人体最大の臓器 「皮膚」について
ヒトの身体全体を覆う皮膚は,面積が成人で1.6 m2,
重量は体重の約16 %を占める人体で最大の臓器である.
外界と直接触れるため
①水分の喪失や透過を防ぐ,
②体温を調節する,
③微生物や物理化学的な刺激から生体を守る,
④感覚器としての役割を果たすなど
生命を維持するための
必要不可欠なさまざまな機能をもっている.
我々がテーピングなどを施すうえで,
正常皮膚の構造や機能を
正しく把握することは大変重要である.
皮膚の表面は一様に平滑ではなく,
多数の細かい皮溝(sulcuscutis)と呼ばれる
溝によって刻まれている.
皮溝には溝が深いものと浅いものがあり,
浅い皮溝で囲まれた小さな隆起を
皮丘(crista cutis)という.
そして,このいくつかの皮丘が,
より深い皮溝によって囲まれて
多角皮野(area cutanea)を形成する.
毛は深い皮溝から生えており,
汗腺の汗孔は皮丘に開口する
この皮溝の走行方向は身体部位により定まっており
皮膚紋理と呼ばれる.
とくに手掌や足底では特徴的な走行により,
いわゆる指紋や掌紋を形成する。
皮膚の深部でも同様に弾性線維が
身体部位により決まった方向で走行している.
このため,皮膚に円孔を開けた際には,
皮膚の張力が強い方向を長軸とする楕円ができる.
この走行を図示したものを
割線(cleavageline:Langer 割線)という.
この線に沿って切開を行えば,
張力に差が生じないため傷痕が目立たなくなる.
いっぽう,母斑など皮膚疾患の一部は
Blaschko(ブラシュコ)線に沿って生じることが知られている
これは胎生期に皮膚へ分化するクローンの
拡張方向を示していると考えられている.
私はこのBlaschko(ブラシュコ)線に注目したい
【図中の太い線上に症状が出やすいのと
左右非対称であるのが興味深い】
そこに傷があるから痛い
またはそこの張力に問題があって
他の部分に痛みが出ている場合などは
割線(cleavageline:Langer 割線)を念頭に
テーピングなどをすればいいのだが
何か張力だけでは解決しない
他の流れを変化させることには
このBlaschko(ブラシュコ)線を念頭に
テーピングを施してみてはと思いついたのであった。
最大の臓器である皮膚には
勉強不足の私には
まだまだ知らないことがたくさんあるようだ。
ちなみにリンパマッサージは
ランゲルライン(皮膚割線)に沿ってやさしく行うと
効果的だそうです。