エイプリルフールの思い出を嘘でもいいから語ろう ブログネタ:エイプリルフールの思い出を嘘でもいいから語ろう 参加中
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その日は朝から大変だった。

ジリリッと目覚ましが鳴り響き、目が覚めた。寝ぼけながら文字盤を見ると、出社予定ギリギリの時間だった。

「やっば!?」

オレは飛び起きざまにすぐさま着替え、食パンを口にほおばり家を出た。

慌しくもなんとか電車の時間には間に合った。会社がある駅へと揺られながら電車が駅に到着するのを待つ。

(ん?)

乗車している人の中に何かいたような気がしたが、気のせいだろうとそのことはすぐに忘れた。

下車した駅からビルの群を縫っていくと、視界の端にスッと動く何かを見た。

気のせいではなかった。大通りから細い路地へ向っていくと、そこには彼がいた。

「ジュワ!」

ウルトラセブンだ!

人間大の大きさの格好で、彼はそこにいた。彼だけではない、あの容姿ーーダダだ!

自分が見ている光景が信じられなかったが、なにやら嬉しいモノがこみ上げた。

それと同時に、(特撮の撮影か?)とも思ったが、スタッフやカメラはいなかった。

セブンはダダと交戦していた。光線を放ったりもしていて、ムワッとした熱気が漂う。

これが現実なんだと実感する。

すると、ダダがこちらに気づいた。(やばい!)と思ったが、遅かった。

ダダはオレを人質にしてセブンから後ずさった。

このままセブンから逃げる気だ。

オレはダダに気づかれないように、持っていたカバンから念のために入れていた催涙スプレーを取り出し、隙をついてダダの顔面に噴射した!

ダダはオレを突き飛ばし、顔を覆いながら転げまわった。

セブンはこの気を逃さなかった。転げまわるダダを捕まえ、フルボっコだ。

戦意を無くしたダダが、セブンとオレに土下座しながら謝っているようだった。

セブンはオレの方を向き、手を差し出した。オレはがっしりと握手した。

「ありがとうセブン。ーーいや、ダン」

セブンはうなづくと、ダダを連れて飛んでいった。

オレはそれを見送った。

「あ」

まあ、遅刻したのは言うまでもない。