さて私の通う美容院の担当アシスタントT君だが、

 

霊能師まがいの

 

客と店外デートして

 

行動の逐一を報告して

 

お伺いを立てないと、

 

その可否がわからない状態になっているという。(こっくりさんに何でも聞いている状態か?)

 

そのT君は、私の友人であるマダムYも担当してる。

 

・・というか、美容院自体マダムYの紹介なので

 

私もマダムも同じ店で髪を切っているのだが。

 

 

 

 

私は言った。

 

 

 

「絶対マダムYに言わないでね?」

 

 

「なんすか?」

 

 

「この前さ~、マダムからもらったのよ。

 

マダムのお母さんが使っていたという、大正時代の日蓮上人の暦ね。

 

こう着物の胸元に入れるタイプになっていて、

 

何月何にちは三隣亡でダメだとか

 

民間暦っていうか、お化け暦ともいうんだけどね…そういうやつ。

 

Yさんのお母さんがずっと使っていて、

 

お母さんが亡くなってからYさんのもとにきて、

 

”あたしは使わへんから、あんた使って”

 

って善意でくれたのよ。あんたの研究にも役立つでしょって」

 

 

 

 

 

「…Mさん、そんな暦の研究してましたっけ?」

 

 

 

 

「してないよ、宗教史はやっているけれど…

 

とにかく」

 

 

 

 

「問題はそこじゃないっすね?」

 

「そう、それ。なんかすごく手づれして、使ってましたって感じの年季の入ったもので、

 

そういう念の入ったものって苦手でさ…

 

T君、物に念ってこもると思う?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕はこもると思います。

 

故人の持ち物で大切にしてたやつでしょ、

 

念、こもってますよ。

 

てか、なんで親戚でもないのにMさんにくるんすか?

 

そういうのって家族で回していくもんじゃないですかね?」

 

 

 

「でしょ、でしょ。

 

マダムんところ、息子君が結婚するかもしれないからさ、

 

そういう結納とか、結婚式とか、

 

いい日を選ぶのに、

 

その日蓮上人の暦を使って、日を選んだらいいんと思うんだよね。

 

なんで私にくるんだろう。

 

私は平安時代の人じゃないし、暦を選んで行動しないからいらないんだよ」

 

 

「そういう重たいもの

 

困りますよねぇ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はその暦を受け取ったとき

 

まずいな

 

と思ったが、

 

同包でローストビーフももらっていたので

 

つい肉のほうに気を取られ、

 

暦は本棚にさしたままになっていた。

 

 

 

 

 

ところが気のせいだろうか

 

私のすまうマンション9階から8階へ水漏れしているという報告で、

 

その調査報告にきた水道修理の人の来訪し、

 

驚きで私は携帯を落として真っ二つに割るし、

 

他、仕事で条件の折り合わない案件が出るなど

 

どうも不協和音が続くので

 

ふと

 

「暦のせいじゃない?」

筋違いのもンがうちにいるような気がするんだけれど…」

 

 

と思い当たり、

 

 

急遽、京都のA神社でお炊き上げしてもらった。

 

 

 

 

さらに続く。