七夕って、織姫と彦星が年に一度会うことが許された
特別な日。
1年に1度なのに雨が降ったら天の川に橋がかからなくて会えないって聞いたことがある。

そんな今日は雨。

織姫と彦星……可哀想やな。

そんなことを考えてる窓の外から聞こえるの雨音を
ぼーーっと聞いていると

夢莉「さやかちゃん??」

と、大好きな人から声を掛けられた。

彩「んー?」

夢莉「さっきからずーっと呼んでたけど反応してくれんかったからさ、どーしたんかなって」

彩「え!?ほんま??」

夢莉「うん。何か考え事?」

彩「んー大したことじゃないねんけどな」

夢莉「うん」

彩「今日、七夕なのに雨降ってるやんか。織姫と彦星会えなくて可哀想やなって、ただでさえ1年に1回しか会えないのにさ」

夢莉「……かわっ。」

彩「ん?」

夢莉「い、いや…なんでもないよ?でも、今日ほんとに雨強いからね…会えないかもね2人。」

やっぱりそうやんな……
大好きな恋人に会えない気持ちは私も痛いほど
味わってきたし辛いのが分かるから
余計に可哀想に思えてくる。

次会えるのは来年の今日。

でも、来年の今日に雨が降ったら?
また会えなくなるん?

織姫と彦星の親はほんとに残酷なことをする。

夢莉「でも、もし私が彩ちゃんに七夕にしか会えなくて雨が降ってて会えなくなったらさ」

彩「?」

夢莉「泳いででも会いに行くけどなぁ…。
だって、1年に一回しかないチャンスを雨なんかで台無しにしたくないもん。だから、彦星さんも私みたいに泳いで織姫さんに会いに行ってるんじゃないかな。」

彩「…」

…なんでこんな可愛いんにかっこいいんこの人。
泳いで会いにいくって夢莉泳げんのに泳ぐっていう
選択肢を考える夢莉をほんとに愛しくなって
私は夢莉を抱きしめた。

夢莉「ちょ、彩ちゃん、?」

彩「なに泳げんくせにかっこつけてるん、カッコよすぎやろ、バカ。」

夢莉「もう、ちょっとディスらないでよ、笑」

彩「褒めてるんや。」

夢莉「そうなん?笑 ありがとう、彩ちゃん。」

と、私の頭を撫でてくる夢莉。

彩「好きやで、夢莉」

夢莉「んー?私の方が好きだよ、彩ちゃん。」


もし、私が織姫で夢莉が彦星なら
夢莉が絶対に会いに来てくれるから
悲しい思いをしないで済むんやなって思うと
ほんとに心の奥がぽかぽかして
今日は更に夢莉のことが好きになった1日だった。