著者: 村上 春樹 タイトル: 海辺のカフカ〈下〉
上巻を読み終えたときには、
実はあまり“村上春樹臭さ”のようなものを感じなかったのだが、
下巻を読みすすめていくうちに次第にそのにおいは強くなっていき
最終的にはやっぱり“村上ワールド”な小説でした。
非常に難解な小説です。
それはたぶん、というかおそらく私の理解度の低さによるものなのでしょうが
あまりにも多くのことが理解できずに残されてしまい
消化不良です。
「知りたい」と思った内容のほとんどが、結局、解き明かされることのないまま
話が終わってしまい、私のこの気持ちはどうしたらいいのだろう?
もう一度読んだのなら、もう少し
何かがわかるような気もするが・・・もう一度読もう、という気持ちに
残念ながらなれません。
また何年かして、読んでみようと思うときが来たら
読んでみようかな、と思いますが。
そういう意味では、予感はちょっと外れてしまったのかも。
今回(「海辺のカフカ」)は、私が好きになれない
女性が出てこないなーなんて思っていたのですが、やっぱり・・・でした。
佐伯さんです。
村上さんの小説に出てくる女性は、どうしてこういつも危うく虚ろなのでしょうか。
なぜに、今を生きられないのでしょうか。
佐伯さん、嫌いです。
この長い小説の中で、もっとも強烈な印象を受けたのが次の一文。
どうして彼女は僕を愛してくれなかったのだろう。
僕には母に愛されるだけの資格がなかったのだろうか?
去年、母になったせいか
ここを読んだとき、胸が張り裂けるような思いでした。
子どもが
こんなことを考えてはいけない、と私は思いました。
こんなことを思うようなことがあってはいけない、と。
悲しい物語でした。
その分、美しい物語であるのかもしれません。
でも私には、その美しさよりも悲しみの色の方がずっと鮮やかに見えて
正直ちょっと気が滅入っています。