泥酔天使の超泥酔天獄 -7ページ目

泥酔天使の超泥酔天獄

泥酔天使のブログです。
妄想が止まらず感情が昂った時に書きます。

●主な登場人物

※前作「Do You Remember...?」の続編です。

 

西条レイ:主人公。横浜市在住の中学一年生の男子。野球部。

女性アイドルブループ・HEAVENZのれな推し。

ケンヂ:レイの叔父。現在、東北に在住。HEAVENZのれな推し。

ゼータ:ケンヂと同居している特殊能力を持つ宇宙ネコ。HEAVENZのれな推し。

大葉モモノスケ:東北に住む中学一年生男子。あだ名はモモ。

野球部。HEAVENZのかんな推し。

宍戸タマト:北海道に住む中学一年生男子。呼び名はタマト。

野球部。HEAVENZのしおん推し。

河上アキラ:ロサンゼルスのジュニアハイスクールに通う男子。あだ名がアキラッチョからAKILLERに変わった。野球部。HEAVENZのありさ推し。

西条カコ:横浜市在住。レイの母親。ケンヂの姉。あだ名はカーコ。元「横浜魔苦須」

大葉マリ:モモノスケとモモタの母親。元「横浜魔苦須」総長。

宍戸ナツキ:タマトの母親。あだ名はナンシー。パンク好き。元パンクバンド「SID」のボーカル。元「横浜魔苦須」

河上フウコ:アキラの母親。あだ名はフーコ。HEAVENZのプロデューサーARINAは姉。元「横浜魔苦須」

大葉モモタ:モモノスケの兄。

HEAVENZ:4人組の人気アイドルグループ。

千田かんな:HEAVENZのリーダー。担当カラーは赤。アスリートと結婚。アイドルと子育て両立中。

遠藤しおん:HEAVENZメンバー。担当カラーは黄色。独身。女優兼モデル、バラエティータレントとしても活躍。

渡辺ありさ:HEAVENZメンバー。担当カラーはピンク。既婚、夫は専業主夫。ソロアイドル、女優、モデル、手話番組、アイドルプロデューサーとしても活躍。

高田れな:HEAVENZメンバー。担当カラーは紫。冒険家と結婚し世界中を冒険中。ライブがある時に日本に帰国する。不定期放送のゲリララジオ番組「パンチDEハッピー」のパーソナリティーで年に1回、ソロコンを開催。

ARINA:HEAVENZのプロデューサー。アキラの伯母。

ナオミ:ケンヂの恋人。意識がゼータの中に同居中。

kwkm:HEAVENZの元プロデューサー。今は会社の偉い人。

麻宮れに:謎の鉄仮面少女。

 

 

●第6章

 

そして年が明けた。

 

元旦当日。快晴。絶好の野球日和。試合開始時刻は13時。

午前中はARINAとありさ、それぞれがプロデュースするアイドルのライブが行われ、試合開始時刻にはほぼ満員になった。

 

大晦日のカウントダウンライブでの対戦チームの発表はなかなか盛り上がった。なんと言っても選手紹介での煽りVTRがよかった。ネコのゼータが映し出された時には爆笑が起きた。

中一の子供たちと元ヤンの母親たち、そしてネコ!

ファンの予想の斜め上の対戦チーム。

 

果たして試合は成立するのか?これは野球の試合なのか、それともエンターテイメントショーなのか、観客の戸惑いと同時に何かを期待していることがれなには痛いほど伝わってきた。

 

13時、HEVENZのOvertureが流れた。

観客は立ち上がり声援を送りつつもメンバーがどこにいるのかとキョロキョロしている。

Overtureが鳴り終わると、中高年世代には聴き馴染みのある曲が流れ始めた。

 

ズンタタタ ズンタッタ

ズンタタタ ズンタッタ

ダイヤモンドを つん裂いて

白い稲妻 おっ走る

バッター キャッチャー ぶっとんで

ボールの唸りに 地獄が見えた

見ろよ あいつのピッチング

あいつら ヘブンズ・アルミラージ

 

※歌:松本茂之(=水木一郎)

 

それは「侍ジャイアンツ」のオープニング曲だった。

オーロラビジョンには昨日の選手紹介の煽りVTRが流れている。

「ヘブンズ・アルミラージ」の選手たちがリリーフカーに乗り、列をなして観客席を1周し3塁側のベンチに入っていった。

 

