ダニが欲しいなぁ・・・・
それと、カメムシ。カメムシも欲しいなぁ・・・・
こんなことを呟いている危ない人がいたら、その人は間違いなく園芸をやっている。
ダニとはいっても、布団などに増殖して吸血するあのダニではない。
カメムシとはいっても、鼻が曲がるほどの強烈な匂いを放出するあのカメムシではない。
ではどんなダニでカメムシなのか。
その前にまずはクチナシの話。
我が家のクチナシが咲きまして…
クチナシは三大薫る花木の一つ。沈丁花と金木犀と・・・・どれも良い香りだが、私はダントツ、クチナシが好きだ。
梅雨の湿り気のあるしっとりとした空気と、華やかでクリーミーなクチナシの香りが混じり合い、夕暮れ時にあたりに漂うのが堪らない。空気がスイーツになる。
クチナシは朝や昼間より、夕方から夜に強く薫る。これは花粉の媒介をする蛾を呼ぶためだとか。
クチナシはオオスカシバという蛾の芋虫の食害に遭うのだが・・・このオオスカシバ、恐ろしいほどの大食漢。一匹いるだけで、あっという間に葉っぱが丸坊主になってしまう。シーズン中は目を皿にして、卵と芋虫をつまみ取る。いったい何びき取っただろう・・・・
オオスカシバの成虫は花の蜜を吸うとても可愛らしい虫で大好きなのだが・・・
(サルビアにやって来たオオスカシバ。サルビアはいろんな虫に大人気)
1、2匹ぐらいは多めに見るか・・・とも言ってられない被害が生じるので、心を鬼にするしかない。というのも、今の株の前に一株オオスカシバにやられて枯らしている苦い経験もあるのだ。
さて、芋虫をつまみ取り続け、なかなかの大きな株に育ち、今年は50個以上の蕾がついたクチナシ。
期待を裏切らない濃厚な香りを漂わせて花開き、脳の幸せホルモンを刺激してくれる。
ところが・・・・
クチナシのこの香りに寄ってくるのか、アザミウマが大発生し、花が開花しきらないうちにみるみる茶色に変色してしまう。
アザミウマとは、1ミリほどの細長い黒い昆虫で、花の中に住み着いて花弁の汁を吸って変色させてしまう、園芸の大敵の一つだ。バラにも湧いて、せっかくの2番花が台無しになりそちらも頭を悩ませていたのだが、クチナシが開花すると、バラの方はアザミウマが来なくなった。みんなクチナシに誘き寄せられているのだろうか。
花の香りを嗅ごうとクチナシの花に鼻を寄せて、クンクンと吸い込むと・・・・
人間の二酸化炭素を危険と察知するのか、花の中からワラワラワラワラと出てくる出てくる・・・・
一つの花に50匹はいるかな・・・・
このアザミウマ、農薬は効きがイマイチだというし、私は薬なし園芸を目指しているので・・・・
芋虫とかアブラムシとかなら手で捕殺できるのだが、何せ敵は1ミリのミクロサイズ。指を加えて座視するしかないとはまさにこのこと。愛情深く育て、念願の花の盛りが無惨に朽ち果てるのをなす術もなく見ているしかないのだ。ああ、人間の無力さよ・・・・
ところが。
自然の循環とはなんと上手くできているのだろう。
花を食す害虫がいれば、その害虫を食す虫もいるのだ。
いわゆる益虫だが、アブラムシを食べるテントウムシは有名ドコロ。
アザミウマを食べる益虫、それが・・・
カブリダニとヒメハナカメムシ。
ダニとは言っても動物の血は吸わないし、カメムシとは言っても強烈な匂いを噴射したりしない。
調べてみると、このカブリダニとヒメハナカメムシは天敵農薬と称して販売されているとのこと。
1ボトル、1万5千円ほど・・・・・
・・・・・・・買おうかな。って、一瞬本気で考えた。
しかし、説明をよく読むと、この天敵農薬はハウスなどの仕切られた空間でないと使用してはいけないということ。そりゃそうだ。自然界に人為的に放出したら生態系に影響が出てしまうだろう。
なんとも残念!
落胆していたのだが、そこに希望の光が。
ヒメハナカメムシを呼び込むために、植栽の中にマリーゴールドを混植すると良いらしい・・・・
そ、そうなんだ!!
マリーゴールド・・・・といえば、眩しいオレンジ色の、公園の花壇によくあるあの花。
クチナシのある植栽ゾーンはホワイト&ブルーガーデンを目指しており、白ベースに青を差し色・・・でまとめているので、オレンジはちょっと差し込みにくい・・・・
しかし!マリーゴールドも色々な品種が出ていて、カラーバリエーションはやはりオレンジがベースだが、クリーム色のマリーゴルドが!
「バニラ」という名称のマリーゴールド。はい、ネットショッピングでポチッとしたのは言うまでもなく。
園芸と虫の関係、奥が深い。
まだまだ勉強不足だなぁ。
しかし、知れば知るほど、自然環境がつながり合っていること、それぞれの生き物がなんかしらの役割を担っていることを実感として理解できる。
何か一つ植物を土に植え、そこにしばらくしゃがんでみる。そうすると、地球の営みが見えてくる・・・・
これは決して大袈裟な話ではなく。