派遣で秘書をしている。

昨日は他拠点へ出張しての、社長と副社長の受入対応だった。自分のボス以外の幹部対応は、かなり緊張する。出過ぎても疎ましいだろうし、かと言って構えて遠慮し過ぎも行き届かない。なかなか塩梅が難しい。


秘書の最重要スキルは「コミュニケーション能力」一択だと常々記している。要するに「空気を読む」「行間を察する」ことである。


幹部のオジサン方は、手軽に秘書未経験の派遣を雇う。さも簡単なことのように「MONARIKOさん、ちょっと色々指導してあげてよ」と言う。秘書業務舐めてるのか?社交辞令なのか?こういう無責任な言葉を発する人には絶対に関わりたく無いと思う。

もし私が何か指導たるものをし、嫌がった新人が辞めでもしたら?たとえ新人の方が無能だったとしても、私は【身の程を弁えないお節介】になり、私側にバッテンがつくのだ。


そもそも秘書の仕事の大半はマニュアルや指導でどうこうなるものではない。天性で向いている人は、短期間のうちに自身で悟り、馴染んでいく。その逆は、ベテランで業務自体はこなせても人間関係でこけることが多い。大勢在籍する秘書間では所謂暗黙のルールがあり、それぞれが身分と役割をわきまえてこそ、無駄なく業務がすすむ。配慮と気配りが全てのアナログな世界である。


何故派遣の私が自分の部下でもない他部署の派遣を指導するのか?正社員を採用する手間を省き、お手軽に派遣で賄うのは勝手だが、せめて即戦力になる経験者を雇うべきである。

もちろん別に意地悪するつもりはない。本人から請われれば答える。だが、長年かけて自分で経験から習得してきた秘書のイロハを、同じ派遣に伝授する親切心はない。果たして私のイロハが、他人からも重宝されるか保証もない。


秘書は「未経験でも大丈夫」な業種ではない。

派遣はスキルに対して対価を得ているのだから、初日から最低限の業務はこなせるという前提で雇うべきだ。

何年勤務していても立場は対等。昇進がない代わりに、上下関係も無いのだ。


派遣と正社員は、違うのだ。