次に流れた曲は、これまた中高年世代に聴き馴染みのある「アパッチ野球軍」のオープニング曲だった。

 

オレたちゃ裸がユニフォーム

たまにゃ蜂にも追われるけれど

ファイト ファイト

ファイトひとつが財産さ

しかし強いぜ負けないぜ

オレたちゃボンクラ野球軍

 

 

「ボンクラ野球軍」いや「ウィングド・ユニコーンズ」の選手たちも同様に観客席を1周し1塁側のベンチへと入っていった。

 

「国歌斉唱」とアナウンスがあり、マウンドにはHEVENZのボイトレの先生のMIOが立っていた。気持ちをたっぷりと込めたMIOによる「国歌斉唱」が終わると、審判の掛け声で両軍の選手たちがグラウンドに整列し、礼をした後にそれぞれベンチに戻った。

 

 

●【先攻「ウィングド・ユニコーンズ」メンバー票】

 1番(中)ゼータ

 2番(2)タマト

 3番(遊)レイ

 4番(捕)アキラ

 5番(3)モモノスケ

 6番(投)マリ

 7番(1)ナツキ

 8番(左)カコ

 9番(右)フウコ

 控え:ナオミ

 監督:ケンヂ

 

 

●【後攻「ヘブンズ・アルミラージ」メンバー票】

 1番(2)MARIKO

 2番(左)西沢

 3番(遊)れな

 4番(投)かんな

 5番(1)しおん

 6番(捕)大竹

 7番(中)槙野

 8番(3)古谷

 9番(右)ありさ

 控え:シークレット、超シークレット

 監督:kwkm

 

 

メンバー票を見たおじさ...ケンヂ監督がつぶやいた。

「大体予想通りだけど、なんだよ、この控えのシークレットと超シークレットって」

「1、2、3、4・・・あれ?ベンチには監督含めて10人しかいないよ」3塁側のベンチを見ながらレイが言った。

「シークレットって書くくらいだから隠しておきたいんだろう」

 

一方、3塁側ベンチでも同じような会話が交わされていた。

「あっちのベンチ、1人少ないな。あっちもシークレットなのか?」

「控えのナオミさんって私のラジオのリスナーのはず。彼女だけ会ったことないんだよね。ネコちゃんは春のライブの時にみんなも会ったでしょ?」れながそう言った。

 

「ねぇー見て。ネコちゃん本当に試合に出るんだね。素振りしてるー」ありさが言った。その言葉を聞いてれなは自軍のベンチの方を見てニヤリと笑った。そこにはウサギのぬいぐるみがちょこんと置いてあった。

 

 

●第7章

 

アルミラージの選手たちが選手紹介のアナウンスに送り出され球場に散らばった。ユニコーンズの先頭バッター・ゼータがゆっくりと二足歩行で歩き左打席に入った。

 

「あれ?さっきまで素振りは右打ちだったのに」とマウンドの上でかんなは思った。

 

「プレイッ!」球審の掛け声で試合が始まった。

注目のかんなの第一球はど真ん中のストレートだった。

「ストラーイク!」ゼータはあっさり見逃した。

かんなの二球目、ゼータの打った鋭い打球はかんなに向かって飛んでいったが、かんなは体勢を崩しながらもキャッチした。

 

歓声があがる。

 

その後、タマトはショートゴロ、レイはセンターフライで初回の攻撃は無得点に終わった。

心配されたHEVENZメンバーは無難な守備だった。

観客たちもホッとしたのがわかった。

 

1回裏、MARIKOに対するユニコーンズのピッチャー・マリの初球はデッドボールだった。

一瞬ピリッとしたがマリとMARIKOはお互いニヤリと笑い合った。2人を見てAKILLER「怖い」とつぶやいた。

 

その後、西沢はセンターフライ、れなはサードゴロ、MARIKOは2塁に進塁したが、かんなは三振し無得点に終わった。

両チームともちゃんと練習の成果が現われていた。

 

一進一退の攻防が続いた。

3回表にはレイのタイムリーヒットでユニコーンズが1点先制。

4回裏に大竹のソロホームランで同点。

 

