『蓮加・・ごめんね・・・』

 

 

突然お兄ちゃんから好きと言われて

泣きながら私は混乱していた。

 

 

お兄ちゃんが困っちゃうし

きちんと言葉にしないとと思うが、

なんていったらいいんだろう。。

そんな私をお兄ちゃんは申し訳なさそうにみていた。

 

 

『あのさ・・・』

 

 

「違う・・・・ごめんなさい・・・

 あっ、ごめんじゃなくて・・・・

 違うの、違うから・・・・」

 

 

 

『・・蓮加・・・・』

 

 

全然言葉にできなかった。

でもごめんと言ったらもっと誤解されちゃう。

 

 

お兄ちゃんがどっかに行っちゃうと思った私は

泣きながら必死に首を振って、

お兄ちゃんの袖を両手でギュッと掴んだ。

絶対に離しちゃダメだと思った。

 

 

お兄ちゃんは心配そうに

それでいて少し困った表情をしながら

いつかの様に頭をぽんとしてくれた。

 

 

『大丈夫だよ・・・

 どこも行かないから、話せるようになるまで待つから・・・

 だから大丈夫・・・』

 

 

やっぱりこの人は蓮加のことをわかってくれるんだ。

うれしい・・・

頭から優しさが伝わってくるようだった。

 

 

 

 

一生懸命気持ちを落ち着けて、なんとか話し出した。

 

 

「私もお兄ちゃんの事、本当の兄弟なんて思ったことないよ。

 でもそうしてないと一緒にいられないと思ってた。

 私はお兄ちゃんからみたら、子供だし彼女じゃないから・・・。

 一緒にいられないのは絶対嫌だった。」

 

 

「今日もお兄ちゃんに、彼女ができたからもう一緒に登校できないって

 言われると思ってたの。

 だからびっくりして、ちょっとよくわからなくて・・・」

 

ようやく今の気持ちを伝える事ができた。

 

 

『彼女?』

 

 

「うん・・・」

 

 

『えっと、そんな人いないけど・・・』

 

 

「だって昨日みちゃったんだもん。

 中庭でお兄ちゃんがシオリ先輩に告白してるとこ。

 それで今日は蓮加のこと好きっていわれてもわかんないよ」

全力で真剣な表情をつくり、お兄ちゃんを見つめる。

 

 

んっ、なんかお兄ちゃんの様子が変だ?

顔を真っ赤にして頭を抱えだした。

 

 

『あー、あれ見られてたのか。

 めっちゃ恥ずかしい・・・』

 

これはどういう反応なんだ?

こっちはまじめに話してるんだけど。

状況がつかめない私にお兄ちゃんはゆっくり話し出した。

 

 

『えっとどの辺を見てたのかわかんないけど

 あれは先輩に告白の相談をしてたんだ。』

 

 

「相談?」

 

 

『その・・・蓮加への告白の相談』

 

 

「えっ!」

 

 

『もう気持ちを抑えるのが難しいから蓮加に告白したいんだけど、

 その結果、一緒に登校できないってなった時に

 電車でまた痴漢にあったりしないかなって心配で。

 そんなこと相談できるの蓮加の事しってる久保先輩くらいしか思いつかなくて。

 だから痴漢の事先輩には話しちゃったんだけど、ごめんね』

 

 

「そうだったの?でもなんでお兄ちゃんが蓮加に告白したら

 一緒に登校できなくなるの?」

 

 

『いや、だってただの幼馴染と思ってた相手が

 相手はそう思ってなかったってなったら

 一緒にいるの気まずいだろうし、蓮加は嫌かなと思って』

 

 

「・・・・・・・」

 

 

どこまでこの人は優しいんだろうか。

思わず笑ってしまう。

 

 

「ふふっ」

 

 

『なんかおかしかったかな?』

 

 

「ううん、すごくうれしい・・・。

 うれしいです・・・」

 

 

 

『えっと、じゃああらためて言うけど、

 蓮加の事がずっと好きでした。

 これからは幼馴染としてじゃなく

 彼女として一緒にいてほしい』

 

 

「はい、蓮加をお兄ちゃんの彼女にしてください」

 

 

 

 

こうして私は幼なじみの彼女になった。