泥酔天使の超泥酔天獄 -8ページ目

泥酔天使の超泥酔天獄

泥酔天使のブログです。
妄想が止まらず感情が昂った時に書きます。

●主な登場人物

※前作「Do You Remember...?」の続編です。

 

西条レイ:主人公。横浜市在住の中学一年生の男子。野球部。

女性アイドルブループ・HEAVENZのれな推し。

ケンヂ:レイの叔父。現在、東北に在住。HEAVENZのれな推し。

ゼータ:ケンヂと同居している特殊能力を持つ宇宙ネコ。HEAVENZのれな推し。

大葉モモノスケ:東北に住む中学一年生男子。あだ名はモモ。

野球部。HEAVENZのかんな推し。

宍戸タマト:北海道に住む中学一年生男子。呼び名はタマト。

野球部。HEAVENZのしおん推し。

河上アキラ:ロサンゼルスのジュニアハイスクールに通う男子。あだ名はアキラッチョ。野球部。HEAVENZのありさ推し。

西条カコ:横浜市在住。レイの母親。ケンヂの姉。あだ名はカーコ。元「横浜魔苦須」

大葉マリ:モモノスケとモモタの母親。元「横浜魔苦須」総長。

宍戸ナツキ:タマトの母親。あだ名はナンシー。パンク好き。元パンクバンド「SID」のボーカル。元「横浜魔苦須」

河上フウコ:アキラの母親。あだ名はフーコ。HEAVENZのプロデューサーARINAは姉。元「横浜魔苦須」

大葉モモタ:モモノスケの兄。

HEAVENZ:4人組の人気アイドルグループ。

千田かんな:HEAVENZのリーダー。担当カラーは赤。アスリートと結婚。アイドルと子育て両立中。

遠藤しおん:HEAVENZメンバー。担当カラーは黄色。独身。女優兼モデル、バラエティータレントとしても活躍。

渡辺ありさ:HEAVENZメンバー。担当カラーはピンク。既婚、夫は専業主夫。ソロアイドル、女優、モデル、手話番組、アイドルプロデューサーとしても活躍。

高田れな:HEAVENZメンバー。担当カラーは紫。冒険家と結婚し世界中を冒険中。ライブがある時に日本に帰国する。不定期放送のゲリララジオ番組「パンチDEハッピー」のパーソナリティーで年に1回、ソロコンを開催。

ARINA:HEAVENZのプロデューサー。アキラの伯母。

ナオミ元ケンヂの恋人。意識がゼータの中に同居中。

kwkm:HEAVENZの元プロデューサー。今は会社の偉い人。

麻宮れに:謎の鉄仮面少女。

 

 

 

 

●第1章

 

れながそのウサギを見つけたのは不定期ゲリララジオ「パンチDEハッピー」を収録した帰り道だった。

道路の脇に何かがうずくまっていた。それは全身が茶色というか黄色っぽい毛で、額に500円玉くらいの大きさの黒く丸い模様があるウサギだった。

 

紫色の首輪をつけており、誰かに飼われていたウサギのようだった。ウサギは寝ているように見えたが、そのままにもしておけず、れなは家に連れて帰り、翌日に保健所に相談して警察署に届けを出し、動物病院で見てもらった。

 

ウサギはオスで健康状態に問題はないものの、額の黒い模様の骨がポコッと出ている。それから3ヶ月、れなの家で預かることになったのだが、結局飼い主は現われず、正式にれなの家で引き取ることになった。

 

「でも、どうしようかねえ」れなはウサギの背中を撫でながらひとりつぶやいた。れな夫婦は世界中を冒険してまわっている。

年が明けたらまた旅に出る予定だ。現実問題として一緒に旅することは不可能だ。

 

れなはウサギを「チャミ」と名付けた。ウサギの毛が茶色っぽいからという理由からだ。チャミはよく眠る、というかずっと寝ている。獣医さんによると特にどこかが悪いわけではないらしい。

 

「キミはどうしたいの?チャミ...」

 

 

●第2章

 

ケンヂおじさんから電話があったのは、10月の始めのことだった。

「レイ、オマエ、野球部だったよな?」

「そうだよ」ボクは横浜の中学に進学し野球部に入っていた。

ボクだけじゃなくモモたちもみんなそれぞれの中学で野球部に入っていた。ボクたちはみんな別々の中学校に進学していた。

モモは地元の中学、タマトは北海道、そしてアキラッチョはなんとアメリカのロサンゼルスだ。それぞれ親の仕事の都合で引っ越したのだ。それで本人の希望であだ名がアキラッチョからAKILLERに変わった。

 

「じゃあ、冬休みになったら草野球やらないか?モモたちとチーム組んで」

「いいけど。どこでやるの?みんなで集まるってこと?」

「ああ。みんなと会うのは今年の春以来だろ?」

 