 

試合が大きく動いたのは5回だった。

先頭のフウコはフォアボールで出塁しゼータの打順。

 

ゼータはベンチで日本酒を飲んでいた。

「オレはネコからトラになる」という言葉を残し打席に向かい、打席に入る前、バットに酒を吹きかけた。

 

 

雰囲気の変わったゼータを見てかんなはある決意をした。

 

「ここが勝負どころだ。私はあの球を解禁する」

かんなの心の声だ。

 

「エビなーげ、エビなーげ、エビなーげハイジャンプ!」

 

かんなはそう叫ぶと空高くジャンプしエビ反りした体勢からボールを投げた!

そう、これは「エビ投げハイジャンプ魔球」だ!

 

 

しかし、ゼータはひるまなかった。かんな渾身の魔球を打ち返した!

打球はライトのありさの頭上を越えてスタンドに吸い込まれていった。

ツーランホームランだ。マウンドに崩れ落ちるかんな。

 

動揺したかんなはその後フォアボールを連発し、ノーアウト1塁2塁のピンチに陥った。バッターは4番のAKILLER。

絶体絶命に思われたが、そのピンチを救ったのはファーストのしおんだった。

 

AKILLERのファーストライナーをキャッチし1アウト、飛び出した1塁ランナーのレイにタッチし2アウト、セカンドのMARIKOに送球し3アウト。一瞬でトリプルプレーが完成した。

アルミラージはなんとか3対1のままでこらえた。

 

5回の裏、先頭打者は古谷。古谷がベンチを見るとkwkm監督からサインが出ていた。サインの意味は「ホームラン」。

 

古谷は怒りが込み上げてきた。

「ホームランのサインってなんなのよ」真っ当な怒りだ。

「やってやるわよ」古谷は息まいたが、マリのど真ん中の球を空振りした。

念のためにもう一度ベンチを見ると、また「ホームラン」のサイン。

 

古谷は目をつぶってバットを振った。

「カッ!」ボールが当たる感触があった。

 

そして次の瞬間、kwkm監督が腹を押さえて倒れた。

古谷の打った打球はベンチのkwkm監督の腹部に当たったのだ。

古谷は満足そうにうなづいた。

 

「なにかコツをつかんだ気がする。もしかして目をつぶって打てばいいのかも」

 

ツーストライクに追い込んだマリが渾身の一球を投げ...ようとした瞬間!

「グキッ」マリはギックリ腰になった。

 

マリから放たれたボールは古谷の顔面めがけて飛んでいった。

だが古谷は目をつぶっているので気づかない。

誰もが「危ない!」そう思ったが、次の瞬間「カコーン」と快音を残して打球はバックスクリーンに飛び込んでいった。

 

古谷の振ったバットに当たったのだ。

まさかのホームランで3対2となった。

 

押せ押せムードのアルミラージ。

応急処置でコルセットで腰を固定し、マリは気合いで復帰したがもう投げられない。ユニコーンズには控えがいない(一応ナオミが名前だけ登録されているが)。

マリはとりあえずショートに移動し、ショートのレイがリリーフとして投げることになった。

だがありさをフォアボール、MARIKO、西沢にヒットを打たれノーアウト満塁になってしまった。

 

ここでケンヂ監督が動いた。ピッチャーをゼータに交代した。レイはショートに戻り、マリがセンターの守備についた。サウスポーのゼータは多彩な変化球であっさりと3人を三振に打ち取りチームのピンチを救った。

 

 

6回表、マウンドに立ったのはありさだった。

観客の誰もがこの継投に疑問を抱いた。

だが、ありさはみんなの疑問をあざ笑うかのように打者を次々と打ちとった。そう、ありさには魔球があったのだ。

球速18kmの魔球。

幼い頃、バレエをしていたありさ。見た目から入るありさ。

ボールを持った右手を突き出しボールが変形するほど握りしめた後、大きく振りかぶり、足を垂直になるくらい高く上げたダイナミックなフォームから放たれる超遅い魔球に打者はタイミングがとれなかった。

 

 

6回裏、マウンドには引き続きゼータが立ち、この回も3者凡退に抑えた。

 

 

