2年前の3月の末、紅葉は有休消化に入り出社することはなかった。
…でも、彼女の気配、声を感じるような気がする。見えない誰かから監視されている気がした。
そんなわけはない、いないんだから。
私、少しおかしいかも。夜も1時間ごとに起きるし。
家の近くには心療内科はなかったので、精神科に罹った。
双極性障害II型です。
そう告げられた。鬱ではなく、双極性障害。
躁鬱あるやつ…
※ちなみに双極性障害にはI型とII型があり、いわゆる激しい浮き沈みのある、かつて躁鬱病と言われていたのはI型、躁の波が高すぎないのがII型。
服薬で就業可能だと診断が出た。
薬を飲みつつ気持ちも切り替えつついたら、常に感じていた紅葉の気配や声はパニックにならない限り感じなくなった。
そして新年度になり、気を引き締めて仕事をしなくてはと姿勢を正して仕事に向き合おうとしていた。