おじさんの話によると去年の夏、みんなで新国立競技場でライブを見たアイドル・HEAVENZが草野球チームを作ったらしく対戦相手を募集したらしい。そしておじさんが当選したと。

 

「マジで?でも9人も集まるの?ケンジおじさんとボクたち合わせても5人じゃん」

「問題はそこだ。実はオレは出れない。出場できるのは女性と中学1年生以下の男子。だからオレは監督だ」

「えーと、それってもしかして...」

「そう、オマエたちのママたちだ」

「そんなんで大丈夫なの?でもママたちを合わせても8人じゃん」

「いるんだやる気まんまんのヤツが」

「それってもしかして...ゼータ?」

「そうだ。ルールにはネコはダメだと書いてない。とりあえず冬休みになったらみんなで横浜に行くかそれまでしっかり練習しておけよ」

「ケンヂおじさん、ママたちよりボクの野球部の友だちじゃダメなの?」

「レイ、オマエそれで面白いか?それに条件が男女混合チームなんだ」

「それってグダグダの泥仕合になる予感しかしないんだけど」

 

するとおじさんはため息まじりに言った。

「マリさんがな...大谷翔平に会いたいんだってよ」

「ん?どういうこと?」

「その試合に勝ったら大谷のいるロサンゼルス・エンゼルスの試合に招待されるんだ。大谷にも会えるらしい」

そこまで聞いて僕はさとった。

「つまり、ロスに行けるのは監督と選手だけ?」

「そうだ」

 

果たして試合に勝てるのかどうか、こっちの戦力もあっちの戦力も未知数すぎて全くわからない。

でも、もし勝ったら大谷選手に会えるのって凄いな。

ボクも会いたい。

 

「ケンヂおじさん、やるよ。ボクはやる」

「よし!じゃあ、細かいことは姉さんに伝えておくから。あと試合の日は元旦、会場は神宮球場な!」

そう言い残しおじさんは電話を切った。

 

 

●第3章

 

冬休みに入り、モモたちが横浜にやってきた。

さすがに全員うちに泊まることはできないのでウィークリーマンションに泊まることになった。

これまでは個々で練習してきたけど、今日からは合宿状態だ。

合言葉は「オータニ!」

マリさんだけじゃなくてナツキさんもフウコさんも大谷選手に夢中だった。それに感化されてボクのママも「オータニ、オータニ」と言い出した。

 

完全に浮かれたママたちと違ってモモたちは本気で練習をしてきたようで、春に会った時より筋肉がついてるのがわかった。

おじさんはチームの実力分析、ゼータは連日バッティングセンターに通って練習したらしい。

 

今年の春、HEAVENZはおじさんやモモの住んでいる町で大きなライブを行った。自治体と組んでなにもない広場にステージと客席を作ってライブを行ったのだった。

県外からも多くの人がやってきてにぎわった。

その時にモモたちと再会した。そしてくだらない話をしてライブを楽しんだ。もちろんゼータもぬいぐるみのふりをして入場した。

 

桜が満開だった。

「全国大会で会おう」と約束したのに不思議な再会の仕方になった。でも、それもまたよし。

 

「じゃあ、これまでの練習結果からポジションと打順を発表する」おじさんが真面目な声で言った。

 

1番(中)ゼータ

2番(2)タマト

3番(遊)レイ

4番(捕)アキラ

5番(3)モモノスケ

6番(投)マリ

7番(1)ナツキ

8番(左)カコ

9番(右)フウコ

監督:ケンヂ

 

「ところで誰かがチーム名を『ハミチン・ニャイガース』に書き換えたみたいなんだけど、先方からNGでたからな」

ゼータの動きが一瞬止まった。

 

「チーム名は『ウィングド・ユニコーンズ』にしたから。意味は『有翼のユニコーン』な。これテストに出るから」

「出るかよ」タマトがツッコむ。

ゼータが満足そうにうなづいていた。

 

チーム名もポジションが決まり練習に熱が入った。

サウスポーのマリさんの球はなかなか打ちづらそうだった。

これならやれるかもしれない。

 

合言葉は「オータニ!」

 

 

●第4章

 

一方その頃、HEVENZの方でも元旦の草野球の準備は進んでいた。れなは燃えていた。今回のこのファンとの草野球企画はれなが考えたものだった。

 

少し前から野球に興味を持ち始めた。自分のファンの新人の有望プロ野球選手がいるのを知って友人と試合を観に行き、そこで野球の面白さにハマった。

れなが変わっているのは、試合を観ているうちに自分でも野球をやりたくなったことだ。

時間があればバッティングセンターに通い、それでは飽き足らず自宅に簡易的なピッチングマシンまで購入してしまった。

 

案外周囲のスタッフにプロ野球ファンが多いことに気づき、草野球チームを結成した。スタッフだけではメンバーが足りず、HEVENZのメンバーを説得してチームに加入させた。