最終回の7回表、カコ、フウコをなんなく打ちとったありさ。

次のバッターはゼータだ。

ゼータはまた日本酒を飲みトラモードになっている。

ゼータは初球を見逃しタイミングをはかっているようだった。

2球目、ゼータがバットを振ると打球はレフト方向への大きなファールだった。ゼータはタイミングをつかんだようだ。

 

するとありさは手を上げて「ピッチャー交代。ありさに代わってれな!」と宣言した。

ありさは自分の役目をやり終え満足そうな顔でライトに戻っていった。かんながショートに入り、れながマウンドに立った。

 

これまでHEVENZのメンバーは魔球を投げた。

れなも魔球を投げるのだろうか?ツーアウト、ランナー無し。

だが緊張感ただよう場面だ。

 

マウンドのれなはキャッチャーの大竹のサインに何度も首を振っていた。

観客はみんな「れなちゃん、サインに首振りたいだけなんだろうな」と思っている。ようやくれながサインにうなずき振りかぶった。れなはまさかのアンダースローだった。

 

 

「いくぞ、豪送球!ドリームボーーール!」と叫びながらボーリングのようなフォームでボールを投げた。

揺れるボールはゼータの振ったバットの上を通過した。

 

 

三振!れながゼータを打ちとった。

 

大歓声に包まれる球場。

打ちとられたゼータはやるなという表情でれなを見た。

 

 

●第8章

 

7回裏。いよいよアルミラージの最後の攻撃。

ゼータはよっぽど三振が悔しかったのかさらに日本酒をあおった。

「オマエ、飲み過ぎだろ。それじゃ投げられないんじゃないのか?」ケンヂ監督があきれ顔で言った。

それでも酔っ払ったゼータはありさを打ちとった。

ベンチに戻ったありさは「これで私の役目は終わりね。栄養補給をしないと」と言ってベンチに置いてあったハムを食べだした。

 

次のMARIKOはデッドボール。三度目のデッドボールにMARIKOはマウンドのゼータに詰め寄ろうとしたが、キャッチャーのAKILLERが必死になだめて引きとめ、事なきを得た。

「わるい、手元が狂った」ゼータは悪びれずにMARIKOに謝ったが、MIRIKOの目は怒りで燃えていた。

 

次の西沢は内野ゴロ。その隙にMARIKOは2塁に進んだ。

ツーアウト、2塁。一打同点。

ホームランで逆転。

 

3塁側のベンチでは、れながkwkm監督に「秘密兵器だします」と伝えた。

「代打、れなに代わって麻宮!」

ここでシークレット選手の登場だ。シークレット選手はかつてゼータたちと闘った事がある麻宮だった。

セーラー服を着て鉄仮面を被った女性がバッターボックスに立った。

「まさか、ここで会うとはな。アンタがシークレットだったのか」ゼータが鉄仮面少女に話しかける。

「アタイは今、HEVENZのボディーガードをしてるのさ。そんな状態でアタイを打ちとれるのかい?」

「そうだな、ちょっと気合い入れないとまずいかもな」

ゼータは自分の頬をパンパンと叩いた。

「よし!」そう言ってゼータが投げたボールを麻宮が強振した。

 

麻宮が打った打球は3塁側のファールゾーンへのファールフライだった。

高くあがった打球をサードのモモとショートのレイが追った。

打球が3塁側のベンチに入りそうだったのでモモは追うのをやめたが、レイはそのままベンチにつっこんでいった。

 

「ガッシャーン」と音がした後、レイが立ち上がった。

ボールは捕球できていなかった。

「レイ、大丈夫か?」モモが声をかけると「うん、大丈夫。クッションが...」とレイが答えた。

「おい、オマエどけよ。オレはクッションじゃねえよ」

 

レイのお尻の下でウサギのぬいぐるみがしゃべった。

「あーあ、バレちゃったね。でもチャミ、ありがとうね。ナイスプレー」

れながウサギのぬいぐるみに話しかけた。

「オマエらさー、宇宙にはネコだけだと思うなよ。ウサギもいるんだよ。そもそもウサギの方が有名だろ」

 

チャミと呼ばれたウサギがレイに向かって話し始めた。

どうやらウサギのぬいぐるみに見えたアルミラージの超シークレット選手は「チャミ」と呼ばれる宇宙ウサギだったらしい。

「ありがとう」レイがそう言うと「いいってことよ。オマエ根性あるな」チャミはそう答えた。

「麻宮!オレまで回せよ。せっかく特訓してきたんだから」

 

