以前、南武支線(浜川崎線)の旅でもご紹介した「浜川崎駅」周辺を散策することにします。今回の目的地は日本鋼管、現在のJFEスチールです。
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ホームから階段を上がるとJFE専用出口がありますが、社員の方のみ使えます。
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こちらが、鶴見線側の浜川崎駅です。
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道路を挟んで、その向かいに南武支線(浜川崎線)の浜川崎駅があります。
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この写真は平日の朝に撮ったJFEの出勤風景です。右手に見えるビルがJFEスチール京浜ビルです。
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この敷地一帯は、テクノハブイノベーション川崎(THINK)と呼ばれています。
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京浜ビルの前には芝生の広場があります。
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広場の中央には、日本鋼管初代社長の白石元治郎氏の銅像が建っています。前回ご紹介した鶴見線「武蔵白石駅」の駅名の由来の主です。

(白石元治郎と日本鋼管)
慶応3年(1867)生まれの実業家・白石元治郎氏は、浅野総一郎氏の門下生として出発し、東洋汽船を興し当時は無謀とされた13,000トン級の国産船舶の建造を成功させた。さらに国家の将来を考え、航路開発のため世界を奔走していた白石氏は、インドの製鉄所生産の銑鉄に注目し、帝大時代の旧友・今泉嘉一郎氏に相談を持ちかけた。今泉氏は製鉄民営の志をもって官営八幡製鉄所を辞し、継目無鋼管生産の有望性を模索していた技術者であった。こうして白石氏の経営と今泉氏の技術、そして浅野総一郎氏や渋沢栄一氏の支持を得て、明治45年(1912)6月、日本初のガス・液体などの輸送用鋼管の専門会社として日本鋼管(株)が設立された。白石氏は浅野氏の娘婿となり独立、初代社長に就任した。工場用地はまだ未造成地であった若尾新田(現在の南渡田町)の一角を購入し、埋め立てと工場建設を進め、翌大正2年(1913)操業を開始した。 (「かわさき区の宝物シート」から)
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白石像の前にある2対の石は、鉄鋼原石です。日本鋼管が初めてオーストラリアから鉄鉱石を輸入した記念として、当時のオーストラリア政府から贈られたものです。
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川崎市市民ミュージアムの企画展で「鉄人28号」に扮したこともあるトーマス転炉。漫画「鉄人28号」は世代を超えて共有できているか心配ですが・・・。
トーマス転炉は、昭和12年に日本鋼管に導入され、日本の鉄鋼業界に貢献した貴重な産業遺産です。このトーマス転炉は、イギリス人シドニー・G・トーマスによって発明された燐を含む鉄鉱石の利用を目的とした製鋼炉です。日本鋼管では、昭和12年にトーマス転炉を導入し、翌年から昭和32年まで京浜製鉄所に設置し、稼動させていました。設置当時、日本満州事変などによる景気の好転を背景に、鉄鋼の国産化推進が強く求められていました。日本鋼管の今泉嘉一郎は、輸入スクラップに依存しない鋼の高能率製造法としてこの転炉に着目し、ドイツで普及していた転炉を、我国で唯一導入したのです。これにより、日本鋼管は、民間鉄鋼業界では初めての銑鉄一貫体制を実現させました。このようにトーマス転炉は、日本の鉄鋼業界の発展に大きく貢献し、世界屈指の鉄鋼生産国に日本を成長させる基礎をつくったのです。現在、市民ミュージアムに置かれています。
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トーマス転炉は、平成19年に近代化産業遺産に認定されています。
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以前、川崎市市民ミュージアムの企画展「横山光輝の世界」展で、ロボットの元祖で横山氏が生み出した「鉄人28号」の頭部をトーマス転炉に見立て変身させた「トーマス転炉鉄人化計画」も行われていました。とてもユニークでした。
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川崎市市民ミュージアムに行った際に購入したトーマス転炉の置物。机の片隅に置いてあります。 
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石造りの門柱の奥にあるのは、「アウマンの家」です。この建物は、日本鋼管創業初期の1913年(大正2年)春、ドイツから招いたアウグスト・アウマン技師を含む職工長が使用した宿舎。二度の移築を経て、1974年(昭和49年)に取り壊されましたが、後に記念資料館として再建され、現在に至っています。
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この石造りの門柱は、1918年(大正7年)、渡田に建築された旧日本鋼管本社社屋の正門として置かれたものです。二度移築されて現在に至っています。
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来年、ちょうど100年を迎える石造りの門柱。歴史の重みと風格が感じられますね。
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アウマンの家に近づいてみると、今は社員食堂として使われていることが分かりました。
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アウマンの家の扉に日替わり定食のメニューが掲げられていました。
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再び、浜川崎駅に戻りました。次回は「昭和駅」と「扇町駅」をご紹介いたします。
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今回伺った「テクノハブイノベーション川崎(THINK)」はこちらです。https://goo.gl/maps/ZUF5XwGahdQ2