本人が現実認識をする時のリアリズムの欠如につながっていると思うんです。人間同士が葛藤しなきゃいけない。むき出しでぶつかり合わなければいけない場所においても、どこかリアリズムに欠けている」
この部分は、息子・宮崎吾朗の初監督作品の「ゲド戦記」への、原作者のアーシュラ・K・ル=グウィンの反論に共通している気がします。
スタジオ・ジブリの次回作はともかくとして、宮崎駿の次回作はもっともっと、リアリズムのを描きこんだ作品になるのかもしれません。
それとですね、 sky としては、次回作は大草原で馬頭琴のお話しなんてどうでしょうか。もちろん、スタッフの全員で内モンゴルの沙漠で植林活動の合宿して、草原や沙漠のリアリズムを実体験する。そして音楽はイラナの馬頭琴でいかがでしょうか。(笑)
きっと無くしたものが見つかりますよ。
そしたら次には、宮崎駿の「終着点」が刊行されるでしょう、たぶん。
