

外はうだるような暑さだろう。多聞にもれなく一律に暑い7月盆の朝。
脱ぎ散らかした袈裟 布袍に黒衣、、、、
五条袈裟はベッドカバーのように布団の上にかかっている。
横で眠る男を薄目で一瞥し、足袋は何処だ?とモゾモゾと起き上がると履いたままの感覚に、ああ、、、、、またかと心の中で呟き、お次は眼鏡を探す。
ようやく体の一部を身に着け、足袋を脱いで、浴室へと向かう。途中黒衣を拾い またベッドの上の男を見やり 軽くため息を吐く。
熱めのお湯を出しながら、夕べの事に想いを巡らす。
初盆会の経を読みにやってきただけ。
七日毎のお参りを済ませただけ。
やもめになった男に出会って1年。
葬儀の席で涙を堪えた姿にグッと来てから1年。
泣いてもいいんですよと諭した半月後 私は初めてこの男の腕の中に収まった。
僧侶のクセに色に狂うとは何事かなどと卑下する事なかれ。
ただ僧侶にマイノリティをプラスして考えて下されば良いだけのこと。
私が コタニ君を忘れられずにいなければ ほかの相手を探さずとも良いのだが、彼に特定の人が出来た事を知って2年間 その後もずっとズルズルと想いを引きずっていた。
大学時代 何度か寝ただけ。コタニ君にとってはただの遊び相手程度だった。自分もそうなればと思うように向けば万事整ったのだが、彼は思った以上に私を虜にしたのだ。
足袋、、、、、脱がなかったのは自分が懇願したからだ。
靴下の時もある。コタニ君の時は靴下だった。実家の寺に入った時から足袋に変わっただけの事。
コタニ君が一度だけ言ったのだ。
『靴下脱がないでヤるの そそらねえ?』と。
ゾクゾクしたのだ。
眼鏡はお互い外すのに、靴下は脱がないんだ、、、、、と。
熱めのシャワーを頭から浴びて、昨夜の情事を洗い流す。
ここに恋慕や思慕の情念が僅かでもあれば、ゆったりと浴槽に浸かり、足袋の中で焦れた足指を思い浮かべても良い。
だが、俗に言うセフレという間柄。
世間では、愛がなくても、ヤレる存在。
事が終われば、身なりを正し、扉を閉めて出ていくだけ。
一言だけ付け加える。
次のお参りで。。。。。
相手が起きていようがいまいが、そう言うだけ。
男の家では寝ない。
不謹慎だからだ。
家業云云だけではない。
その人の空間に自分を置くのが嫌なのだ。
一線を引く。こういう距離は 自分の最低限の意地。
コタニ君のベッド、灰皿、定位置の眼鏡、コンドームの隠し場所、後ろ手に掴み揺さぶられ 軋む関節の音、、、、、。
どれもが感情を一方にだけ進ませるのだ。
少なくとも 覚えている恋愛で、自分が感情を淀ませたのはこの人だけ。
コタニ君の一切の情はなくとも。
一念は無常にもこの身体に残っている。
トーリ君を離れさせる程の法力はない。
八方塞がりと一方通行は似ている気がしないか?
すっかり泡の消えた身体に、熱めの湯が振り注ぎ続ける。
透明な浴室の窓ガラスの向こうに、実体のある相手が今まさに眠りから覚めようと蠕いているのが見える。
急いで湯を止め、手早く体を拭き、襦袢を着込み、足袋を履く。黒袈裟を腕にかけ、ベッドの上の袍を手繰り、テーブの上に、数枚の札を置く。
「先に出るよ。今日は、盆の中日だからねえ。書き入れ時だ。」
男が近づき、盆ももう終わるね。また会える?と尋ねる。
いつまでか。。。。。
勝手な話だ。自分から誘っておいて、男やもめに付け込んで、寂しさを紛らわせる為に取り繕う関係。
もともとノンケだ。熱が冷めれば、いっときの気まぐれだったと避けられても気にはしない。
「貴方が次の法事に呼んでくれたらね。」
脱がせやすいように切袴は履かないし、直綴の差しも甘い。。。。。
いやらしい人間だよ。色欲を禁じているわけではないが節操がないと言われればそれまでだ。
寺は継がなくても良かったが、今更な気もした。
ベッドサイドに置いた、眼鏡をかけて まだ眠たげな男を見遣る。
まだ若い。子供もいないからいくらでも所帯を持てる。僕じゃなくてもいい。
「不退転、、、、、生きている人間にはそう言う進み方もあります。貴方が信念を曲げてまで 私と関係を持つ必要はありません。 私もいっときは貴方と寝る心地よさに溺れはしましたが、それ以上はありません。 では。。。。。」
引き止められる事もなく、扉は閉まり、蝉の羽音が幾分低い位置から聞こえる朝の町に歩き出す。
町家と現代的なモルタル造りの店舗群、大木で囲まれた公園から遊歩道、濡れた髪を暑気で乾かしながらパーキングに停めた単車に跨り、側道を越え、坂道の続いた先の住宅地に向かう。
早朝のカフェテラスに、コタニ君を見かけた。
スコーンとコーヒー、隣で身を寄せるトーリ君。柔らかい笑みを浮かべて、微笑む眼鏡越しの瞳に胸が音を立てる。2つのコーヒーに訝しがる店員は、ある意味属人的な見方だろう。
しかし間違った事でもない。
ブレーキを強めにかけてしまう。
自分の思考に身震いした。
だが間違ってもいない。
トーリ君の顕現
僕の想いの一方が、行き当たるかもしれないのにな。。。。。
僕も同じ。
トーリ君と同じ。
でも彼は、コタニ君に愛され存在している。
どっちの煩悩が強いというのか。
どっちもかな....今のところ 僕の好きもトーリ君の好きも、コタニ君に向いている。
終。
その技なんていうねや?
胸元大石割
見事や
※大道芸やってる時の魅せ技
※で果てるじゅんうーニキ
※あんたの執着南條晃司を思い出したよ
※ってことで先日バーデーガールだったY 絶愛からのBRONZE読んでどんより
※次回、長命鎖案突きつけるのやめーやーほんまのつぶやきでっす。









