今年の夏に仙台から松島、そして平泉、水沢と東北を青春18切符で旅しました。
その記事をご覧いただいたブロ友のshigeruさんから、「品川区東大井にも仙台藩下屋敷跡があり、今でもそのゆかりの場所がありますよ」と教えて頂きました。そこで、今回歩いてみることにしました。
最も近い駅は、京急鮫洲駅です。2階の駅改札口を出て、駅につながっている歩道橋で国道15号線を渡ると仙台藩下屋敷跡の公園が見えてきます。近くの高台には、なんと、土佐国高知藩主の山内豊信(容堂)の墓地がありました。
イメージ 1
容堂公は、多難な幕末期の幕政に大きな影響を与えたことで知られていますが、進歩的で強力な言動は幕閣に恐れを抱かれ、一時、大井村の下屋敷に蟄居させられていました。その後、再び政治の場に復し、大政奉還など幕府と朝廷の間の斡旋に力を尽くしました。維新後、新政府の内国事務総長となりますが、明治5年、45歳の若さで亡くなります。遺言により、大井村の下総山(土佐山)と呼ばれていた現地に葬られました。
イメージ 2
小道を挟み、隣に「仙台坂大井公園」があります。ここは、仙台藩下屋敷の一部で、その周りに広大な土地を有していました。案内板には、旧・越前鯖江藩間部家下屋敷跡とも書かれています。下屋敷は、元々幕府の土地なので、その後、移動をしたのかも知れません。周囲は高層マンションが立ち並んでいます。
イメージ 18
公園の木々も紅葉が始まっています。
イメージ 3
公園の片隅に仙台藩下屋敷跡の石碑が建てられています。
イメージ 4
公園を出て、品川方面に暫く歩くと、自動車専用の仙台坂トンネルが見えてきます。
歩行者用の道に入ると、「旧仙台坂(くらやみ坂)」という道標が建てられています。
イメージ 5

イメージ 6
道標が置かれている近くに、「泊船寺」というお寺があります。永徳2年(1382年)に海中より出現した阿弥陀如来を本尊として、大庵龍光が開創したとされています。松尾芭蕉とも親交があったことから、境内に牛耕庵(泊船堂・芭蕉堂)を建てたと伝えられています。
イメージ 7

イメージ 8
芭蕉の句碑も置かれています。犬がいたので、あまり近づけませんでした。
イメージ 17
「旧仙台坂(くらやみ坂)」を上がっていきます。先にこんもりとした緑が見えます。
イメージ 9
この木は、「仙台坂のタブノキ」と呼ばれているもので、品川区指定天然記念物になっていて、高さ20メートル、幹の周囲4.6メートルで、推定樹齢300年とされています。300年の樹齢とは思えないほど、勢いのある大樹です。仙台藩下屋敷の裏玄関に植えられていたといわれていて、今では唯一の証しとなっています。
イメージ 10
仙台坂を上がったところに大きな木造の建物があります。今回の旅の目的の一つ、「仙台味噌醸造所」です。ここは、仙台藩下屋敷の通称味噌屋敷と呼ばれていたところで、仙台藩から仙台味噌の技術、人をそのまま受け継いでいるところなのです。
イメージ 11
正式名称は、八木合名会社仙台味噌醸造所です。会社のホームページを読むと、伊達藩では、備蓄食料確保から寛永2年以来、味噌の醸造を行っていたそうです。江戸在勤の伊達藩士は当時3千人いて、江戸の甘い味噌は、東北武士の口に合わなかったため造り始めたのだそうです。
イメージ 12
折角なので、「五風十雨」(天然醸造仙台味噌)をお土産にしました。300グラムを量り売りしてもらいました。(撮影の許可をもらいました。)
イメージ 13
味噌樽も店頭に置かれています。
イメージ 14
今も仙台味噌醸造所の木造の建物で造られたお味噌は、仙台藩下屋敷の名と味を引き継いでいます。ぜひ、ご賞味ください。
イメージ 15
帰宅して早速、ビールのつまみに「味噌きゅうり」にしていただきました。辛口の仙台味噌がみずみずしいきゅうりに合って最高です!
イメージ 16
次回は、大井町から大田区山王の蘇峰公園に伺います。紅葉が綺麗でした!
仙台藩下屋敷の仙台味噌醸造所はこちらです。