コンコン…コンコン…。
『雄太くん…開けて…』
まさか…。
もしかして…。
かおりちゃん!?。
かおりちゃんだ!間違いない!。
調度よかったし、とにもかくにも嬉しかった!。
明日帰るなんて言って、僕にサプライズしてくれたんだな?。
コンコン…コンコン…。
『雄太くん…早く開けて』
「ああっ!ちょっと待ってね!すぐに開けるから!」
ガチャ…。
「いやぁ~びっくりしたよ!でもうれ………」
えっ?。
キミ…かおりちゃん…だよね?。
彼女の目。
ガラス玉のようだった。
生気を失ったような…無機質で…。
あの可愛い笑顔のみじんも感じられなかった。
「あの…かお…」
彼女はスウッと僕の横を擦り抜け、部屋の中へと入って行った。
そして部屋の中をゆっくり見渡してた。
「ただいま…」
そう言って、口だけ笑ってた。
ただいま?。
そういえば、彼女は僕の部屋を知らないんだ!。
でもなぜかおり?ちゃんはここにいるんだ?。
それじゃ…こいつは誰だ!?。
こいつはかおりちゃんではなく別の…。
「かおりちゃん…ただいまじゃないよ…ここは…」
「ううん…ここは私のおうち…ずっと雄太くんと一緒にいたんだから…」
な…何を言ってるんだ?。
「すっかり変わっちゃったね…前は仲間がたくさんいたのに…」
コイツの言ってることがますますわからなくなってきた。
僕は思い切って聞いてみた。
「キミは『かおりちゃん』だよね?」
「………」
「ねえ…答えてくれよ!キミは『かおりちゃん』だよな!?」
クゥ~っと首を回し、僕の方を見て、ニヤリと笑った。
「『かおり』じゃないよ…『メイファ』だよ…」
「エ?」
『奴』は糸に釣られた人形みたいに、スゥーっと立ち上がって、僕のところにやって来た。
「私…メイファだよ!夢…叶ったね…」
僕は今、何の話しを聞いているんだろう?そんな気分だった。
「どうしたの?メイファ…人間になったんだよ…うれしい?」
「お…お前…何を言ってんだ!メイファなんているわけ…ないだろ!」
「ここにいるよ…私はメイファだもん…雄太とずっと一緒…」
「ううう…うるさい!かおりちゃんをどうした!彼女に何をしたんだ!?」
『奴』は表情を変えずに言った。
「かおりと、取りかえっこしたの…」
なんだって!?。
「だって…かおりもメイファも雄太と一緒にいたいって…おんなじだったから…」
そう言って、僕に抱き着いてきた。
「うれしいナ…こうやって雄太に触れる事ができた…」
「やめろ!」
僕は『奴』を引き離した!。
クリクリとした大きな瞳を見開き、『なにがあったの?』って顔になった。
「雄太言ったよ…メイファと一緒にいられたらって…」
「なに言ってんだ!?僕はかおりちゃんが好きなんだ!」
「それじゃ…メイファの事は?」
「大っ嫌いだ!かおりちゃんを元に戻せっ!」
「ウソつき…」
『奴』の顔がだんだん険しくなってきた!。
風も吹いていないのに、ワサワサと髪の毛が逆立って、ものすごい形相に変わっていった。
「ウソつき…好きって言った…好きって言ってたくせに…」
「お前はかおりちゃんでもメイファでもないっ!ただの『化け物』だ!」
「違うっ!私はメイファ!メイファなのぉーーー!」
うわっ!。
グゥゥ…!。
『奴』が『からくり人形』みたいに動いた!。
そして、僕の首を掴んだ!。
「が…ぐぐ…やめ゛ろ゛…」
「ウソつき…許さない…友達みたいに…してやる…」
「友゛達…?つ…月星…氏…」
「アイツ…メイファを別のおうちに連れて行こうとした…」
マジかよ…。
な…なんで…?。
『奴』の指が僕の首に、グイグイと食い込んでいった。
「ぐぐ…だれ…か…だ…ずげ…で…」
僕の目の前…。
景色が歪んで…次第に…真っ白になっていった…。