「へー、そういうことなら...」

ゼータは麻宮を敬遠した。

これで、ツーアウト1塁2塁。

 

kwkm監督が「代打、かんなに代わってチャミ!」代打を告げた。

「マジョラムLALAテラピー SHALALA!」

れながおもちゃの魔法のステッキを持ってチャミに向かって呪文を唱えた。

チャミに特に変わった様子はないが、れなは満足そうだ。

 

バットを持って打席に向かうチャミにありさが声をかけた。

「あんたもハム食べる?」

「ありさ、ひとつ言っておくが、そのハムはオレのものだ」

そう言いながらもチャミはハムを受け取りムシャムシャ食べた。

「いいハムだな」そう言ったチャミは力がみなぎったように見えた。

 

ゆっくりとチャミが左打席に入る。

対峙するゼータとチャミ。

「オマエも宇宙から来たのか」

「そうだ」

「オレはウサギが嫌いでね。ウサギのせいでネコは干支に入れなかった」

「それはネズミだろう。言いがかりもはなはだしい。オマエ、ユニコーンだとかペガサスだとか言ってるらしいけど、ウマじゃなくてネコだよな」

 

「タイム!」ゼータがタイムを要求し、ベンチに戻った。ゼータは日本酒ではなく今度はワインのボトルをラッパ飲みした。

 

そして「ナオミ、いくぞ」と言い、マウンドに戻った。

どうやらゼータの中のナオミの力も使ってねじ伏せるつもりらしい。

ワインを飲んだゼータはトラではなくライオンになった。タテガミがモサモサと生えてきた。

 

上機嫌のゼータは何かを歌いながらマウンドに戻ってきた。

「every little thing あなたがずっと追いかけた夢を 一緒に見たい♪ every precious thing 奇跡のゴールを信じて 今大地を踏み出した♪」

 

 

ライオンになったゼータは渾身の一球を投げた!

そしてその球をチャミは打ち返した!

 

打球はセンターに飛んだ。そしてフェンスに当たって転々と転がった。センターはギックリ腰のマリだ。

 

2塁ランナーのMIRIKOが生還し、3対3の同点。

 

1塁ランナーの麻宮は猛ダッシュで3塁を蹴りホームを狙う。

 

ボールに追いついたマリがバックホームする!

 

キャッチャーのAKILLERが捕球し、つっこんできた麻宮と交錯する!

 

球場は静寂に包まれた。

 

そして...

 

「アウトー!」球審の声が響いた。

 

 

3対3、試合終了。

 

規定より延長は無し、引き分けだ。

 

一瞬の静寂の後に観客席からは大きな歓声と拍手が聞こえてきた。

 

ドン!ドン!ドーン!花火が何発も打ち上がった。

 

 

両チームが整列しお互いをたたえ合って握手した。

どうなるかと思ったがいい試合、面白い試合になった。

 

ゼータがチャミに「オマエ、やるな」と言うと、チャミが「本当はオマエ、右投げなんだろう?」そう言って笑った。

レイがやってきてチャミに「さっきは助かった。ありがとう」と言うとチャミは「オレは案外いいやつなんだよ」と言った。

 

結局、引き分けということで勝利者賞のロサンゼルス・エンゼルスの試合の観覧招待は両チームに贈られることになった。

 

「オータニ!オータニ!」ユニコーンズのベンチは大騒ぎだった。

 

 

●第9章

 

試合後のパーティーでレイはれなに声をかけられた。

隣にはチャミがいる。

 

「実はレイ君に頼みたいことがあるの」

「なに?」

「チャミを預かってくれない?」

「え?どういうこと?」

「ほら、ワタシって世界中旅してるじゃない?だからチャミを飼えないのよ。ウサギって寂しいと死んじゃうっていうじゃない。だから心配で。でもレイ君ならまかせられるかなって」

 

レイの隣でゼータもその話を聞いていた。

ゼータは「いいんじゃね?レイもオレがいなくて寂しいだろ?

