おぼつかない足取りで私はKYOのスタジオに行った。
散々私をバカにした事を後悔させてやる!。
記憶を頼りにKYOのスタジオを目指した。
「フンッ…ここだ…」
地下に下りて行った。
ギギ…ギギギギ…。
重い…というより硬い…。
いや…鉄の部分が赤錆でボロボロだった。
ギギギ…バギバギ…。
「なによコレ…こんなだったっけ?」
やっと中に入れた。
カビ臭くて、湿っぽい…。
間違ってないはず…なのに…。
「KYO!いるんでしょ!?出て来なさいよ!麻奈美ちゃんが遊びに来てあげたわよぉ~アハハ!」
薄暗い部屋の真ん中辺りに人の気配を感じた。
「KYOさんでしょ?麻奈美よ!ま・な・み…」
椅子に座っているのかしら?。
ピクリともしない。
暗闇に視界が馴れてきた。
やっぱりいる。
「KYOさん!また私を綺麗にしなさい!」
椅子を掴んで廻した!。
「はっ!」
女装した…KYOさん?…いや…マネキンだった。
「え?なにこれ?ここどこ?でも…間違いじゃないのに…」
場所も微かに感じる雰囲気も、あの時と同じなのに…。
「どうしちゃったの?私…飲み過ぎた?」
マネキンの頭が落ちた。
「なによ…脅かさないでよ…」
入り口の方向…。
誰かがいた。
「誰?」
部屋の蛍光灯が光り、部屋に明かりがついた!。
「え…なにこれ?」
打ちっぱなしのコンクリート…。
空き瓶やゴミが散乱して…。
何年も使っていないようだった。
「なに?ここ…数日前は…こんなんじゃなかったはずなのに…しかもなんで明かりがつくの?」
何がなんだか分からなくなってた。
「よっ!…よう来たな…」
KYOさんが私にカメラを向けていた。
不適な笑みを浮かべて、私に近寄って来た。
「よく来たわね…しかしこれなに?」
「知らんわ…」
「ねぇ…また『綺麗になるおまじない』してよ…」
「あんた…まだ分からんか…?」
KYOさんの目は鋭かった。
「分かる?何が分かるのよ?早く私をあの時みたいに綺麗にしなさい!」
そして…KYOさんは懐から、二枚の写真を出した。
「どっちがいい女や?」
一枚は私が綺麗になった写真…もう一枚は…過去の…。
そう…あの時私が『草原』をイメージした時の写真だった。
「麻奈美…あんた…約束…覚えとるか?」
「はあ?」
「あん時の約束や…」
「知らないわ…なに?」
KYOさんは深い溜め息をついた。
「あんたの中身はどこに行った?」
「中身ぃ~?あんな弱い心なんて捨てちゃったわよ!バカバカしい!」
「アホやな…あんた…」
「当たり前じゃない!」
そしてさっき撮った写真…。
「ポラロイド?バカにしないでよ!もっとちゃんと撮ってくれる?もっと綺麗に…」
「あんた…それで十分や…」
いちいちムカつく…。
「欲をかくとロクな事ないで…目を覚ませ…自分を取り戻さんか!」
「目なんかとっくに覚めてるわよっ!綺麗になった方がいいに決まってるじゃない!」
「………そうか」
「え……?」
KYOさんの顔が淋しげな表情になった。
「勿体ないのぉ…」
「な…なにがよ…?」
「もうええわ…」
そう言って写真を差し出した。
「記念にやるわ…」
「いらないわよ!こんなの!あんたが好きにすればいいじゃない!」
カチッ。
「ふーっ」
煙草に火をつけ、深く息を吸い込んだ。
「いらんのか?」
「あんたにあげるわ!そんなもん!」
「ほぉか…なら…好きにするで…」
そう言って、写真の下にライターの火を持ってきた。
ジリジリ…。
紅い炎がメラメラと写真を覆っていった。
「じゃあな…さいなら…」
KYOさんは部屋を出て行った。



