私の尊敬して止まない歌手の一人にJuanes(ホワネス)がいる。


最近故郷に巨大な銅像が立ったと話題になったShakira(シャキーラ)と同じコロンビア出身の歌手だ。


そのJuanesを私が初めて知ったのは、大学生の頃だった。

初めて『La paga』を耳にした瞬間、一目惚れのようにJuanesのとりこになってしまった


その中でも、私が最も衝撃を受けた曲が『A dios le pido』(神に祈る)という楽曲だ。


世界最悪の治安から、愛を歌う


同時の私は、コロンビアという土地が

私達の住む日本の日常とは、あまりにもかけ離れている所だと言う事を

恥ずかしながら知らなかった。


そのせいで、この曲の『神に祈りを』というタイトルや歌詞は宗教的な価値観を込めた歌詞だと勝手に思い込んでいた。


しかし程なく、大学でラテンアメリカ文化の授業を受けた際に、コロンビアという土地の過酷さを初めて知ることとなった。


現在はメディアなどでも取り上げられているため、ご存知の方も多いと思うのだが

コロンビアは、麻薬が横行し

ギャング達の襲撃などにより

一般人が命を落とす事も少なくない。


一時は『世界最悪の治安』

とも言われた。  


当時、教鞭をとって下さった教授が

コロンビアを研究なさっていた関係で

特にコロンビアについて詳しく取り上げて下さった。


日本では想像できないような恐ろしいエピソードの数々に衝撃を受け

私のコロンビアのイメージは


一気に 恐ろしい国  

というものに変わってしまった。


教授の実体験のエピソードを交えた授業も

リアルでショックだった。



それを踏まえてこの曲を聴いたとき、全く別の曲を聴いたようなショックを覚えた



 A dios le pido『神に祈る』


Que mis ojos se despierten

Con la luz de tu mirada


君の眩しい視線が僕の瞳を目覚めさせて

 

Yo, a Dios le pido 


僕は神に祈る


Que mi madre no se muera


母さんが死なずに


Y que mi padre me recuerde


父さんが僕を覚えていてくれるように


A Dios le pido


神に祈る


Que te quedes a mi lado


君が僕の側に居続けてくれるように


Y que más nunca te me vayas, mi vida

A Dios le pido


そして絶対に君を離さないように、ダーリン


神様に祈る


Que mi alma no descanse


僕の魂が休むことなく


Cuando de amarte se trate, mi cielo


君を愛し続けるように ダーリン


A Dios le pido


神に祈る


Por los días que me quedan


僕に残されている人生の日々のために


Y las noches que aún no llegan

Yo, a Dios le pido


そしてまだ迎えていない夜のために


僕は神に祈る


Por los hijos de mis hijos


僕の子供たちの子どもたちのために


Y los hijos de tus hijos


そして君の子供の子供たちのために



A Dios le pido


神に祈る


Que mi pueblo no derrame tanta sangre


僕の故郷で沢山の血が流されないように


Y se levante mi gente


そして僕の仲間たちが立ち上がれるように


A Dios le pido


神に祈る


Que mi alma no descanse


僕の魂が休むことなく


Cuando de amarte se trate, mi cielo


君を愛し続けるように、ダーリン


A Dios le pido


神に祈りを


Un segundo más de vida para darte


君に捧げる人生のもう1秒


Y mi corazón entero entregarte


そして僕の心の底から君に捧げる


Un segundo más de vida para darte


君に捧げる人生のもう1秒


Y a tu lado para siempre yo quedarme


そして、永遠に僕は君のそばにいる


Un segundo más de vida yo a Dios le pido


人生のもう一秒…僕は神に祈る




呪文のように繰り返す…お守り曲


Juanes自身、コロンビアという自分の国を

とても愛していて


別の曲ではコロンビアの美しい景色を歌っている明るい曲もある。


しかしこの曲でJuanesが表現したかったのは


愛だけでなく、コロンビアにおける過酷な現状でもある。


毎朝、目が冷めた瞬間から襲う不安感の中から



『生きている』という奇跡が更に輝いて見える。



この曲のPVで、Juanesと美しい女性の間に飛び交っているのは銃弾だ。




そしてこの曲に、私が不思議に思っていることがある。


何度も繰り返される歌詞が不思議な事に

祈りの呪文のように感じるのだ。


基本的にJuanesの曲には


ラップの様に気持ちよく韻を踏むものが多いのも理由だとは思うが


特にこの曲のスペイン語の音の響きと

独特のメロディーがそう感じさせるように思う。


そのせいで、いつの間にか私は不安な気持ちに押し流されそうになる度


この曲を心の中に響かせ、小さな声で口ずさむようになった。


私にとってはお守りのようなものだ。



新年が明け、穏やかな年明けと思いき

元旦から飛び込んできたのは


石川県を震源とした大地震、そして飛行機の衝突事故だった。


立て続けに流れる痛ましいニュースに

私はこの曲を口ずさんだ。


被災された皆様に、心からの祈りを捧げたい。


そして、私のようなしがない人間でも、できるような事を考え、継続して、少しでも力になれたら…と感じている。