世界はもう
ゾンビの群れに
食い尽くされたようだった
こんな世界に絶望していた
そしてわたしは
暫くずっと
何者かに追われている
何処にいても
監視され
逃げ道はない
けれど今だけは、
なぜか視線を感じなかった
今なら、
死ねるかもしれない
私は
ショッピングモールの中にいた
あてもなく歩いていると
目の前に
転落防止用の柵が現れた
この高さなら、飛べる
ふと
そう思った
私は柵に向かって走った
これは夢なのだと、
心のどこかでは
わかっていたのかもしれない
身体が宙に投げ出される
地面に落ちた
そして―――
死んだような気がした
マンションの五階から落ちた場合、
生き残る確率は五十パーセント
なぜか、
そんな数字が頭に浮かんだ
目を覚ますと
私は生きていた
病院のベッドの上だ
まだ何もおわっていない
そう確信した
手足には、
酷く膨らんでから
縮んだような
奇妙な感覚が残ってる
腕には点滴の管が繋がれていた
ふと、
ベッドのそばに
人の気配を感じた
男が立っていた
その顔だけが、
異様なほど
鮮明に見える
どこかで会ったことが
あるような気がする
けれど、思い出せない
私が記憶を探っている間に
男は点滴へ手を伸ばした
管に触れる指を見た瞬間
全身が凍りついた
「あ、点滴がなくなったから、看護師さんに聞いてくるよ」
この優しそうな男は
ごく自然な口調でこう言った
いや待って、
この男は誰?