私の企画が発動した。
何もかもが私の思惑通りになって行くのが楽しくて嬉しくてしかたなかった。
視聴率もうなぎ登り!ただの『街を紹介する番組』ではなくなっていた。
「よ!冴木ちゃん!じゃなかった冴木様かな?」
したり顔のプロデューサーがやってきた。
美味しいと思う相手には、とんでもなく鼻の利く男。
また何かにあやかりたいのかしら?別にいいわよ…その代わり、倍にして返してもらうから。
『冴木さぁ~ん!よろしくお願いしまぁす』
「はい!今行くわ!それじゃ!後で」
今の私には、怖いものなどなくなっていた。
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『私の番組』が好調に視聴率をキープしているとともに、私の身体は空くことがなくなってきた。
今までの仕事を含め、雑誌の取材やエッセイ、コメンテーターなど、目の回るような忙しさだ。
あの新人アナウンサー『沢田真美』のバカさ加減が、私をよりいっそう引き立たせてくれてる。
『あ…そそ…それでは、さえ…さえさえ…冴木さんに返しまぁす!』
いつもあんな感じ。
よくこんな娘を採用したもんだわ。
ここも大した事なくなってきたのね。
潮時かしら?そろそろ見切りをつけて独立しようかしら。
『私の番組』が一番いいところまで行ったら、いきなりの『独立宣言』もいいかも?。
話題を総ざらいしての独立?私らしいわ。
私の頭の中では、次のビジョンが泉のように湧いていた。
でも……。
知らず知らずのうちに、少しずつ…何かが狂い始めていた。
完璧に積み上げられていたハズの『搭』が、ポロポロと崩れていた事に、私は気がつかなかった。