オレの代わりにはならないと思うが少しは役にたつかもな」

どうやらゼータもチャミとはまだ対戦したいらしい。

 

「いいよ」レイが返事をすると、れなはレイをギュッと抱きしめた。チャミもホッとしたようだった。

 

 レイとチャミは「よろしく」と言って握手をした。

 

「おい、レイはまかせたぜ」

「オマエよりうまくやるよ」

「レイになんかあったらぶっ飛ばす」

「好きにしろ」

ゼータとチャミの間でそんな会話が交わされた。

 

 

『さーて、それでは久しぶりにやりますかー。

神出鬼没のレディオビーナス・高田れなの不定期ゲリララジオ・

パンチDEハッピー緊急生放送!

まずはフェニックス・ナオミさんからのメッセージ。「れなちゃん!ワタシはいつもれなちゃんのことを全肯定するよ。"じゃないほう"のれなちゃんも含めて全部大好きだよ!ずっと応援してるから!」との力強いメッセージ、ありがとうございます。こんな風に言ってもらえてワタシは幸せです!リクエスト曲は大森靖子さんの「7:77(ナーナナ)」!

 

運命も必然も全部全部関係ない

ただ側にいる全部YESだ 絶対絶対

大丈夫 知ってるもん ステージの上

戦ってる優しさここで見てたから

 

そんな弱い魔法じゃ今時 晒しあげられて垢消し

いつまで余韻で生きてんの 

夢は爆弾 弾切れだもっとくれ

 

なんにも満足できないな7:77

天才でまじごめんなさい7:77

ナナちゃんは今日もめっかわ7:77

 

なんかないないない7つない

なんかないないない7つない

なんかないないない7つない

なんかないないない

 

親衛隊 正論じゃなくたって大事さ

天使は性格悪くなきゃ勤まんない

間違って 狂って 何を殺したって

全世界が敵でもずっと守りたい

 

ナナの魔法で 全部全部関係ない

ただ側にいる全部YESだ 絶対絶対

 

間違って 狂って 何を殺したって

全世界が敵でもずっと守りたい

 

 

 

『次のメッセージはほろ酔い天使さんからです。「この曲のれにちゃんの歌い出しが最高なんですよね。他のパートも全部最高です。ボクはこの曲を聴きながら毎日、孤独の中でBeatっをかき鳴らしています!」うーん、ちょっと何言ってるのかわからないですね。でも熱い気持ちは伝わりました。

孤独になんかさせないから大丈夫!リクエスト曲はももいろクローバーZ「孤独の中で鳴るBeatっ」です!』

 

眠れない夜 僕が主人公のこんなStory

限界だもう!ってお風呂に浸かってく

仕事も夢も頑張ってきたっておっきな声じゃ言えないし

明日の1ページもまだ開けない

 

(中略)

 

明日へ夢をかなえてこうってなかなか大変さ

僕らしく今 歌うのさ

君と生きた日々を

 

大丈夫さ 大丈夫って

言い聞かせても 心配症なんだね

毎日を孤独の中で鳴るBeatっ!

大丈夫さ 大丈夫って

流れる町を走りながらズタボロだよ

泣いてもいいよね?頑張ったんだから!

 

君のさ優しさが

お疲れ様って君がくれた思い出が

今この瞬間叫ぶっ!

走りだす景色の中で僕らはいつも心配症なんだね

毎日を孤独の中で鳴るBeatっ!

大丈夫さ 大丈夫だよ

1人きりじゃないよ

君がくれた弱さがほら、

強く僕の中で生きているよ

強く僕の中で生きているから

 

 


『最後にワタシのリクエストを。勇気をもらいたい時、背中を押してもらいたい時、ワタシはいつもこの曲を聴きます。これからもワタシたちの終わりのない冒険は続いていきます。ワタシたちはずっとみんなのそばにいるし、みんなにもずっとそばにいて欲しいです。まだ一緒に見たい夢があります。その夢を一緒に見てもらえませんか?リクエスト曲は、ももいろクローバーZ with 

モノノフJAPAN ver.の「My Dear Fellow」です!

