読みかけの小説みたいに
私の人生は途中で止まった
何を描くべきかもわからずに
ただ、ページを閉じただけ
夕暮れに滲む街の音
誰かの笑い声が遠い
届かない手紙のように
私の声は風に消えた
あの頃の夢は もう誰のものでもない
胸の奥で静かに崩れていく
最終ページの空白に
書けなかった言葉がある
“生きていた”と 誰かに伝えたくて
ペンを握ったまま 泣いていた
誰のために笑ってたのか
思い出せない夜の底で
心の灯が消えていく音を
ひとりきりで 聞いていた
何も起きない日々の中で
少しずつ私が透けていく
写真の中の自分さえも
他人みたいに見えてしまう
未来の約束 破られたとしても
それを責める力ももうない
最終ページの空白に
残された夢の残響
“さよなら”の一文字すら
涙で滲んで読めない
描きたかった景色たちは
どこへ消えてしまったの
人生の意味を問うた声も
誰にも届かないまま
もし神様がいるのなら
もう少し早く教えてよ
幸せの終わり方を
こんなにも静かにするなんて
最終ページの空白を
今日も指でなぞっている
書けない結末(おわり)こそが
私のすべてだったのかもしれない
誰にも読まれない物語
それでもまだ息をしてる
涙で滲む文字の奥に
消えそうな“私”がいた
ページの隅に残る指紋。
それだけが、
生きた証のように光っていた。









