「ねぇ 、隣いい ?」
と、私の横に座ってくる男性 。

彩希「あぁ… はい 。」

「ありがと〜♪ 君 、名前は?」

彩希「村山です」
「村山さんかぁ 〜 何歳なの?」
彩希「24ですね…」
「ふーん ? じゃあ 、俺の一個下かぁ 〜」
聞いてないし… はぁ、今回も手応えなしか 。

彩希「すみません 、ちょっとお手洗いに …」
と、言い 今回の合コンの主催者に
帰るねと一言だけ伝えお代を渡す 。

お店を出ると、青いパーカーを着た見慣れたあの子 。

奈々「お、やっぱり 。」
彩希「やっぱりってなに ?ていうか 、なんでいるの」
奈々「いや 〜 ゆうちゃん 。私達 、"zenly "交換してるの忘れてません?」

なるほど…つまり 、合コンに行ってることを知ってるなぁちゃんは場所は知らなかったからzenlyをみて私のお迎えに来たと 。

彩希「忘れてないけど 。一歩間違えたらストーカーだからね。」
奈々「一緒に住んでる"仮恋人"にその言い草は良くないと思いますよ?」

…仮恋人か。私のせいなんだけどさ。

大学2年の時 、なぁちゃんから告白された。
なぁちゃんの事が好きだった私はとうぜん喜んだ。
でも…なぁちゃんのことが好きだからこそ
なぁちゃんには幸せになってほしくて。

…だから私はなぁちゃんに

彩希「私が 、ほかの人を好きになるまでなら …」

なんて 、最低な事を言った 。
こんなことを言われたら誰だって怒ると思うし
さっきの告白を忘れてくれなんて言われても可笑しくない。

それでも 、なぁちゃんは

奈々「もちろんですよ 。私はゆうちゃんの幸せが1番なので。」

なんて言ってきた。

あれから数年 。
お互い同時期に上京するから 、一緒に部屋を借りた。
何回もこの幸せが続けばいいのにと願ったことか 。
でも、そろそろお別れしないとなぁちゃんが私の事なんて他の人を好きになってくれないと…

と、考えた私は片っ端から色んな出会いを求めて
色んな会に参加しているが…

なぁちゃんより素敵な人がいるわけなくて … 。

もういっそ 、なぁちゃんから振ってくれないかな 。

奈々「で?今日の手応えはありました?」
と、ニコニコしながら聞いてくるなぁちゃん。
いなかったって分かったんだろうな。

彩希「…今回はなかった。」

奈々「ふーん…もうよくないですか?」

彩希「へ?」

奈々「私の事を気遣って新しい人無理矢理みつけるのやめません?」

彩希「別に…なぁちゃんのためじゃないし …」

奈々「何年あなたのことを好きだって思ってるんです?それくらい分かりますよ。」

なんだ。全部お見通しだったのか。

彩希「……だめ。だめだよ!!!」

奈々「ゆうちゃん…?」

彩希「私は…なぁちゃんに幸せな家庭を持ってほしい。だから…だめなの。私がなぁちゃんを縛っちゃ…っ…」
全部言い終わる前に 、なぁちゃんの柔らかい
唇が私の唇に触れて私の言葉を遮る 。

奈々「私の幸せは 、あなたの横に居ることなんです。確かに世間からみたら普通じゃないかもしれません、でも私はあなたの傍にいたいんです。 それが 、幸せじゃダメなんですか… ?」

彩希「…なぁちゃんのばか。そんなこと言われたらもう一生離れてあげないよ??」

奈々「むしろ離れないでください。」

彩希「…いいの?ほんとに…絶対離れないからね。」

奈々「はい。絶対に離しませんから。」