芸術は、日々の生活で魂にたまったほこりを洗い流してくれる。

パブロ・ピカソ

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静嘉堂@丸の内にて「二つの頂」を見た。
実は、器はそれほど興味がない。
丸の内に静嘉堂が移転後、初訪問がこのタイミングだった。
静嘉堂の至宝「曜変天目(稲葉天目)」が、展示されていた。
何度見ても、心が震える国宝の小さなお茶碗。トップから入る光が分散・屈折・反射して、青や白や藍のなんとも表現のしようがない神秘的な宇宙がそこにあると感じる。

このお茶碗にまつわる徳川家光と春日局のお話(幼少期の家光は病弱で、心配した春日局は薬断ちの願掛けをした。晩年、春日局が病に伏せても薬を飲まなかった。家光が心配をして、薬を飲むようにこの器を授けたが、飲むふりをして着物の内側に流した:諸説あり)もお二人の信頼関係や愛情が感じられるなぁと思う。

福建省の建窯(けんよう)で焼かれた茶碗だが、世界に3つしかなく、すべてが日本にあるという奇跡。過去から現代、そして未来に受け継がれていく壮大さを思うと、なんというか自分がちっぽけに思えたり、肉体を持つ命のありがたさを思ったりと、思考が忙しくなる。

そんなこんなで、ゴッホに続いて魂にたまったほこりが洗い流されたように、キラキラ(?)輝いているかな、と嬉しくなる。

どのように鑑賞しても感じてもいいアートの世界は、まさに私にとって魂ピカピカのツールだなぁと再確認した。