先週木曜あたりから、やっと東京は夏らしい夏。

セミも鳴き始め暑いけど、嬉しい。

 

うなぎの大好きだった近しい人が、

土用の丑の日を待つかのように、

爽やかな夏風に乗って

天に帰った。

 
さすがだね、とその日、家族や親戚は
その人を偲んでうなぎ。
 
悲しい中にも、うなぎを食べようと
いってくれているみたい。
 
会うたびに生の灯火は弱くなり、
息をすることが精一杯。
 
仕事はどう?
 
この前まではそんなことを聞いてくれた。
 
次行ったときは、
ありがとう、ありがとうばかり。
 
体には気を付けるんだよ。
それが最後に交わした言葉。
 
今は吸って、吐いて。吸って、吐いて。。
息を紡ぐのが精一杯。
 
 
仕事でも成功して、
食べることが大好き。
優しくて、おおらかな面しか知らない。
とても強い人だったらしい。
 
でも、目の前で、ただ吸って、吐いてを
繰り返し、一瞬一瞬をつないでいる。
 
生きるがこんなにも力強いこと、
その人の力強さを、
不思議だけど、
今までで一番感じていた。
 
生きるにしがみつくかのように
時にぎゅっと手を握り、
その手を私も握り返す。
 
体は動かないけれど、
その人が笑ってくれるだけで、
気が付いてくれるだけで、
そこにいてくれるだけで嬉しかった。
 
魂は大事だけれど、
身体という魂の器も同じくらい貴い。
 
自分のもののようでいて、自分のものではないから、
一番思い通りにならないのが身体。
 
苦しかったと思う。
でも、懸命に呼吸しているのをみていたら、
もういいとは言えなかった。
 
思わず、頑張れって言ってしまった。
だって、死は生の一部で、
肉体は朽ちても、魂は生き続ける。
 
生きるを全うしようとしている人を見て、
最後まで応援したかった。
 
魂はこの先も生き続ける中の
貴重な「生きる」時間。
応援して送り出したいと思った。
 
 
何がこの世に残せるのか。
 
その人がどういう人だったか、
一緒にいて楽しかった、そうしたことだけが
心に残っている。
 
みんなみんな、あの世にもっていけるものは
それだけ。。
 
 
本当に本当にありがとう。