最初は文句を言っていたメンバーたちも練習を重ねるうちに楽しむようになっていた。

 

コーチにはその筋の専門家を呼んで指導を受けた。

みんなは監督はれながやるもんだと思っていたみたいだが、れなは監督にHEVENZの元プロデューサー・kwkmになってもらった。HEVENZの成功で出世したkwkmとは会う機会が減っていたので、久しぶりに一緒に面白いことをしてみたくなったのだ。

それにれな自身やることが多くていっぱいいっぱいで無理だと判断した。

 

今のプロデューサーのARINAは野球に全く興味が無くHEVENZの海外ツアーの準備と別のアイドルグループのプロデュースで時間がとれないというのもあった。

 

れなは野球をリスペクトしている。アイドルがお遊びでやっていると思われたくはない。すぐには無理でもいつか草野球の正式な大会に出てみたいと思っている。今は練習の時。

 

監督こそkwkmに頼んだがチーム名はれなが決めた。

チーム名は「ヘブンズ・アルミラージ」

 

「アルミラージ」は「黒いツノの生えたウサギ」という伝説上の動物だ。これは最近、れながウサギを飼い始めたからだ。

そのウサギは額の骨がポコッと出ていた。

 

それ以外も一応みんなに相談はしたものの、ほぼれなが決めている。こんなにリーダーシップを発揮したのはHEVENZ結成当初、リーダーだった時以来だ。あの時はなんでも抱え込んでしまってリーダーのプレッシャーに押しつぶされそうになり、リーダーがかんなに変更させられた。

当時は悔しくて泣いたが、今はよかったと思っている。

プレッシャーから解放されて伸び伸びできた。

 

でもこの草野球チーム「ヘブンズ・アルミラージ」では自分がみんなを引っ張っていきたい。それで監督ではなくキャプテンになった。もしもの時の責任は全部kwkmにとってもらえばいい。

監督ってそういうもんだ。

 

チームでの話し合いの中で、どうせならファンとの交流試合をしたいという案が出た。

いい案だと思った。

 

自分たちだけ楽しむのではなくファンとの交流試合。

 

そうだ、観客を入れてちゃんとした試合をしよう。

それなら多くの人が楽しめる。

現実的に考えて試合になるのは小学生のチームだろう。

でもガチガチの野球少年たちのチームだと勝負にならない。

さてどうしたものか。

 

 

●第5章

 

相談の結果、対戦相手の条件と試合日程が決まった。

 

試合日は1月1日の元旦!場所は神宮球場。

 

対戦相手の条件は

 

①男女混合チームであること

②男性は中学1年生以下

③女性は年齢制限を設けない

④試合は7イニング制、延長はなし、同点であれば引分け

 

当初考えていた小学生以下から中学1年生以下になったのは、

れなの考えだった。

 

れなにはちょっとした心当たりがあった。

去年の夏、新国立競技場で会った少年たち。

今年の春、東北で行われたライブで再会した時に中学生になって野球部に入ったと言っていた。そしてみんなバラバラの中学に進学したと言っていた。「もう一度、あの子たちと会いたいな」

そんなことを考えていた。

 

練習を重ね「ヘブンズ・アルミラージ」のポジションと打順が決まった。

 

1番(2)MARIKO

2番(左)西沢

3番(遊)れな

4番(投)かんな

5番(1)しおん

6番(捕)大竹

7番(中)槙野

8番(3)古谷

9番(右)ありさ

監督:kwkm

 

対戦チームの募集は9月に開始され、10月に選考され、11月に決定した。選ばれたチームにはそのことが伝えられたが、一般に公表はされずファンには大晦日のカウントダウンライブで発表されることになった。

 

対戦チームも決まり、みんなのテンションもあがってきた。

それぞれ個人練習もしているようだ。

ただ、ひとつ心配事があった。それは選手層の薄さだった。

メンバーは9人。誰か一人でも欠けたら試合にならない。だが、そのことに関してれなには秘策があった。すでに手は打ってある、秘密兵器。

 

一応、対戦相手の選考は公平に行われた。メンバー構成とその運動能力、野球の実績、人柄、誰推しか、様々な要素を総合的に考えて決定された。最後に決めたのはれなだったが...。

 

それが「ウィングド・ユニコーンズ」だった。

ただ応募時のチーム名が「ハミチン・ニャイガース」という小学生レベルのチーム名だったので、チーム名の変更が条件だった。

 

そして変更したチーム名が「ウィングド・ユニコーンズ」、意味を調べてみると「有翼のユニコーン」。あの子たちらしいチーム名だと思った。

 

「ヘブンズ・アルミラージ」と「ウィングド・ユニコーンズ」。どちらもツノをもった伝説の動物。ウサギとウマ。

あれ?そういえばゼータってウマじゃなくてネコだけど...。

一瞬そんなことを考えたがすぐに忘れた。

 

 

【後編】に続く