なんて彩さんに言われて
私はここに来た。

ここに来てからの日々。
辛いことなんてなかった。

…はずだった。


去年の夏。

彩「…私なここ出ていこうと思うねん。」

…彩さんの言うことは絶対正しい。
私は引き止めることなんて出来なかった。

夢莉「そ、そうなんや。」

私は彩さんのことが好きだった。
彩さんもきっと私のことを好きでいてくれはったと思う。

でも、ここのルールに仲間同士の恋愛は禁止なんていうものがあったためお互い気持ちを押し殺していた。

彩さんがおらんくなったら私は誰に頼ればええんやろ。

彩さんがおらんくなったらみんなはどうなるんやろ。

夢莉「他の子には言わへんの?」

彩「うん。引き止められそうやからな。笑」

夢莉「じゃあなんで…」

私には教えてくれたの?

なんて聞こうとしたけど

彩さんにはそんなのお見通しで

彩「夢莉は特別。言わへんで私おらんなったらまた病むやろ?笑」


…確かにそうかもしれない。

でも彩さん。特別なんて言われたら
このどうしようもない感情はどうすればええの?


できるならいつまでもこのまま彩さんと一緒にいたい

甘えてしまったら彩さんをきっと困らせるし

誰も前に進めない。

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彩さんが突然いなくなった日。

私にだけ

「元気でな?…夢莉、最後やから言うけど…好きやったでずっと。じゃあまたな?」

なんて置き手紙が置いてあった。


…この時私は決めた。

絶対に頑張って
ちゃんと1人でも生きていけるようになったら
ここをでて彩さんを探しに行こう。と。

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…私は今日で20歳になった。


今日しかない。


私はあなたに会いに行くよ。

荷物をまとめて、
彩さんがおらんなってから
前よりもさらに私を可愛がってくれた
吉田さんにだけ置き手紙を残した。

"よしこへ

みんなを頼みます。

今までありがとう。

よしこなら絶対にまた会えると信じてます。

またいつか"


みんながパーティーを開いてくれた今日もうみんなら疲れたのか全員寝てしまった。

それでいい。

みんなを起こさないように
ドアを開けた。


夢莉「ありがとう、みんな 。ばいばい。」

と、小声でつぶやき私は外に出た。


1度だけ後ろを振り返ると、

窓に、よしこ 、さえ様、なぎさ
リーダーのみるさんが私の方を見ていた。

…なんだお見通しか。笑

みんな涙をながしてくれていた。

私は心がキューっと苦しくなったが

ここまできて戻る気なんてなかった。

だから私はみんなに伝わるか分からないけど

笑顔でみんなに口パクでこう言った。

「じゃあ…またね」

なんて叶うかも分からない約束を。

ここで育った7年9ヶ月を私は絶対忘れはしない。

ほんまに色んな人に助けられ、
すごく優しい先輩。
心を許せる同期。
可愛い後輩に出逢えた。

…ホンマに全部が大切な宝物。

ここを離れても、きっと
その気持ちは変わることなんてないと思う。

みんなが大好きだから…。


ありがとう、みんな。


またいつかどこかで。