乳酸菌とは

これらの乳酸菌を摂取することで、腸内環境をよくすることができます。菌の種ごとに体に与える効果は様々で、今ではトクホ(特定保健用食品)認定を受けたヨーグルトやサプリメントもあります。詳しくは、以下をご覧ください。

しかしながら、腸内環境は人により異なること、同じ人であっても時にゆらぎが生じることがありますので、同じものを摂取しても必ず効果が現れるとはいえません。これが「乳酸菌には効果なし」「謳われている効果は嘘」とされる理由です。自分に合う乳酸菌を探す作業が必要であることを理解しておきましょう。



2.乳酸菌の摂取で期待できる効果5

乳酸菌を積極的に摂取することによって、期待できる効果効能は以下の通りです。

2-1.便秘解消

便秘解消

乳酸菌は、ヒトが摂取した食品を腸内で分解し、便を形成するために役立ってくれるものです。便の内容物は、食物のカスが約3割・腸管からはがれた細胞が約3割・腸内菌が約3割です。便秘のときは、これらのものが腸内にとどまり続け、腐敗して悪玉菌が増加してしまいます。この状態を解消するためにも乳酸菌(善玉菌)を摂取し、腸の粘膜を保護したり、乳酸菌の作り出す乳酸で腸が便を送り出す蠕動運動(ぜんどううんどう)を活発化させる必要があります。

特に便秘薬が手放せないという方は、積極的に乳酸菌を摂取してみてください。便秘薬のなかには、長期使用することで自然な蠕動運動ができなくなってしまう種類のものがあります。可能な限り、自らの力で排便することを目指したいものです。



2-2.ダイエット

ダイエット

乳酸菌の中には、内臓脂肪や皮下脂肪の代謝を上げ、脂肪を減らす効果が確認されたものがあります(乳酸菌による「内臓脂肪蓄積抑制」効果と「免疫調節」効果│全国発酵乳乳酸菌飲料協会)。脂肪が多い肥満時の脂肪組織は炎症を起こしていると考えられています。高い脂肪を含むエサを与えたラットを3グループに分け、そのエサに非発酵物、乳酸菌発酵乳、特定の株で発酵させた発酵乳を加えて与えたところ、特定の株で発酵させた発酵乳を食べたグループでは炎症を示す数値が特に低く現れ、脂肪細胞が大きくなることはありませんでした。

2-3.免疫力の向上

免疫力の向上

口から入った食べ物などが直接触れる胃腸は、常に外敵にさらされている器官です。そのこともあり、免疫細胞の6~7割が腸に結集しています(免疫力とプロテクト乳酸菌の関係│サントリー)。体に入り込んだ異物に即座に反応するナチュラルキラー細胞(NK細胞)を活性化するIL(インターロイキン)-12は、乳酸菌を摂取することで生み出されます。乳酸菌摂取によってパワーアップした免疫細胞は血液などに乗り全身をパトロールします。

2-4.アレルギー症状の抑制・緩和

アレルギー症状の抑制・緩和

アレルギー症状は、その原因であるアレルゲン(ダニ・カビ・牛乳・卵・そば・化学物質・花粉など)が体内に入ったとき、そのアレルゲンと戦おうとすることから起こるものです。アレルギー症状を呈しているとき、2型ヘルパーT細胞がIgEと呼ばれるタンパク質を生産するよう促しています。このIgEが過剰になったとき、アレルギー症状が現れ始めますが、IgE産生を抑制する1型ヘルパーT細胞が正しく機能すれば、アレルギー症状を抑制・緩和することができます。乳酸菌を摂取すれば1型ヘルパーT細胞が活性化されます(乳酸菌とアレルギーの関係│フジッコ)。



アトピーは乳酸菌で改善する?効果のある乳酸菌の種類と摂取方法

2016.11.012-5.ポリープやがんなど大腸の病気を予防

ポリープやがんなど大腸の病気を予防

乳酸菌は、腸内でしか生きられないビフィズス菌をサポートしています。その結果として腸内を酸性に保ち、悪玉菌が生息しづらい環境をキープできるのです。悪玉菌のうち、ウェルシュ菌や黄色ブドウ球菌は炎症やがんを発生させる原因として知られています。このような菌を減らすことでポリープやがんのリスクを減らし、予防することが見込まれています。

