庭づくりに勤しむ人種を「ガーデナー」と呼ぶとな。

 

そして、その中で特にバラを育てる人のことを「ロザリアン」と呼ぶとな。

 

 

さて、かくいう私は暇を見つけては家の周りに庭を出現させようと奮闘し、そこにバラを植え付けていたりなぞするが、「ガーデナー」と自称するにはどうかと思うし、ましてや「ロザリアン」などとは口が裂けても名乗ったりはできない。

 

 

「ガーデナー」「ロザリアン」なる定義、もしくはそこから派生するイメージを確認してみよう。

 

 

 

「ガーデナー」とは単に庭師を英語にしたものか。否。そこにある定義、イメージは以下のようなものだろう。

 

清潔感ある白シャツに、おしゃれなギャルソン風エプロンをしめ、そよ風にサラリと髪をなびかせ、その人そのものからもハーブの香りが漂う、「さわやか」「癒し」「ナチュラル」をミックスしたイメージを具現化した存在。

 

 

そして、「ロザリアン」においてはかくなる如くであろう。

 

栽培の複雑さ、困難さを伴うバラ栽培の知識を余すところなく蓄えた叡智を感じさせつつ、凛とした、かつ、成熟した美しさを兼ね備え、「優美」「絢爛」「リッチ」を具現化した存在。

 

 

・・・・・・このように、言語化して二者を確認してみれば、私はどちらにも当てはまらないことは明々白々。

 

 

では、今週の私の庭仕事を振り返ってみよう。

 

 

今、とにかく私が腐心しているのは、玄関横の殺風景な砂利じきのカーポートでしかなかったスペースを「庭」とよべる空間に作り替えることである。

 

そこで、目論んでいるのは、レンガを埋め込み、ちょっとした小道を作り出し、レンガの間にグランドカバー(芝生のように地面に密集して茂る植物の総称)を植え込む、ということだ。↓

 


まず、地面の砂利をどかす。ぎっしりと敷き詰めてあるので、これだけでも重労働だが・・・・

 

そこにレンガを埋め、植物を植えるための穴を掘る。これがまた、とてつもない仕事なのだ。

 

何せ、掘っても掘ってもそこは砂利。そもそもカーポートとして施工してあるので、車の出し入れに耐えるよう、砂利が厚く埋め込まれてあるのだ。深さ20センチは細かい砂利で突き固めてあり、その下には粘土質の土が塊として敷き込められている。それを掘り出すと拳大の石ころがゴロゴロ埋め込まれているのだ。

 

鍬でひたすら突き崩す。ほとんど石を叩いているのと同じ手応えが続き、10センチも掘らないうちに腕が痺れてくる。すぐに全身は汗だくで、あっという間に10匹以上の蚊を身にまとわせる。顔に髪が張り付く。土だらけのガーデングローブの手ではらい、もちろん顔も土だらけ。

 

レンガを3個と植物を2株植えただけでヘトヘトで、1日の限界を感じる。しかし、これを連日続ければ、ムキムキマッチョになること請け合いだ。

 

 

 

そして、別な日にはバラの鉢増しを取り行った。

 

鉢増しとは、今植えてある鉢より大きな鉢に植え替えることである。根っこが成長しすぎて土が少なくなり、水が保てなくなってしまうことから派生する急を要する職務の一つだ。

 

我が家のモンスター、ポールズヒマラヤンムスクを鉢増しする必要性から日々目を背けていたが、水切れの速さにヒマラヤンムスクからの非難の声を感じ・・・・いざ、実行。↓

 


10号(直径30センチ)の深鉢から13号(直径39センチ)へ、サイズアップ。これ、かなりデカイ。

 

まず、当たり前だが、植え替えるからには鉢から根っこを引っこ抜かなくてはいけない。

 

しかし、根が成長に成長しすぎていることは一目瞭然。(上の成長をみれば、ね。)しかも、テラコッタに植えてあるので・・・・なんというか、テラコッタの多孔質な壁面に根が食いつくように張っている・・・

 

もうね、引っ張れば抜けるなんてレベルじゃなくて。

 

その上、バラは休眠期の冬以外は根を崩すべからず!というコワーイ掟があって、それを破ろうものなら、それこそ「ロザリアン」の方々から非難轟々の雨あられ。(なんてことはないだろうけど)

 

とにかく張り付いた根を少しでも傷つけないように、薄いナイフ(これは実はシフォンケーキナイフ)を差し込み、上下に動かしながらぐるりと慎重に根を鉢から剥がしていく。

 

もちろん、あっという間に汗まみれ、蚊の大集合。手を上に滑らすたびにヒマラヤンムスクの野獣の牙としか言いようがない棘が突き刺さる。手袋を貫通してね。

 

その後は鉢を脚に挟み込み、「大きなかぶ」よろしく、うんとこしょどっこいよ・・・・どころではなく、ふうふうウンウン言いながら、渾身の力で引き抜く。

 

ゆらゆらと揺れるヒマラヤンムスクの牙だらけの蔓が顔にも腕にも襲いかかる。

 

・・・・と、との刹那。左の瞼に激痛が!その時はなんだかわからなかったが・・・・これが、次の日の朝、みるみる腫れてブヨブヨに垂れ下がった瞼に成り果てたところから見ると・・・・

 

ブヨに刺されたらしい・・・

 

 

 

さて、もうこのくらいで良いだろうか。

 

 

これが私の庭仕事の姿だ。

 

 

全身は汗に濡れ、髪は顔にべたりと張り付き、顔も体も土まみれ。全身に蚊の大群をまとわせて、特に上腕の筋肉が必要以上にムキムキ。おまけに瞼がブヨに刺され腫れ上がり、やぶ睨みに垂れ下がる・・・

 

 

どうだろうか、やはり「ガーデナー」は辞退したい。そして「ロザリアン」は恐れおおく、間違えても自分のことをそのような身分違いの名称で口走らないように、肝に銘じなければ・・・・