サカナクションのライブに行ってきた。
桜木町駅から徒歩約10分、キラキラとしたみなとみらいの景色を横目に、ぴあアリーナMMに到着。MMは“Minato Mirai”の頭文字らしい。DAIGOか。
期待とドリンク代600円を握り締め、いざ入場。
ライブハウスじゃなかったので600円を仕舞いながら席に着いた。
最安の席のチケットをとっていたため、席の場所はあまりにも僻地だった。
このへん↓
最上階からステージを鋭角に見下ろす形になる。
最安とはいえ一万円払っているのに…
これで一万円は高くないですか…?
追いやられすぎて教室での俺かと思った。
アリーナを見回してみると、スピーカーが見たところステージ両サイドと、自分とほぼ同じ高さか少し低いくらいの前方に5つくらい配置されていた。
これが、すごかった。
サカナクションは独自の音響システム『SPEAKER+』というものを導入している。
通常のライブでは、ステージ両サイドのスピーカーから外音を鳴らす。しかしこれでは、アリーナ後方に行くにつれて音が減衰し、小さくなってしまう。
SPEAKER+は、ステージ両サイドだけではなく、アリーナ中央やアリーナを囲むように、通常のライブの5倍ほどのスピーカーを配置することで、観客がどこにいても、同じように聴こえるようになる。
教室の端に追いやられている僕のような人間にも、しっかりと音を届けてくれるその優しさに、心打たれ涙が出た。ごめんね…
これでチケット代一万円なら納得です…
しかし、最上階の端っこ。サウナなら特等席であるこの場所はあまりに暑く、開演前にも関わらず隣のチャイニーズとともに大粒の汗を流していた。
もしかしてこのスモークって…
開演時間になった。
照明が落ち、オープニングが始まる。
アリーナの中を前から後ろに、右から左に駆け抜けるサウンド。
あれ?ここ4階席なのに…?
完全に音の『中』に入っていた。
音と一体化していた。
多少、4階席のハンデは感じたが、それを吹き飛ばす演出だった。
まず最初に感じたのは、
音ズレがない!
ぴあアリーナMMほど大きなアリーナでライブをするとなれば、多少の音ズレの訪れは覚悟していた。
なのに、山口一郎の口の動きに合わせてピッタリ歌が聞こえる。
これが、SPEAKER+!!
ステージの上でも、アリーナ席でも、僕の立つ4階スタンドも、100mくらい先のスタンド席であろうと、寸分違わぬタイミングで同じ音を聴いている!同じ波に乗っている!!
この場所にいる一万人あまりの観客と、今同じ音楽を共有している!
そして、
光が多い!
数え切れないほどのレーザー、レーザーレーザー!
レーザーなんて多ければ多いほどいいですからね!
計算し尽くされた軌道と時間で繰り出される光の束、それにピッタリ呼応する音楽。こんなもの、同期を使った曲を中心に演奏するサカナクションでしか観られないんじゃないでしょうか…
他にも、見たこともないような演出に驚き、感動し、憧れすらした。
隣のチャイニーズの汗臭ささえ演出に思えた。
どこにいても『リアルな』音を提供してくれるサウンドシステム。包み込まれるような音と光、映像。飽きさせないセットリスト。華やかな演出の数々。
ライブという体験は、イヤホンで聴く音楽鑑賞と種類が違うエンターテイメントであるということに改めて気づかされた。
サカナクションのライブは演出にお金かけすぎて普通に赤字らしい。
これでチケット代一万円ってそりゃ安すぎですよ…
こんなに音楽に真摯的なサカナクション、これからも追っていこう。
そんなことを思いながら、ぴあアリーナMM(Majide Manzoku)を後にした。
帰りのみなとみらいの景色は、なんだか物足りない気がした。