 

(だから君を見ている)

いつもそばにいるよ

(ちゃんと見ている)

このわたしのポジションは譲れない

(君を見ている)

胸にジンと響くDear My Fellow

 

前向く君が好きだから 私も前を向く

誰とまだ歩いてない 孤高という道の途中

 

観ていられない時もある この手届かなくて

だからせめて心だけは 分身になりたい

 

言わない言葉は 読み取ってあげる

 

泣きたい(泣かない)

やめたい(やめない)

その勇気は氣持ち次第

 

ひとつふたつ みっつ数えて

君は今日を越えていく

奇跡を待ってる怠け者じゃ

君に追いつけない いつだって前人未到

 

ひとつふたつ みっつかさねて

積み上げる未来を

奇跡なんかは待つものじゃない

君がその右手で 勝ち取るものだから

 

(だから君を見ている)

いつもそばにいるよ

(ちゃんと見ている)

このわたしのポジションは譲れない

(君を見ている)

胸にジンと響くDear My Fellow

 

 

 

『いえーい!みんな楽しんでるー?』

 

れながマイクを持って次々にみんなにウザ絡みしている。

kwkmの肩に手を回し、あごをタプタプしながら「偉くなったもんだなー」と言っている。かなり酔っ払っているようだ。

 

ゼータとチャミはその光景を並んで見ている。

 

「次はオレ、本気出すからな」

「オレもな」

「タイとかベトナムの十二支はウサギじゃなくてネコなんだよ」

「へー。でもここは日本だ」

 

「レイはやさしくていい奴だ。つらい思いもいっぱいした。だからアイツを悲しませないで欲しい」

「オレに任せろ!」

「どうも、言葉が軽いんだよな、オマエは。それになんだよ、寂しいと死ぬって」

「オマエがレイと一緒にいないからだろ。オマエのためでもある」

「まあ、いいか。しかし、れなちゃん浮かれてるなー」

「よっぽどうれしかったんだろ。今回のことが」

「そうだな。こういうところも彼女の魅だしな。彼女たちからはいっぱい楽しみをもらってきた」

「オマエ、わかった風なこと言ってるけど去年だよな。好きになったの」

「そういうのは時間じゃない。大切なのは深さだ」

「だったらオレはれなちやんの大事な相棒だからな。オレの方が上だな」

「オマエ、捨てられたくせに」

「やんのか、コラー!」

殴り合う2匹。

それを呆れた顔で眺めるレイ。

ひと区切りついたところでレイが2匹を引き離した。

「のど乾いたんじゃないの?なんか飲んできたら?」

レイがそう声をかけた。

「ああ...オレたちも飲むか!」

「おっ、オマエもイケるのか?」

「もちろん!毎晩、れなちゃんにつき合って飲んでたからな」

「どっちが飲めるか飲み比べだ!」

「ワタシはワイン!」


仲がいいのか悪いのか、最後の言葉はナオミさんだろう。

あの2匹、案外いい関係になるかもしれない。

 

2匹はれなと大竹が日本酒のラッパ飲みしているところに駆け寄っていき、一升瓶を奪い取って飲み始めた。

一升瓶を奪われたれなと大竹がテーブルの上でお腹を出して腹太鼓をし始め、メンバーに止められている。


みんな笑顔だ。楽しそうでなにより。


ボクにも新しい相棒ができた。

まだどんなヤツかはよくわからないけど、多分うまくやっていけそうな気がする。

いつの間にかケンヂおじさんが隣に立っていてボクの肩をポンポンと叩いた。ボクはケンヂおじさんに抱きついて少し泣いた。

 

その夜、いつまでもいつまでも楽しい宴は続いた。

 

 

~完~

 

 

【最後に】

れにちゃんが草野球に参加してみたいという夢を小説の中で実現させてみました。

ところで福島には「風とロック芋煮会」というフェスがあります。

「風とロック」の箭内さんが主催しているフェスです。

フェスなんですが、このフェスでは「芋野球」と呼ばれる草野球の試合も行われ、多くのミュージシャン(女性も)が参加しています。ももクロが「風とロック」に載ったのは10年前だったでしょうか?福島での「春の一大事」は終わりましたが、これからも福島との関りを持ち続けてもらいたいです。

そのためには「「風とロック芋煮会」、そして「芋野球」がいいのではないかと思い、想像を膨らませました。れにちゃんは芋好きですしね。いつかももクロがれにちゃんが、浪江女子発組合が出演することを願いつつ。