金魚

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《会いたくない。》


[君に、会いたくない。]

ずっと、思っている。
だが、言葉にしたことは1度もない。



付き合い始めて、
そろそろ一年経つだろう。

初めての彼氏だった。


高2の夏休み直前に告白された。


[ずっと、好きだった。]


すごく、嬉しかった。

彼の顔は真っ赤で、可愛いと思った。


夏休みに、たくさん出掛けた。
デートだったと、思う。

まず、手を繋いだ。
次に、キスをした。

と、まるで少女漫画の主人公のようだった。


私たちの関係は、
季節が変わっても変わらなかった。


彼は、毎日のように好きだと言ってくれた。
私もそれに、応えた。

[好きだよ。]

[私もだよ。]

そして、抱き締めてくれた。


毎日、メールもした。

だから、好きあっていると
思っていた。


だけど、そんなものは



夢物語


だったようで。


夢物語でも、長く続いて欲しい。
そう、願いました。


でも、



___夜明けはすぐにやってきて、



_________
______


ある日の事です。

彼を待っている時でした。



いつまで経っても、来ない彼に
しびれを切らした私は

彼の教室まで、迎えにいきました。



彼の教室の前まで来ました。


だけど、引き戸は前後両方、
閉まっていました。


硝子は、磨りガラスで
中からも、外からも見えません。


声をかけようとすると

声が、聞こえました。


[好きだよ。]

彼の声です。

誰に言っているのか?
きっと私だと思い、応えようと__。


[うちも、好きや!]


私の声では、ありません。


[彼女は、いいんか?]


可愛い声で、酷いことを聞きます。
この、彼女は。


[いいよ、別に。
       
 好きじゃないし。]


酷いのは、彼でした。


あんなに、好きだと言ってくれた彼が。


こんな風に思っていたなんて
私は、初めて知りました。


その日、付き合い始めて
初めて1人で帰りました。


そして、

初めて泣きました。


胸が痛くて、辛かったです。


__________
_______


あの日から、
1ヶ月余りが経ちました。


まだ、メールが届きます。

[好きだよ。]

好きでもない女に。

気持ちのない言葉を。


そして、毎日 彼は
私に会いに来て、

[好きだよ。]

と言い、抱き締めます。

毎日、毎日。


あの日から、

私は1度も応えていない。


そんな私に、彼は会いに来ます。

毎日、毎日。

返事のない、言葉を持って。


今日も彼はまた、会いに来る。


だけど、

私は会いたくない。


そう、思った時

彼の声が聞こえた。


                   《会いたくない》End.