3.乳酸菌を摂取し始めて効果を実感できるまでの期間

乳酸菌は、摂取を始めてすぐに効果を実感できるものではありません。既に出来上がっている腸内環境を改めるのですから、時間がかかるのはいうまでもありません。人により腸内環境は異なりますので、摂取し始めた乳酸菌が「実は必要なかったもの」というケースもあります。2週間ほど試してみて、合う・合わない(効果が現れるかどうか)を確認してください。

4.乳酸菌を効果的に摂取する方法

意識して乳酸菌を摂取するのならば、より効果を引き出す摂取方法を心がけたいものです。どのようにすれば乳酸菌の効果をしっかりと実感できるのか、以下の方法を試してみてください。

4-1.ヨーグルトをデザートとして食べる

ヨーグルトをデザートとして食べる

乳酸菌は、摂取したときに生きていたとしても、消化のために必要な胃酸や胆汁に触れると死んでしまいます。そのため、できれば胃酸が薄くなっている食後に摂取すると生きて腸まで届く可能性が高まります。しかし、死んでしまった菌(死菌)も食物繊維に似た効果を持ち、悪いものを体外に排出する効果を持っています。また、死んだ乳酸菌はビフィズス菌を増やすことが確認されていますので、「菌が死んでは意味がない」と神経質になることはありません(生菌でも死菌でも効果は変わらない│大和薬品)。

4-2.オリゴ糖や食物繊維など、エサとなるものも摂取する

オリゴ糖や食物繊維など、エサとなるものも摂取する

乳酸菌は、オリゴ糖や食物繊維(大豆・ごぼう・海藻・果物)など、エサとなるものと一緒に口にすると効果的な摂取ができます。乳酸菌は胃酸や胆汁に弱いものですので、生きて腸まで届いた数少ない乳酸菌をきちんと活用するためにも、オリゴ糖・食物繊維が大切です。

4-3.トクホを選ぶ

日常生活のリズムが乱れがちという多忙な方ならば、トクホ(特定保健食品)を活用するとよいでしょう。バランスの良い食事ができていれば腸内の環境もよいはずですが、コンビニエンスストアのお弁当やファストフード、外食が多くなればなるほど偏りが出てきてしまいます。偏りを正すことが難しいのならば、一定の効果を認められたトクホの乳酸菌食品を摂取してください。

4-4.カルピスウォーターのような清涼飲料水に効果はある?

カルピスウォーターのような清涼飲料水に効果はある?

カルピスウォーターは、日本で古くから愛されてきた希釈する「カルピス」をどこでも飲めるようにした清涼飲料水です。カルピスと同じく、乳酸菌や酵母で発酵させてあります。このような清涼飲料水は、製造工程で乳酸菌を使用していますが加熱殺菌しています。死菌であってもある程度の効果を見込めるのが乳酸菌の特徴ですし、清涼飲料水は発酵の段階で乳糖が乳酸に変化していますので、ヨーグルトを食べるとおなかが痛くなるという方にとっては取り入れやすい商品です。

しかし、糖分も含まれますので、飲みすぎには注意したいものです。

4-5.効果のあるサプリメントを見極めるには?

効果のあるサプリメントを見極めるには?

忙しい、仕事の時間が一定でない方、出張の多い仕事に就いている方は、サプリメントで乳酸菌を補いたいと思われるはずです。自分にとって効果のあるサプリメントはどれか、という疑問をもっているかもしれません。

乳酸菌を含む食品を試すときと同じように、2週間を目安にいくつかの商品を取り入れてみましょう。便秘解消など望む効果が感じられないときは、次の商品を試すという具合です。

それも難しいという場合は、複数の乳酸菌を配合しているサプリメントを摂取しましょう。おなかの中の状態はどんな人でも一定ではありませんので、複数の乳酸菌をサプリメントで摂取するのもひとつの考え方です。