国際の2代目チーフスペシャル探訪の旅。
とうとう泥沼にはまりこんでしまいましたよ。
元はと言えば、むかし譲り受けた古いチーフのモデルガンがどこのメーカーの製品なのか?という探索を始めたことからなんですが、その過程でアサヒイーグルチーフ1型の存在やMGCニューチーフとの関係などが分かり、最終的にはこの謎チーフが国際の2代目チーフだということが判明しました。
さらにマニアの方のご協力でハンドエジェクターの部品を譲り受け、チーフからハンドエジェクターの魅力に目覚めていくのでした😅
そして新品状態での、このモデルガンの操作性がどれほどのものなのかということが気になりはじめます。
何しろ、手元にあるハンドエジェクターは中古部品の寄せ集め。ガタ付いた古い部品を内蔵した状態ではホントの魅力には迫れないじゃないですか。
そしてついにヤフオクでsmGマーク付きの国際2代目ハンドエジェクターを落札しました。
若い頃は見向きもしなかったモデルガンに今になって大きな魅力を感じるのは加齢による懐古趣味の増幅なんでしょうが、これまで何度か書いていますが、国際の2代目チーフとハンドエジェクターは意外にも完成度が高く、MGCニューチーフの誕生に大きな影響を与えた名機と言えます。
規制前は茶色、規制後は青色ですが、パッケージデザインは同じです。
1挺の壊れたチーフから始まり、今やチーフはそっちのけでハンドエジェクターばかり新旧3丁揃ってしまいました。
一番下が今回購入したsmGモデル。
グリップアダプターは純正品ではありません。グリップは細身のままよりもアダプターを付けた方がバランスが取れて見えます。
左は初代ミリポリです。
これには純正でグリップアダプターが付いていましたね。
国際2代目チーフ&ハンドエジェクターと初代ミリポリは兄弟機です。
初代ミリポリのsmGマーク付きは見たことありませんので、2次規制を受けて初代ミリポリは生産が中止されたのかもしれません。
代わりに2代目ミリポリが78年に誕生しています。
2代目チーフ&ハンドエジェクターは意外にも2次規制の法定事項を備え、smGマークを付けて販売が続けられています。
僕は、MGC製品に限り1次規制前のモデルガンでも2次規制をクリアした製品が販売を続けたことで、それら古いモデルガンのパーツの供給が出来ていたと書いたことがありましたが、国際をはじめ他のメーカーでも2次規制後も生産が続けられた製品があったことに改めて気付かされました。
今回、入手したハンドエジェクターはほぼ未使用に近いコンディションを保った物で、このモデルガンの新品状態に触れることが出来る貴重な品物と言えます。
1次規制前と2次規制後のカートリッジの比較。
右の2個が規制前で左の2個がsmGモデルの付属カートリッジです。
サイズとデザインはそっくりですが、胴回りの2本の溝の位置が微妙に違います。
装薬孔の違いが分かります。
規制後のカートリッジは装薬孔が狭くなっています。
キャップ火薬に準じたものかと思いましたが深さが足りません。
規制前のシリンダーインサートは弾頭のように見えます。
前撃針の状況です。
smGマーク付きのシリンダーインサートです。規定インサートの厚みの分、弾頭風のレリーフが形成出来ずイボのように小さくなっています。
smGマーク付きの前撃針はカートリッジの装薬孔にあわせて細くなっていますが、5ミリキャップには太すぎるようです。
右は初代ミリポリのカートリッジです。
同じ時期に生産された同じ会社の同じ38splカートリッジですが、サイズがこんなに違います。
2代目チーフ&ハンドエジェクターのカートリッジは同社初代チーフにあわせているようです。
右は初代ミリポリのsm時代のカートリッジです。
長さは同じで、弾頭風にアタマが丸められています。
先端が動きそうに見えますが、筋溝を彫ってるだけですので動きません。
装薬孔はこのように違います。
規制後は銃腔に発火ガスが抜けなくなったので、安全性に配慮して装薬量を少なくしたのでしょう。
規制前のバレルには、うっすらとですがSMITH&WESSONの刻印が打たれています。
smGの刻印はなぜかREVOLVER。
規制前はHAND‐EJECTORです。
smGは、CAL 38。
規制前
smG
規制前
smG
ちなみにこちらも規制前ですが、王冠マーク付きです。
規制前
smG
国際はMGCのコピーから脱却するため、中田商店秘蔵の資料を元にして同社完全オリジナル設計のミリタリー&ポリスを作りました。
その試作品が月刊ガンで紹介されたのが1968年。
量産化には設計変更で2年ほどかかり、モデルガンとして登場するのが1970年です。
この時、新製品のミリタリー&ポリスと同じメカを搭載させたチーフとハンドエジェクターも登場させました。
国際の、これら新製品に対する力の入れようが中途半端ではなかったのだろうと推察出来るのは、
◯実物と同じようにリバウンドスライドを設置していること。
◯メインスプリングがストラットとコイルスプリングで構成された実物同様の造りだったこと。
◯ハンマーとトリガーのエンゲージが実物同様になったこと。
などであります。
今だとごく当たり前の構造ですが、60年代末期のモデルガンはMGCですら、このリアル構造を再現してはいなかったからです。
あ、このことはこれまでに何度も書いていましたね。
国際初代ミリポリはハンマーノーズをスチール製の別部品で作った業界初のメーカーでした。
同じ時期に製造された2代目チーフのハンマーノーズは残念ながらダイキャストの一体型でした。
smGになっても同じです。
国際初代ミリポリと2代目ハンドエジェクター。
還暦過ぎた自分が、この2挺にここまで魅了されるなんて思いませんでした。
当たり前のことだとは思いますが、新品状態は作動性がとても高く、こんなに出来の良いモデルガンだったのかと再認識しました。