こんにちは。内田です。今日もお読み頂き、有り難うございます。

さて、Matrixの意味シリーズ、第3段です。
(これまでの記事は、こちら→☆☆

今日のテーマは、matrixの数学的な意味についてです。
少しずつ、難しい内容になってきましたが、頑張ってみます!

2.なぜ、数学の「行列」をmatrixというのか?

これまで行と列をもった構造を、「matrix」であると思っている人は、私だけではないはずです・・・。

でも、本来、matrixという言葉には、この「行と列をもった構造」という意味はなく、最初に数学の分野で、比喩として使われていたのです。語源学的には、それが徐々に行列構造を持つ言葉として、使われるようになってきたように思えますす。(あくまで推測ですが。)

最初に数学の「行列」の意味で、matrixという用語を使ったのは、19世紀のイギリスの数学者、シルベスター(James Joseph Sylvester (1814-1897))でした。彼は、1851年に著した論文で、次のように述べています。

"For this purpose we must commence, not with a square, but with an oblong arrangement of terms consisting, suppose, of m lines and n columns. This will not in itself represent a determinant, but is, as it were, a Matrix out of which we may form various systems of determinants by fixing upon a number p, and selecting at will p lines and p columns, the squares corresponding of pth order."

(この目的のために、我々は、項を、正方形ではなく、例えばm行とn列の長方形の配置を用いて、(議論を)始めなければならない。この配置自体は、行列式(determinant)ではなく、どちらかというと、数値pを決定し、意志に基づいてp行およびp列を選択することにより(この正方行列はp次に対対応する)、複数の行列式(determinants)の様々な体系を生み出すことができる、あたかもMatrixである、といえる。(訳:内田))[1]

つまり、matrixとは、何か別の構造体を生み出すための、母体なんですね、やっぱり。

なお、Wikipedia[3]では、「行列」を、次のようにまとめています。
「シルベスターは行列を、(今日小行列式と呼ばれる)もとの行列から一部の行や列を取り除いて得られる小行列の行列式として、たくさんの行列式を生じるものとして理解していた」。

ここまでくると、連想で、Excel表の操作までたどり着くのは難しくないですね。



[1]ttp://mathworld.wolfram.com/Matrix.html
[2]MADHUMANGAL PAL, "ADVANCED ALGEBRA" , ISBN-10: 8120347374
[3]https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%8C%E5%88%97
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